文在寅(ムン・ジェイン)大統領の訪中を控えて一部解除された中国の韓国行き団体観光が、再び制限されていることが分かった。
22日、中国国内の旅行業界の話を総合すれば、先月28日に韓国行き団体観光を許容した北京と山東省の当局が揃ってこれを撤回し、来月から団体観光が再び暫定中断される予定だ。山東省の一部の市では、関連当局が旅行会社を招集した会議の席で直接通知し、北京でも26日に同じ形の会議が開かれることが分かった。北京の一部の旅行会社はまだ1月観光商品を販売中だが、対外的には「募集できない」という立場を明らかにしている。近い将来、販売中断につながる可能性が高いと思われる。
中国がこのような措置を下した背景は明らかでない。韓国の外交部は、中国政府の公式的な措置ではないと判断している。中国外交当局は、韓国外交部に「意図しない偶発的事件」と説明したという。中国外交部の華春蛍報道官は20日、ブリーフィングで韓国旅行の制限問題について「聞いたこともなく、承知していない」という立場を明らかにした。
習近平国家主席と李克強首相が、直接文在寅(ムン・ジェイン)大統領の訪中当時に韓国との関係改善に言及した状況で、こうした制限措置が出てきたことは理解し難いという反応が多い。ただし業界では、文在寅大統領の訪中など韓中あつれきの緩和局面で、中国が「好意」で出した措置が必要以上に過熱したため速度調節に出たという見解が一般的だ。特に、民間団体が推進した大規模広報性招待旅行(Familiarization Tour)は当初の趣旨に反しており、当局を緊張させたという観測もある。当初北京発韓国行きの旅行は、旅行会社の所在地と出発地さえ北京なら、出身地がどこであっても関係なかったが、山東省は利用客の出身地も山東省に限定した。それでも未だに地域を限定しない「12省150人」を掲げた招待旅行が進行されているため、当局は内心穏やかでなくなったということだ。
韓国国内の観光業界は打撃が避けられなくなった。団体観光再開のニュースに再び人材と資源を探し集めて準備していた企業らは、青天の霹靂だった。業界関係者は「辞めて他の仕事をしていたかつての職員をようやく説得して、再び連れてきたとして困り果てている業者もいる」と伝えた。ただし、別の関係者は「これまでどおり個人観光を中心に商品を運営中で、団体観光も冬季五輪もあるので、一部過熱された部分が整理されるだけなら近いうちに再開されると思う」と話した。
韓国政府は中国側の説得に乗り出す見込みだ。大統領府関係者は22日、春秋館で記者たちと会い「(韓国行き団体観光客の制限解除は)韓中首脳会談の結果、李克強中国首相が約束したことではないか」として「きちんと履行されるよう事後措置に対する要請を続けている」と話した。