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短期的利益より、長期的「トランプリスク」を警戒すべき

登録:2017-01-24 22:48 修正:2017-01-25 05:56
「原案どおりTPPが発効されたら、韓国経済に不利」 
米国の離脱で日本などは打撃受けるが、韓国には短期的に有利 
トランプ大統領が米国の利益を基準に公約守った事実に注目すべき
ドナルド・トランプ米大統領が今月23日(現地時間)、ホワイトハウスの執務室で環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの脱退を宣言する行政命令に署名した後、命令書を見せている=ワシントン/AFP聯合ニュース

 米国が環太平洋パートナーシップ協定(TPP)から離脱したことは、短期的には韓国の貿易に利益をもたらすが、トランプ政権の強硬な保護貿易主義の態度が再確認された点で、中長期的には韓国が警戒心を持たなければならないと分析されている。

 TPPはまだ発効前の段階にあるため、米国の離脱が韓国経済に直ちに直接的影響を及ぼすわけではない。むしろ、短期的には韓国に有利である。貿易協会の関係者は「もし原案通りTPPが発効されたなら、韓国経済に不利に働いただろう」とし、「日本やベトナムなどTPPに期待した国は打撃を受けるかもしれないが、韓国にとっては短期的に利益になる可能性がある」との見通しを示した。貿易保険公社の関係者も「米国のTPP離脱で韓国が失いかけた機会が再び到来した」と評した。TPPに参加しなかった韓国が、貿易・通商で不利益を被る可能性が消えたという趣旨だ。

 TPPは世界貿易規模で第1位と第3位の米国と日本をはじめ、12カ国が参加しており、発効した場合、世界総生産の約40%に達する世界最大の自由貿易地帯になる予定だった。韓国は最初はこの協定の加盟に前向きではなかった。日本を除く他のTPP加盟国の多くとすでにFTAを締結しているため、TPPによる利益は大きくないと判断したからだ。しかし、オバマ政権がTPPを対中牽制のための枠組みとして活用することを明確にしたのに加え、2013年春には日本が電撃的に加盟を宣言したことで、状況が変わった。TPPが発効すれば、日本との貿易競争で、従来のFTAによる韓国の利点が消えるのはもちろん、韓国が不利な立場に追い込まれる恐れがあるからだ。

 そのため韓国は、遅れて参加意思を表明したが、既存加盟国との速やかな協定妥結を希望した米国が拒否し、なかなか進まない状態だった。韓国がTPPに加盟しても、これが事実上、韓日FTAになることから、実益をめぐる議論を呼んだ。韓日FTAは部品産業における日本の高い競争力のため、韓国にとっては不利であるというのが一般的な評価だ。

 しかし、短期的な利点よりは中長期的な「トランプリスク」に注目すべきという懸念の声もあがっている。米国のTPP脱退が韓米FTAの再交渉など通商圧力の“兆し”になる恐れがあるということだ。ある貿易業者は、短期的な有利さに言及しながらも、「注目すべきはトランプ大統領が保護貿易主義の公約を実行に移したという点」だと話した。貿易協会の関係者も「今回の離脱で米国が(多国間協定ではなく)二国間協定を通じて米国の利益を確保しようとしていることが明らかになった」と指摘した。トランプ大統領が今後韓国に対しても“米国利益優先主義”の通商政策を強いる可能性を念頭に置くべきということだ。産業研究院もトランプ氏の当選直後に発表した報告書で「(トランプ政権が)TPP交渉の再検討と連携して(韓国に)サービス産業の早期開放などの要求を強めるだろう」との見通しを示した。

コ・ナム記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/780062.html 韓国語原文入力:2017-01-24 16:50
訳H.J(1444字)

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