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トランプ「鉄鋼=安保」…“輸入制限調査”攻め手に業界は非常事態

登録:2017-04-21 22:46 修正:2017-04-22 02:42
行政命令書にサイン、調査着手を指示 
「鉄鋼は国家安保において非常に重要」 
 
「安保掲げた大国の論理」批判 
中国を主に狙うが、韓国もターゲット 
ポスコ・現代製鉄など対策に腐心
ドナルド・トランプ米大統領が20日(現地時間)、ホワイトハウスで国家安保のため外国製の鉄鋼の輸入を制限する必要があるかどうか調査させる内容の行政命令にサインした後、その書類を掲げて見せている=聯合ニュース//ハンギョレ新聞社

 ドナルド・トランプ米大統領が20日(現地時間)、ワシントンのホワイトハウスで国家安保のために外国製鉄鋼の輸入を制限する必要があるかどうか調査させる内容の行政命令に署名した。自国の産業保護の刃を研いだ米国の輸入規制の壁が日増しに高くなり、国内の鉄鋼業界は非常事態がかかった。

 今回の行政命令は、国家の安全保障を理由に緊急貿易制裁を許容する1962年貿易拡大法232条に根拠を置いている。この条項は、米国の産業が外国企業との競争で被害を受け、安保に害を及ぼす危険があると判断されれば、先制的に制裁を建議できるようになっている。例えば、国外から入ってきた鉄鋼合金製品が軍艦や戦車の装甲板などを作るときに充てられることもあり、国家安保に影響を及ぼしかねないということだ。トランプは署名直後の記者会見で、「ダンピングは世界的な問題になっている。米国の鉄鋼産業は国家安保と産業基盤保護において非常に重要だ」と話した。

 しかし、世界鉄鋼業界は鉄鋼輸入を安保問題と結びつけるのは典型的な強大国の論理だとして反発している。国内鉄鋼業界の関係者は「米国が自国産業の保護のために安保論理まで引き出しているが、世界貿易機構(WTO)などに提訴する余地が多い」と話した。

 米鉄鋼産業保護の壁は、自国の企業の反ダンピング提訴でトランプ行政府発足以前から高まっているところだった。トランプは「今回の処置は中国とは何の関係もない」としたが、規制の刃が結局中国を狙うことは明らかだ。米鉄鋼業界は中国産の鉄鋼の氾濫が自社の競争力に打撃を与えていると不満を表出してきた。2008年金融危機以降、安価な中国産の鉄鋼が世界市場に殺到し、米国の保護貿易の傾向はさらに強まった。

 問題は、中国が輸入障壁を高める主な原因として作用したものの、反ダンピングと相殺関税賦課対象には韓国企業も例外ではないという点にある。ポスコ経営研究院のシム・サンヒョン先任研究委員は「米国が中国との貿易不均衡を是正しようと圧迫カードを使い、他の輸出国が一緒にやられる恐れがあったが、その恐れが現実化されている」と話した。この日、ウォール・ストリート・ジャーナルは「トランプ行政府が55年がたった法条項を生かして国家の安全保障を理由に鉄鋼輸入に対する新しい貿易障壁を導入しようとしている」とし、「米国が1995年の世界貿易機構(WTO)の創設後、貿易拡大法条項を適用して一方的な制裁に乗り出したことはない」と指摘した。これに先立ち、米国商務省は18日、韓国をはじめ10カ国が輸出した鉄鋼線材に対する反ダンピング調査を開始した。

 これまで、ポスコや現代製鉄など国内鉄鋼業界は、冷延鋼板や熱延鋼板などを無関税で米国に輸出してきた。会社別に対応策作りに苦心するが、米国の力ずくの保護壁に対して明確な打開策がない状態だ。業界関係者は「全体の鉄鋼輸出で米国の比重は13%であり、多くはない。だが、力の論理を打ち出した米国の輸入規制の基調が他国に広がらないかがもっと心配だ」と話した。

ホン・デソン記者hongds@hani.co.kr(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/791743.html 韓国語原文入力:2017-04-21 18:27
訳M.C(1606字)

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