30日通商交渉本部長に任命されたキム・ヒョンジョン韓国外国語大学教授(58)は、参与政府で通商交渉本部長を務め、韓-米自由貿易協定(FTA)交渉を主導した人物だ。「FTA伝道師」として知られるキム本部長が10年ぶりに「通商政策の首長」としてカムバックし、かつて政府の「密室交渉」を批判してきた労働・農民団体の激しい反発が予想される。
文在寅(ムン・ジェイン)政府が政府組織法改定で復活した通商交渉本部をキム本部長に任せたことは、彼に対する「変わりない信任」を意味する。外交官の息子として日本・アメリカなどで育ったキム本部長は、高校と大学、修士・博士を終えた後、1989年から韓国内の法律事務所に勤めた。そして1995年外交部の通商諮問弁護士となり、政府の政策に関与し始めた。以後、通商専門官と通商交渉調整官(1級)を経て2004年3月、長官クラスである通商交渉本部長に任命された。文大統領が大統領府の参謀だった時期のことだ。大統領府関係者は抜擢の理由について「韓-米FTA交渉の内容を誰よりもよく把握している専門家に挙げられるから」と説明した。
キム本部長は参与政府当時、 盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の「FTA家庭教師」と呼ばれるほどに信任を得ていたと言われている。韓-米FTA締結の必要性について盧大統領を説得することに力を注ぎ、それによって大統領の信任を後ろ盾に交渉全般を主導したというわけだ。通商交渉本部長を終えた後は、国連大使に席を移した。彼は去年2月共に民主党に入党したのに次いで、5•9大統領選挙では文大統領の外交諮問を受ける専門家グループ「国民アグレマン」所属で活動した。
キム本部長は人事聴聞会の対象ではないが、過去の履歴などで議論が付いて回っている。キム本部長は国連代表部大使を終えて1年にもならない2009年3月、三星電子海外法務担当社長に席を移して口の端に上った。 韓-米FTAが個別企業に及ぼす影響が大きいのに、三星で国外特許・反ダンピングなどの業務を担当するのは適切なのかという批判が出たのだ。彼はまた、去年から務めている4年任期の世界貿易機関(WTO)上訴機構委員も辞任しなければならない。国民の党は「国際機構の重要な地位にある人まで連れてきて使わなければならないほど人材不足なのか」と指摘した。正義党も「アメリカに有利になるように後退したFTAを締結した張本人」だとしてキム本部長に対する人事が不適切だという点を強調した。
労働・農民団体の反発も激しいことが予想される。民主労総はこの26日、キム本部長の内定事実が知らされるや「キム本部長をまた任命すれば、(韓国がまたも米国に)引っ張り回される交渉をすることになるだろう」と批判した。全国農民会総連盟も「農民の苦痛と訴えを無視して韓-米FTAを推進した張本人」だとして、任命撤回を要求した。
◇キム・ヒョンジョン(58)△米国Wilbraham & Monson Academy、コロンビア大学政治学科△通商交渉本部長△駐UN大韓民国代表部特命全権大使△三星電子海外法務担当社長△韓国外大 LT (LT、言語・貿易)学部教授△世界貿易機関上訴機構委員
韓国語原文入力: 2017-07-30 18:32