ドナルド・トランプ米大統領が、韓米自由貿易協定(FTA)を「ひどい取引」と非難して「再協議を今はじめた」と明らかにした。荒い用語使いから見て、米国が自由貿易協定の交渉過程で韓国を極めて荒っぽく圧迫すると予想される。トランプ大統領は12日(現地時間)、エマニュエル・マクロン仏大統領と首脳会談をするためにフランスに向かう専用機内で「私たちは昨日(現地時間11日)付で韓国との再協議を始めた。やらなければならない」と明らかにした。
記者懇談会は当初“オフレコ”を前提に進められたが、異例にもホワイトハウスは翌13日に全文を公開した。韓米自由貿易協定交渉に対するトランプ大統領の意志を公開することにより、韓国を圧迫しようとする意図が伺える。
トランプ大統領の発言は、事実関係に反する側面がある。まず、米貿易代表部(USTR)が韓国政府に「改定および修正交渉」のための共同委員会特別会期の開催を通知した時点は12日なのに、彼は11日だと明らかにした。また、厳密に言えば、特別会期の開催通知だけであり、改定交渉を始めたとは言えないのにこれを既成事実化した。
このようにトランプ大統領が事実関係を違えて説明することは目新しいことではない。だが、貿易代表部が公式に「改定および修正」という用語を使ったのに、トランプ大統領がこれまで好んで使ってきた「再協議」という表現を再び動員したことは注目に値する。
もちろん、トランプ大統領はテレビのショーの視聴率を引き上げるために、刺激的な用語を使う習慣が身についている。「再協議」という用語には、既存の交渉全体を覆すというニュアンスが含まれており、自由貿易協定に反感を抱いてきた白人労働者支持層を掴むのに効果的だ。
問題は、これまでの流れを見れば参謀たちが大統領の発言に異議を唱えることはできず、最大限に貫徹しようとしてきたという点だ。これは、貿易代表部が「再協議」に準ずる改定交渉をする可能性があるという意味だ。
特にトランプ大統領は「私たちは韓国を保護している。だが、貿易では1年に400億ドルを失っている」と明らかにし、安保と貿易を連係させることもありうるという意を表わした。トランプ行政府は、中国および日本とも安保をテコにして貿易でより多くの譲歩を勝ち取る戦略を駆使してきた。米議会の専門メディア「ザ・ヒル」さえも「改定を越えた(再協議という)考えは、交渉を危険に陥れる可能性があり、同盟間の緊張を増幅させるだろう」と批判した。
トランプ大統領は中国とも角を立てた。彼は「私たちは悪い貿易取引で完全に荒廃した。中国と最も悪い取引をしている」と述べた。彼は「鉄鋼(ダンピング輸出)が大きな問題だ。それをやめさせる」と話した。
一方、崔天凱・駐米中国大使は13日、米国である行事に参加して「中国の核心利益、両国関係の重要な土台と関連したイシューに関して、頭の痛い懸案が出てきている」と述べたと「サウスチャイナモーニングポスト」が報道した。新聞は、トランプ大統領が中国産鉄鋼に対する制裁を検討する中で出てきた発言だとし、崔天凱大使が米中関係破綻の可能性にまで言及したと伝えた。