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レーガン、ブッシュも“超大型減税”したが、投資・雇用効果はなかった

登録:2017-12-21 23:51 修正:2017-12-22 20:43
米、法人税最高税率大幅引き下げ 
「韓国も後に続け」追従論台頭

法人税を引き下げれば投資・雇用効果?
過去の韓米両国で法人税引き下げた結果は
企業の社内留保金を増やしただけで
財政赤字拡大し所得不平等深まる

法人税、韓国の方が過大?
韓国は非課税減免措置が多く
実効税率は米国の方が高い

主要国の法人税実効税率の推移(単位:%)資料:租税財政研究院、各国国税庁//ハンギョレ新聞社

 韓国の年間国内総生産額に相当する1兆5千億ドル(今後10年間)の大規模減税案が米国の上・下院を通過し、ドナルド・トランプ米大統領が火を点けた減税の引き金が、韓国の法人税政策の行方にも一つの挑戦として台頭する様相だ。保守マスコミなど一部では「競争的法人税引き下げ傾向に韓国だけが逆行している」として、韓国も引き下げの隊列に参加すべきだと主張している。しかし、法人税の引き下げに投資・雇用・所得などの経済活力を振興する効果はほとんどないということは、すでに経験的に判明しており、むしろ所得不平等の深化と国家財政赤字の累積だけを招くという指摘が出ている。

 米国の上・下院は20日、連邦法人税の最高税率を35%から21%に引き下げる減税法案を通過させた。これに先立って、韓国は今月5日に国会で法人税の最高税率を22%から25%に引き上げる政府案を通過させた。両国の法人税最高税率が来年から逆転するわけだ。

 もちろん、法人税は外国資本・企業の国内投資誘致と直・間接的に関連しているだけに、個人所得税に比べて国際的な変化の傾向を敏感に考慮しなければならない、いわゆる“国際租税”の性格が強い。だが、米国発の減税などグローバル動向に韓国の法人税政策もむやみに従わなければならないわけではない。韓国租税財政研究院のキム・ジェジン先任研究委員は「他国が法人税を引き下げたからといって、韓国も単純について行かなければならないという論理は、租税の機能と韓国の特殊性を考慮しない誤った主張」だとし「韓国は租税支出、すなわち各種の非課税減免項目がきわめて多く、名目税率と実効税率の格差が高い方で、そのため法人税の引き下げには一層慎重でなければならない」と話した。トランプの人気迎合主義(ポピュリズム)に便乗し、むやみについて行ってはならないという話だ。

 特に租税は、各種控除・減免項目が多いので、名目税率より実効税率(各種の税額減免などを含めた実際の負担率)を確かめる必要がある。個別企業の法人税実効税率の場合、米国の大規模減税にもかかわらず、依然として米国の方が高い状態を維持し、一部法人においてのみ韓国がやや高くなる公算が大きいという分析が出ている。米国は今回、名目税率が単一税(21%)に改編された反面、韓国では法人税納付企業の大部分が10%および20%課税の段階を適用され、ごく少数のいくつかの企業だけが最高税率(25%)の適用を受けるため、実効税率では概して韓国が低い状態を維持する可能性が高いということだ。

 法人税の引き下げが、国内外の資本・企業の投資振興を牽引し、生産・雇用が増加して、究極的には国家の税収がかえって増えるという、いわゆる「ラッファー曲線」の論理も疑問視されている。キム研究委員は「韓国の財政赤字が最近国内総生産の40%を超えるほどに急増している反面、各種の福祉需要も急速に増加し、両者の格差が大きくなっている」として「米国と韓国は共に過去の経験上、法人税の減税により企業の投資、雇用、所得が増加する効果はほとんどなかった」と話した。1980年代のレーガン行政府と2000年代のブッシュ行政府時期、そして金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)、李明博(イ・ミョンバク)政府時期に法人税減税政策を展開したが、投資が増えるよりは企業の社内留保金だけが大幅に増え、国家財政赤字ばかりが累増したということだ。IBK投資証券のチョン・ヨンテク常務は「過去の法人税引き下げの度に企業の貯蓄は増加したが、企業投資には変動がなかったり下落した」として「法人税の引き下げが投資を刺激するよりは企業の内部留保に使用されたことを示す」と話した。企業の投資決定は、単純に法人税率だけで直ちに決定されるものではないという話だ。

 低成長体制で財政の積極的役割が一層強化されなければならない今、法人税引き下げは、財政赤字の累積とこれに伴う財政支出の弱化で、所得再分配のための公的支出の減少を招き、結果的に所得不平等を深化させることになるという指摘も多い。のチェ・ソヨン・サムスン先物エコノミストは「トランプの減税案は、企業と高所得層には良いだろうが、政府の財政収入急減とセーフティネットの萎縮を引き起こし、貧富格差の拡大という費用を支払わなければならないだろう」と診断した。韓国もこの例外ではありえない。さらに、韓国に対する外国資本投資家が法人税率の変動だけに敏感に反応するわけでもない。産業部関係者は「海外資本が国内に投資する時は、法人税率の他にも収益性や安定性に及ぼす他の色々な要因を問い詰めることになる」と話した。

チョ・ゲワン、ハン・クァンドク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/824606.html韓国語原文入力:2017-12-21 19:14
訳J.S

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