米商務省の「鉄鋼関連の通商拡大法第232条勧告案」に対するドナルド・トランプ米大統領の最終決定(期限4月初め)が迫った中、韓国業界に最も不利な「勧告第2案(12カ国に少なくとも53%の関税を賦課)への反対同盟」を12カ国の国際協力で構築すべきという指摘の声があがっている。
21日、通商専門家のソン・ギホ弁護士(民主社会のための弁護士会通商委員長)は「米国商務省が提示した勧告第2案に列挙された韓国やブラジル、中国、インド、ロシア、ベトナムなど12カ国が、協力して対応しなければならない」と話した。今回トランプ発の鉄鋼貿易紛争を「米中2大国間の貿易戦争で韓国が板挟みになっている」と見るのは一面的であり、根本的には既存の国際通商秩序に対するトランプの正面からの挑戦として捉えるべきということだ。彼は「商務省が第2案でドイツと日本を除外したのは、国際社会の統一された対応圧迫を軽減するためとみられる」とし、「一連の保護貿易および米国優先主義措置に国際社会が深刻に憂慮している状況」だと指摘した。米商務省が対立戦線が「米国対全世界」に拡がらないよう、日本やドイツ、カナダ、台湾などは「関税爆弾12カ国」から意図的に排除する分割対応戦略を取っているということだ。
韓国側の対応戦略と関連し、カン・ソンチョン通商交渉本部次官補は「トランプ大統領の最終決定前まで、積極的な説得活動を通じて、韓国が鉄鋼生産能力を削減するなどグローバル鉄鋼過剰の解消に協力しており、韓国内の中国産輸入量も減っている点を米国に説明する」と話した。“最悪”の第2案が採択されないように努めるということだ。
しかし、専門家らは「アウトリーチ」(現地に行って利害関係者を説得する作業)を越え、米国に実質的被害をもたらす「対米報復関税共同行動」に向けて国際協力を図るべきだと指摘する。ソン弁護士は「単なる『米国優先主義に反対する』という声を超え、12カ国が協力してトランプ大統領の行動変化を引き出せる実質的報復行動に乗り出すべき」と話した。すでに昨年7月、主要20カ国・地域(G20)首脳会議で、ユンケル欧州連合執行委員長は、米国が第232条処置を行う場合、直ちに報復に入ると言及した。
「対米報復関税共同行動」という対応が要請される理由は、商務省が提示した3つの勧告案のうち、トランプ大統領が第2案を最終的に選択する公算が極めて高いからだ。商務省は「米国内の鉄鋼工場の生産稼働率を現在の72%水準から80%に高めるのが最終目的」だとして、3つの勧告案がいずれもこの目的達成に必要な「1330万トンの鉄鋼輸入規制」を保障する有効な手段だと明らかにした。イ・ヒソン韓国貿易協会課長(通常支援団)は「すべての国を対象に、少なくとも24%の関税を賦課する第1案や、すべての国を対象に2017年対米鉄鋼輸出の63%水準の輸入枠を設定する第3案と共に、あえて第2案を提示したのは、米国内の鉄鋼需要業界と自国の消費者の利害を考慮したものとみられる」とし、「米国内の鉄鋼関連製品の価格引き上げを最小化できる第2案をトランプ大統領が選択する可能性が最も高い」と話した。
米国の相次ぐ韓国産輸入規制により、韓国の総輸出において米国市場が占める割合は、2016年の13.4%から昨年には12.0%(686億ドル)に減った。それに対し、昨年、韓国市場に輸入された米国産製品(506億ドル)は1年前より17.2%も増えた。イ・ソンヒ課長は「米国産製品の輸入を増やす韓国の積極的な誠意表明も、米国には全く通じていない」とし、「11月の中間選挙までは通商における強硬基調がより強まり、輸入規制対象品目も拡大される可能性がある」と話した。