北朝鮮のミサイルが日本上空を横切ったが、なぜ円高傾向なのだろうか。
18日の国際為替市場の推移を見ると、最近、北朝鮮核危険が高まるたびに日本の株式市場は急落したが、円の価値はむしろ強気を見せた。北朝鮮が6回目の核実験を行った4日、日経指数が1%近く急落するなど世界の証券市場が乱高下したが、円はドル当たり0.61%下落(円高)した。北朝鮮のミサイルが日本上空を通過した15日にも反射的に円高を示した後、地政学的危機が拡散しないという見方によって元に戻った。
円はスイスフラン、米ドルとともに危険性を避けようとする資金が集中する安全通貨に分類される。特に円は安全資産の必須要件である対外支払能力の信頼を得ている。日本の経常収支は20年以上黒字を持続し、外貨保有額が中国の次に多く、金融資産が金融負債より大きい最大の純債権国だ。日本中央銀行が伝統的に景気浮揚よりもインフレ抑制に重きをおいて円の実質購買力が保存されるという点も、買いが増える要因だ。
そうだとしても、北朝鮮のミサイルの射程距離が及ばない米国よりも日本の通貨が強気を見せているのは簡単に理解できない側面がある。専門家らは円が危機に強い理由として、日本経済が対外の衝撃に鈍感だという点を挙げている。ユジン投資証券のイ・サンジェ理事は「日本の国家負債の90%は自国民に借りたものであり、どんな危険が押し迫ってもモラトリアム(債務の返済延期)が出る可能性がない」と説明した。外国人たちが日本の国債を売っても、円の安定性は揺るがないということだ。
安全通貨の供給がどんどん減っている点も、円買いを煽り立てる。代表的な安全通貨だったドイツのマルクは、ユーロ圏の発足によって消えた。昨年6月のブレグジット(英国の欧州連合脱退)の決定でユーロとポンドも安全性が落ちた。中国人民元はまだ国際的信頼が足りず、取引の比重が低い。スイスフランもグローバル通貨ではなく、取引量が少ない。
マイナス金利の円を借りて、相対的に高金利通貨の資産に投資する手法(キャリートレード)の反作用と解釈する見方もある。例えば、円を借りて韓国株を買いつけ、北朝鮮の核危機が高まれば、韓国株を売って円に両替する「円キャリートレード」の清算構造のために買いが集中して円高になるということだ。
こうした学習効果で、外国為替市場では危機のたびに機械的に円を買う取引が行われている。キウム証券エコノミストのホン・チュヌク氏は「市場に恐怖が襲ってくる時、円と金を買うのが法則のようになった」と話す。