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[記者手帳]仮想通貨は「ブロックチェーン未来世界」のはじまりにすぎない

登録:2018-01-18 08:19 修正:2018-01-18 09:05
仮想通貨規制をめぐる議論 
 
「世界経済の変革」リードの見通しにも 
国内ではブロックチェーンの理解が低く 
省庁の混線でSNSでは政府を嘲弄 
当局者らの情報技術への関心を契機に
ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 仮想通貨規制対策をめぐり、先週、政府省庁がそれぞれ声を上げ混乱をあおった。学界の専門家らとベンチャー企業の創業者たちはSNSでこのような政府を嘲弄している。

 しかし、仮想通貨はブロックチェーンの技術がもたらす未来の一部が示されたものに過ぎない。第2、第3の仮想通貨の事例が押し寄せる可能性がある。未来学者であるドン・タプスコットは『ブロックチェーンの革命』という本で「ブロックチェーンが世界経済の変革をリードするだろう」と見通した。昨年、世界経済フォーラム(WEF)に参加した専門家らは「ブロックチェーンが産業化社会全般に大きな変革をもたらすだろう」とし、「2025年にはブロックチェーンのプラットフォームが全世界のGDPの10%を占めるだろう」と明らかにした。国内情報技術業界でも「第4次産業革命」と「5世代移動通信」、ろうそく運動が基盤となった「民主政府」がブロックチェーンの技術の活用を促進するであろうという展望が出ている。

 ブロックチェーンは取引元帳や契約書などをデジタル技術で「ブロック」化し、利害当事者や参加者らのパソコンやスマートフォンなどに分散保存した後、各ブロックを「チェーン」で縛ることができるようにする技術である。新しいブロックが追加されるプロセスを「マイニング」というが、既存のブロックの保有者(当事者)のうち50%以上の同意を受ければ有効と認められ、ブロックチェーンの元帳に追加される。

 このような技術の特性を活用すれば、金融取引を含めた各種取引や契約システムを構築した時、政府ないしは「中央」や第3者の公認・仲介・保証・公証を受ける手続きが必要ないように設計することができる。当事者と参加者全員の取引・契約に関連するデジタル書類を全員が保管・管理し、全員の検証と同意なしには内容を変更したり、追加できないようにすることで代わりにする。サムスンSDSはこれを活用して物流システムの効率性を高め、IBMとマスクは保証の手続きが必要ない国際貿易システムを構築した。

 専門家らは、技術的にはこの地に住む人びと同士でブロックチェーンの技術を活用し、政府を排除した状態で大韓民国市民という事実を認証できるシステムを構築することもできると話している。どの建物が誰の所有であり、いつ購入し売却したかなどを登記所なしで認証する体制を作ることもできるという。一カ所あるいは少数者だけで管理する方式でないため、保安性と透明性が優れ、各種の手数料を払わないメリットもある。

 しかし、少なからぬ議論が広がるのはやむを得ない。今回の仮想通貨の事態を新・旧体制の衝突と見る見方もある。仮想通貨が中央銀行が発行する法定通貨中心の経済体制を揺るがすこともありうるということだ。各国政府が仮想通貨の規制案をめぐり混乱をもたらしている様子からは、仮想通貨を既存の金融体制に組み込もうとするのは「ゾウを冷蔵庫に入れる」くらい無謀であり、だからといってそのまま置いておくのは従来の経済体制が揺らぎかねないとみるもどかしさが感じられもした。

 今回の事態を通じてどのような教訓を得ることができるだろうか。何より政府省庁の政策担当者たちと大統領府もブロックチェーンを含めたIT技術に関心を持ってほしい。認識していないだけだが、ブロックチェーンの技術はすでに生活の中のサービスとして急速に広がっている。

キム・ジェソプ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/it/828217.html韓国語原文入力:2018-01-17 22:45
訳M.C

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