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明かな「上高下低」傾向に「3%成長」への懐疑論広まる

登録:2017-10-02 03:35 修正:2017-10-02 17:27
下半期に入り成長スピードが減速 
政府も「ミニ浮揚策」掲げる 
北朝鮮リスク・THAADめぐる対立による影響大きく 
韓国銀行総裁「実体経済への打撃を警戒」 
韓中通貨スワップの延長の有無や 
米国の為替操作国の発表にも神経尖らせる
景気動向指数の循環変動値(資料:統計庁、単位:ポイント)//ハンギョレ新聞社

 今年下半期に入り、成長速度の鈍化が顕著になっている。今年上半期の“急成長”によるベース効果(base effect)として説明できるレベルを超えている。北朝鮮関連リスクが浮き彫りになったうえ、高高度防衛ミサイル(THAAD)配備による波紋も予想を超えたためだ。今年「3%成長」を標榜してきた政府も、一層愼重な態度を示している。

 1日、韓国銀行と統計庁資料などによると、今年に入って年間景気は明確な「上高下低」(上半期には高く、下半期には低い)傾向を示している。景気局面を一目で示す「景気動向指数の循環変動値」は今年3~4月に101.1ポイントでピークに達してから、下落を続けている。8月現在、この指数は100.8ポイントで、今年2月(100.7ポイント)と同じ水準だ。製造業を含む「鉱工業生産」も前年同月比の増加率が今年の2月(6.7%)をピークに、増加幅が緩やかになってきた。さらに今月6~7月には2カ月連続で減少に転じたが、8月(2.7%)に入ってから増加傾向を示している。文在寅(ムン・ジェイン)政権発足後に急騰した消費者心理指数も、8月から2カ月連続で下落傾向にある。

 専門家らは9~10月の指標は、さらに鈍化する可能性が高いと見込んでいる。8月までに出た生産・消費指標などには、9月に起きた「北朝鮮リスク」が十分に反映されていないからだ。民間経済研究所のある研究委員は「正確に予測するのは難しいが、少なくとも最近1カ月に限ってみると、景気を下押しするリスクが拡大したことは明らかだ」とし、「補正予算の執行効果が新しく浮上した要因によってかなり相殺された可能性もある」と話した。

鉱工業生産指数(資料:統計庁、前年同月比、単位:%)//ハンギョレ新聞社

 これからの状況も簡単ではない。まず、史上最長期間の秋夕(中秋節)連休が国内経済にいかなる影響を与えるかもわからない状態だ。当初、国内消費の拡大が期待されていたが、経済的に余裕のある中間層以上は、連休期間を海外で過ごす流れが明らかで、操業日の縮小による「生産減少」の規模も少なくないと予想されるからだ。しかも、今月10日に期限を迎える韓中通貨スワップが再延長されるかどうかも不透明だ。中国人民銀行との交渉が進めている韓国銀行側は「期限の直前まで行ってみないと、分からない」として、緊張の糸を緩めていない。再延長されない場合、THAADで触発された両国間の軋轢がさらに深刻化すると見られ、、市場変動性を高める余地がある。今月13日に予定されている米財務省の「為替操作国リスト」発表も、金融市場の変動性を高める要因となり得る。最近、国内債券市場であらわれた外国人の国内債権大量売りも不安感を高めている。

 最近の景気診断と関連し、イ・ジュヨル韓銀総裁は先月29日、記者団に「北朝鮮リスクが1カ月の金融通貨委員会会議(8月31日)の時よりさらに高まり、金融市場の変動性が高くなったのは事実だが、幸い、指標上ではまだ実物経済に否定的な効果を及ぼしていないものと見ている」としながらも、「しかし、これからこのリスクがさらに高まれば、実体経済にも否定的な影響を及ぼしかねないという点を警戒している」と述べた。まだ韓銀が予想する“成長経路”には変化がないが、これからは様相が変わるかもしれないということだ。

 多くの経済分析機関は、今年3%の成長は難しいと見ている。7月まで先を争って既存の予測値を上方修正していた時とは全く異なる雰囲気だ。最近の経済見通しを発表した国会予算政策処も、今年の成長率を2.9%と予測した。韓銀の関係者は「今月中旬に発表する修正経済展望には最近拡大された景気下押しリスクを反映する計画」だと明らかにした。韓銀は7月、補正予算の効果は反映せず、2.8%の成長を展望した。政府が先月28日、雇用事業を中心に中央財政執行率を引き上げ、地方財政の拡大を誘導する「ミニ浮揚策」を掲げたのも、今年の成長率が当初の期待を下回る可能性が高くなったためと見られる。

キム・ギョンラク記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/813283.html 韓国語原文入力:2017-10-01 20:32
訳H.J(2101字)

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