人的分割をする時、自社株の分として新株の割り当てを許可しないパク・ヨンジン議員(共に民主党)の商法改正案は、国内企業の中ではサムスングループとイ・ジェヨン・サムスン電子副会長に与える影響が最も大きい。パク・ヨンジン案が国会を通過した場合、サムスンは持株会社体制に転換しようとする支配構造の再編を相当期間止めるものと見られる。
サムスン電子は昨年11月「株主価値の強化案」を発表し、「持株会社への転換の可能性など株主価値を最適化するための案を検討している」とし、「検討するのに少なくとも6カ月程かかるものと予想している」と明らかにした。株式市場ではいくつかの案のうち、イ・ジェヨン副会長がサムスン電子を人的分割した後、持株会社体制に転換することを有力なシナリオと見ている。イ副会長のサムスン電子持ち株率は0.6%であり、きわめて微々たるものだからだ。李健煕(イ・ゴンヒ)会長と系列会社の持ち分などを合わせても、イ副会長側の持ち分は18.45%にとどまるが、外国人の持ち分は50%を超える。イ副会長が時価総額が270兆ウォン(約26兆円)を超えたサムスン電子の持ち分を追加で買い入れ支配力を拡大するのは、費用負担があまりにも大きい。さらに、2014年に倒れた後起きられずにいる李会長の株式を相続するためには、天文学的な税金も納めなければならない。
このような状況で、イ副会長は実績が良くない場合、経営権が攻撃される危険にさらされている。2015年、サムスン物産と第一毛織を合併したときもヘッジファンドのエリオット・マネジメントなど外国人株主たちの反撃が少なくなかった。
それで「自社株マジック」を活用する人的分割方式の持株会社体制転換が取り上げられている。サムスン電子は会社の金で買い入れた約2121万株(13.15%・2016年9月基準)の自社株を保有している。自社株は議決権がないが、人的分割後に離れた会社の新株を自社株の割合分だけ議決権がある状態に割り当てられる。このような自社株マジックを活用すれば、イ副会長一家はサムスン電子に対する支配力をこれといった費用負担なしに会社の金で強化することができる。
ユン・テホ韓国投資証券研究員は「イ・ジェヨン副会長にとっては、2月の国会で商法改正案が否決され、大統領選挙前後に人的分割をはじめとする支配構造の再編を再度試みる案が最善なものとみられる」と指摘した。これに先立ち、サムスン電子が支配構造改善案の検討時間とした最小期限は5月に終了する。この時期、イ・ジェヨン副会長が約束したグループ未来戦略室の解体を発表し、支配構造改善を名分に持株会社体制への転換作業を本格化できるという話だ。
これに対しパク・ヨンジン議員は、2月の臨時国会が持株会社制度の誤用を防ぐ「ゴールデンタイム」だと主張した。朴議員は「サムスン電子が持っている自社株は36兆ウォン(約3兆5千億円)規模だ。人的分割を通じ自社株を利用しようと集めたので、特検捜査を受けているとしてもこの方法を簡単には放棄しないないだろう」と話した。
韓国語原文入力:2017-02-08 08:32