本文に移動
全体  > 経済

iPhoneの“故意性能低下”に米国の消費者が怒った

登録:2017-12-25 22:09 修正:2017-12-26 07:45
20日、アップル「性能低下アップデート」発表を契機に 
米イリノイ・カリフォルニア州などに訴訟拡散 
「最新型を売るための意図的詐欺行為」 
韓国国内では訴訟提起ないが、消費者の不満高調 
米国と異なり集団訴訟制がないことが“制約”
アップルのロゴ=資料画像//ハンギョレ新聞社

 アップルのiPhone“故意性能低下”に対する米国消費者の訴訟が拡散している。韓国国内ではまだ訴訟の動きはないが、消費者の不満は大きく、今後の動きが注目される。

 25日、米国のIT専門メディアであるシーネットなどによれば、イリノイ州シカゴに住むiPhoneユーザー2人が、現地の裁判所にアップルを相手どり集団訴訟を提起した。この訴訟には、オハイオ州、インディアナ州、ノースカロライナ州の消費者も原告として参加した。カリフォルニア州でも同じ問題を提起する訴訟が提起されるなど、米国全域に訴訟が拡大している。

 イリノイ州の現地裁判所に対するiPhoneユーザー5人の集団訴訟を代理するジェームズ・ブラキス弁護士は「アップルの旧型iPhoneの性能低下は、最新型iPhoneの販売を促進するための意図的詐欺行為」と主張した。新しいiPhoneの販売を増やすために、アップルが意図的に旧型iPhoneの性能を低下させるiOSのアップグレードをしたと見ているわけだ。

 アップルは今月20日に性能低下ソフトウェア・アップデートの事実を明らかにした後、論議が拡散しているが、追加の反応は出していない。当時アップルは、iPhone6と6PLUS、6S、6SPLUS、SE、7,7PLUSに対して性能低下ソフトウェア・アップデートを適用し、将来は他の機器にも同じようにアップデートを実施すると明らかにした。アップルは「リチウムイオン・バッテリーは、周辺温度が低かったり、充電があまりされなかったり、老朽した状態では機器を保護するために突然電源が切れることも起こりうるので、こうした現象を防ぐために性能低下機能を導入した」と主張した。

 韓国国内の消費者も不満を明らかにしている。100万人を超える会員を持つあるアップル製品ユーザーの集いのインターネットカフェには、本人のiOSのバージョンを公開し、性能低下アップグレードがされているかを尋ねる質問が大量に上がってきた。また、OSの性能を点数化して見せてくれるアプリである「Geekbench」をダウンロードして、本人のOSで決定された点数を公開する動きもある。

 韓国ではまだアップルを相手にした訴訟の動きは出ていない。問題が明らかになってからまだ一週間も経たず、米国のように企業相手の訴訟になじまない文化のせいと見える。だが、状況の変化によっては、韓国でも訴訟が可能になり得る。韓国国内のiPhoneユーザーが350万人に達し、機器の性能に敏感な消費者が少なくないためだ。ただし、訴訟が提起され勝訴しても、訴訟の当事者だけが補償を受けることになる。米国と異なり、韓国では証券分野にのみ集団訴訟制が導入されていて、一般分野にはまだ集団訴訟制が導入されていないせいだ。

 放送通信委員会、産業通商資源部など政府当局は、今回の事態に対する調査着手など、即座に介入する計画は出していない。問題になった部分が、政府当局が管轄する電波・通信・安全規制に該当する事案ではなく、機器の動作と関連したソフトウェアアップデートであるためだ。ただし、消費者に知らせずに機器の性能を落とすアップデートをした点が、消費者欺瞞行為に該当する可能性があり、この部分は韓国消費者院などが乗り出す余地がある。

チェ・ヒョンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/it/824964.html韓国語原文入力:2017-12-25 14:54
訳J.S

関連記事