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韓米FTA共同協議体、開始から激しい神経戦になる見込み

登録:2017-07-04 04:02 修正:2017-07-04 07:24
韓米FTAをめぐる両国協議体、目的・構成・日程は? 
「再交渉が目的」の米国と
「影響の分析・評価」求める韓国の立場に食い違い 
米国、既存の履行点検共同委員会のほかに特別共同員会に言及 
韓国「トランプ大統領と米国通商官僚の考えは共鳴せず」 
今月末発表予定のホワイトハウスの「貿易赤字報告書」に注目
先月30日(現地時間)、文在寅大統領とドナルド・トランプ米大統領がホワイトハウスのローズガーデンで、両国関係の発展と主要懸案についての合意事項を盛り込んだ共同声明を採択した後、共同マスコミ発表をしている=ワシントン/大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 韓米首脳会談の後続手続きとして韓米自由貿易協定(FTA)再交渉問題を話し合う両国の共同協議体がいつ、どのような形で構成されかが注目される。同協議体の目的を、米国側は韓米FTA協定文の改定に置いている一方、韓国政府はFTAの影響を分析・評価することを念頭に置いており、開始時点から両国の間で激しい神経戦が繰り広げられるものとみられる。

 3日、産業通商資源部の関係者は「相手がいる事案であり、この協議体がいかなる形と時期に、またどこに構成されるかについては、今のところ断定できない」とし、「両国首脳会談が終わった後、両国の実務チャンネルで公式に協議されたものはない」と話した。米国側の代表は米国通商代表部(USTR)だ。ホワイトハウスのサラ・サンダース副報道官は2日(現地時間)、「ドナルド・トランプ大統領の指示で、ロバート・ライトハイザー通商代表部代表が再交渉および協定の改定過程を開始するため、特別共同委員会会議を開く」と述べた。同協議体を韓米FTA協定文を改定するための「FTA再交渉」という枠組みからアプローチする可能性が高い。

 一方、韓国側は同協議体を「韓米FTAがこれまで5年間にわたり両国に及ぼした影響などを調査・分析・評価する」(1日、文在寅<ムン・ジェイン>大統領のワシントン特派員懇談会)役割を果たすものとして設定している。「韓米FTAの再交渉」はまだ既成事実化されたアジェンダではないという意味だ。同協議体をどのようなレベルで構成するかについても、両国の意見は食い違っている。文大統領は米国側の言う特別共同委員会ではなく、「実務レベルのタスクフォース(TF)」として構成することを米国側に提案した。

 米国側が「特別共同委員会」にこだわる理由は何か。韓米FTAをめぐって両国の関心議題を協議する公式協議チャンネルとしては現在、両国の通商次官補と通商代表部代表補を首席代表とする高官級「韓米FTA共同委員会」が稼動している。韓米FTA協定文第22条第2項は、毎年1回共同委員会を開催するように定めている。共同委員会第4回会議は今年1月、ソウルで開かれた。同委員会には自動車作業部会など様々な分野別の履行委員会が設けられている。米国側は、同共同委員会以外に別途の特別共同委員会を運営することで、「履行の点検」を超えて再交渉に向けた協議を目指すものと見られる。

 しかし、韓国の通商当局は、再交渉の可否を話し合う前に、韓米FTAの影響分析から始めようという立場だ。これは、トランプ大統領の相次ぐ発言とは異なり、米国の実務通商当局者たちは再交渉を「変動の可能性もある不確定な状態」と認識しているという判断に基づいている。実務級のタスクフォースで韓米FTAが両国にとって「相互互恵的」であることを立証できる事実と客観的証拠を提示すれば、再交渉は避けられるということだ。産業部の関係者は「これまで韓米FTAと関連したトランプ米大統領の発言は即興的なものであり、米国商務省や通商代表部実務者たちの考えとは共鳴していないのが事実」だと話した。ワシントンの米国通商高官らを相手に情報を把握してきた結果、通商実務者らは「貿易赤字の発生要因と改善案を主に『市場接近性』を中心に取り上げる」と言っただけで、FTAの再・改定に直接言及したことはほとんどないということだ。産業部側は「現在運営中の韓米FTA履行委員会を活用し、両国間の協定履行をさらに強化させていけば、米国の理解を得られると見ている」としたうえで、「ただし、共同協議体を別に構成するか、とれとも既存の共同委員会や履行委員会の枠組みを活用するかについては、検討している」と話した。

 韓国政府はトランプ大統領の当選後、官民合同の「対米通商協議会」と「米国に対する貿易・投資分析タスクフォース」を発足させ、今年5月、韓国政府の意見書を米国側に提出すると共に、先月には商務省と通商代表部に韓国側の分析結果を説明した。主な内容は、貿易赤字の増加はFTA協定自体ではなく、マクロ・ミクロ経済側面が複雑に作用した結果であり▽マクロ的には米国経済が拡大し、輸入需要が増加した反面、韓国経済の不況で米国産製品の輸入が減少しており、▽ミクロ的には、対米輸出の増加幅が大きな自動車・情報技術(IT)品目の場合、FTA以前から無関税や関税に変化がなかった製品であるため、韓国企業の対米投資の拡大による投資連携型の輸出が主要要因であるということだ。このような説得と共に、両国間の「エネルギー産業対話」チャンネルを作り、米国産シェルガスの輸入と投資協力に乗り出せば、再交渉の局面に入っていく事態を防げるという構想だ。

 両国間の共同協議体の構成は、米国の「貿易赤字報告書」が発表される今月末以降に本格的に話し合われるものと予想される。米商務省は韓国を含め、16カ国を対象とする貿易赤字報告書を先月29日、ホワイトハウスに提出した状態だが、ホワイトハウスの内部検討と修正を経て、早ければ今月末に発表されるものと見られる。ホワイトハウスは同報告書で貿易赤字対策として再交渉を含めて「韓米FTA問題」を記述する可能性が高い。

チョ・ゲワン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/801254.html 韓国語原文入力:2017-07-03 21:25
訳H.J(2562字)

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