本文に移動
全体  > 経済

マート、精米所、パン屋まで…韓国農村商圏の捕食者ハナロマート

登録:2017-08-03 22:28 修正:2017-08-04 08:57
江原道横城畜産協同組合、ハナロマートでパリバケット運営 
1キロ以内にパン屋は5店…同一ブランドのパン屋は売上40%減少 
地域商人・住民500人あまり「路地商圏侵害中断」署名 
 
地域では強大な影響力を持つ農畜産協同組合、各地で軋轢 
農協中央会も「パン屋の直接運営は路地商圏の侵害だ」
江原道横城畜産協同組合//ハンギョレ新聞社

 中小都市で農畜産協同組合が、スーパーマーケット(マート)、精米所に続きパン屋の運営にまで直接手を出し、自営業者の路地商圏を奪っているという論議が起きている。地域共生を強調する農畜産協同組合が、逆に葛藤を煽っているという指摘だ。農業協同組合は、地域農協・畜産協同組合など1131の会員組合で構成され、これらが共同出資して作った連合団体が農協中央会だ。

 1日、江原道横城(フェンソン)畜産協同組合と周辺パン屋の話を総合すれば、韓牛で有名な江原道横城(フェンソン)は最近パン屋問題で騒がしい。横城畜産協同組合が大型フランチャイズのパン屋であるパリバケット店舗の運営を始め、周辺のパン屋の売上が大幅に減った。これに対し、パン屋・コーヒー専門店・餅屋・ピザ店など横城の小商工人と住民500人余りは「畜産協同組合の路地商圏侵害中断」を要求し署名に加わった。署名用紙は横城郡議会に提出した。横城市外バスターミナルの向い側の建物には「横城畜産協同組合は路地商圏を侵奪するな」という大型垂れ幕も懸けられた。

 今回の問題は横城畜産協同組合、が先月13日からハナロマート1階売場にパリバケット店舗を開いて始まった。畜産協同組合関係者は「マートを利用する消費者とすべての組合員が歓迎している」として「パン屋をより責任をもって運営するために直接運営することにした」と話した。

 だが、畜産協同組合の周辺地域でパン屋を運営する自営業者たちは、売り上げの減少で苦痛を受けている。横城郡は人口4万6千人の小都市だ。畜産協同組合のパン屋から半径1キロメートル以内にフランチャイズをはじめ個人が運営するパン屋が5店舗もある。特に畜産協同組合から790メートル離れている同一ブランドのパリバケットの店舗は直撃された。代表のチ・ミンジェさんは「月間の売り上げが40%も減った」として「もう商売を続けられそうにない」と話した。チさんは売り場を受け持ち、夫は製パン職人をしている。夫婦は365日休みなしで夜明けに出てきて夜遅くに退勤する。チさんは「畜産協同組合もフランチャイズ契約を受けたパリバケットも問題解決の意志がない」と嘆いた。他のパン屋も似た状況だ。市場で個人経営のパン屋を営むKさんも「景気が良くなくてそれでなくとも商売にならないのに、畜産協同組合が火の出た家に油をかけている」とし「売上が半分に減った。できることはパンを作ることだけなのに、この先どうすればいいのか」と話した。

 個人経営の自営業者が畜産協同組合を相手に競争することは容易ではない。商人たちは「地域で農畜産協同組合は大企業とも同じ」と話す。駐車場まで備えた大型マートのハナロマートで、多くの生活必需品を売り、パン屋まであるので消費者が集まらないわけがない。経済力があるだけに、攻撃的マーケティングも可能だ。横城畜産協同組合は営業を始めた後「7千ウォン(約700円)以上パンを買えばコーヒー1杯無料」という行事を行ったが、商人の反発で中断した。

横城市外バスターミナルの向い側の建物に懸けられた「横城畜産協同組合は路地商圏を侵奪するな」と書かれた大型垂れ幕//ハンギョレ新聞社

 横城畜産協同組合が今のように成長したのは、地域社会の助けによる部分が大きかった。「横城っ子」でトレジュール(パリバケットと並ぶ韓国のパン屋チェーン)横城店代表のキム・グァンスさんは「横城韓牛をブランド化するのに100億ウォンを超える税金を使ったと聞いている。畜産協同組合は畜産協同組合のためだけの機関ではない」として「地域の商人の食い扶持を奪うことは協同組合精神にも合わない」と話した。現在、全国で30余りのハナロマートにパリバケットとトレジュールが入っていて、このうち4つの農協と2つの畜産協同組合がパリバケット店舗を自ら運営している。農畜産協同組合はパン屋だけでなく、精米所、ガソリンスタンドなどの事業も営んでいる。農協が行う精米所事業にも反対の声がある。全羅北道益山(イクサン)農協の餅精米所について餅類食品加工協会など地域の商人が路地商圏侵害だとして反発している。

 ハナロマートの無分別な拡大も地域では論議の的だ。大型マート・企業型スーパーマーケット(SSM)と性格が類似したハナロマートは、農水産物が売上の55%以上を占めているという理由で義務休業(毎月2日)の規制を受けない。特に地域の農畜産協同組合は非営利法人であり、ハナロマートには出店制限もない。こうした理由から、地域ではハナロマートが伝統市場と路地商圏を崩壊させる主犯とまで言われている。江原道江陵市(カンヌンシ)小商工人連合会側は「人口21万人の江陵に27のハナロマートがある」として「路地商圏が崩壊して零細小商工人の没落が深刻な状況」と強調した。農畜産協同組合のハナロマートは、2014年2052店舗、2015年2095店舗、2016年2120店舗と拡大を続けている。流通業界では競争業者が規制を受ける間に、ハナロマートが中小都市で規模を大きくしていると指摘する。

 地域の農畜産協同組合を管理・監督する農協中央会も、路地商圏侵害に対しては改善が必要だという考えだ。農協中央会の関係者は「農畜産協同組合が直営でパン屋を営むことは路地商圏の侵害だと考える。問題を解決できるよう指導する」と話した。

キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/805377.html 韓国語原文入力:2017-08-03 17:02
訳J.S(2496字)

関連記事