グーグルコリアがアンドロイド開放型OSの韓国消費者に提供した経済的効果は年間4兆5000億ウォン(約4300億円)に達するという分析結果を出した。アンドロイドはサムスンやLGの携帯電話など、アイフォンを除くほとんどすべてのスマートフォンで使われるOSで、ウインドウズなどと異なり消費者がグーグル側に払う費用はない。
グーグルコリアは22日、スマートフォンに使われるアンドロイドOSの経済効果を初めて定量化し分析した「アンドロイド開放型生態系が韓国に及ぼす経済効果」報告書を発表した。報告書は、企業、消費者、社会的恩恵に分けて効果を分析し、2010年にアンドロイド機器が初めて韓国国内で発売されて以来、アンドロイドが韓国の経済成長(GDP)に寄与した規模は約17兆ウォン(約1.6兆円)に達すると明らかにした。報告書を書いたビジネス戦略コンサルティング企業アルファベータのコンスタンチン・マティス博士(経済学)は「グーグルが提供したデータ以外の会社保有技術と400人の消費者対象インタビューを通じて分析した」と説明した。
グーグルとアルファベータは、韓国の消費者に「年間携帯電話料金のうち、いくら割引されたら現在使っているアンドロイドOSを放棄するか」で尋ねて、アンドロイドの体感価値を調査した。この結果、韓国のユーザーが算定した価値の平均値は年間15万2千ウォン(約1万4700円)であると調査された。スマートフォン用アプリの利用にともなう消費者の便益評価も年間15万7000ウォン(約1万5000円)と調査された。これを韓国国内のアンドロイドユーザー3000万人に掛け合わせて、消費者が年間4兆5000億ウォン以上の便益を得ていると計算した。
また、アンドロイドのオープンソース使用による企業と開発者の費用削減効果は、スマートフォン価格の引き下げをもたらし、競争および革新の促進により消費者の選択の幅を拡張させたと評価した。建国大のクォン・ナムン教授(経済学)は「サムスン・LG電子のような韓国メーカーだけでなく、多くの韓国国内の開発企業が短期間でグローバル競争力を育てることができたのは、誰もが無料で使用できるアンドロイド生態系の開放的特性が重要な役割を果したと見る」と話した。
アルファベータは「アンドロイドのこうした恩恵提供によりスマートフォンの普及率が高まり、2010年以後の5年間に韓国の年間GDPが最大で0.27%(約17兆ウォン)成長することに寄与したと推算した」と説明した。
だが今回の分析は、一方で消費者がスマートフォンOSプラットホーム(アンドロイド)を占めたグーグルに対してどれくらいの恩恵を提供したかは分析しなかった。グーグルは、アンドロイドOSに含まれた検索エンジンやメールを通してユーザーの消費形態など、途方もないデータを確保していると知られている。マティス博士は「オープンソースの生態系が持つ恩恵にのみ注目した。(グーグルが納めなければならない)税金や企業等の全世界的な競争については触れなかった」と付け加えた。