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最新スマホ、ロック外せず韓国警察がてんてこ舞い

登録:2016-11-23 20:47 修正:2016-11-24 06:42
アップル社の最新アイフォン=資料写真//ハンギョレ新聞社

 警察が押収捜索で確保したスマートフォンの内容物分析が、ますます難しくなっている。最新スマートフォンの場合、多くの情報が暗号化されて保存されているため、ユーザーがロックを解除しなければ、事実上内部資料を覗き見ることができないためだ。本人の同意を得ずにメーカーがスマートフォンのロック解除に協力することは、私生活侵害の素地が大きいので許容してはならないという声も強い。

 22日、警察庁と参与連帯の説明を総合すれば、参与連帯のイ・ジェグン政策企画室長は4月、総選挙の時に落選運動を行った疑い(公職選挙法違反)で警察の捜査を受けた。警察は9月に起訴意見で送検したが、押収したスマートフォン(アップルのiPhone6)はついに覗き見ることができなかった。イ室長がロック解除用のパスワードを教えなかったためだ。警察庁が作成した「デジタル証拠分析結果報告」によれば、「6月21日、被疑者の立ち会いの下にロックを解除してイメージを生成しようとしたが、依頼物に設定されたパスワードを被疑者が教えなかったため、イメージングおよび分析作業を実施できなかった」と記されている。警察は同じく参与連帯のアン・ジンゴル事務局長所有のサムスン製2G携帯電話についてはデジタル科学捜査に成功した。

 ロックが解除されなくともスマートフォンからデータを取り出すことはできる。だが、正常なアプローチでなければ、暗号化されたデータを一つずつ別々に解除しなければならない。警察庁関係者は「データを暗号化するには保存空間が多く必要だが、アップルのiPhone5,6,7、サムスンギャラクシーS7など最新型の携帯電話は保存空間が大きい。暗号化水準が高く、正常アプローチでなければ暗号化されたデータを覗き見ることは難しい」と説明した。また別の警察庁関係者は「これらの携帯電話はロック解除用のパスワードが何度も間違えて入力されれば、保存された内容を消去する機能がある」として「OSがアップグレードされたり新機種が出て来る度に、セキュリティー解除の技術も新たに開発しなければならないという困難がある」と話した。

 米連邦捜査局(FBI)は昨年12月、テロ容疑者が使っていたiPhone5Cのロック解除をアップル側に要請したが拒否された。連邦捜査局はアップル社を相手に「ロックを解除してほしい」として訴訟を起こし、「外部業者に130万ドル(約1億4千万円円)を支払いロック解除に成功した」として、訴訟を取り下げた。アップルの最高経営者ティム・クックが「顧客の個人情報はアップルのものではない」という立場を明らかにすると、オバマ大統領は「絶対に突き破れないシステムを構築すれば、どうしてテロ謀議を防げるか」とアップルを批判し、賛否論争が起こった。

 韓国でも同様な論争が起きうる。警察は「スマートフォンのメッセンジャー対話内容などを押収捜索令状でも確保できないならば、事件の真実を明らかにすることは難しい。製造業者がデジタル科学捜査に協力するよう、法改正が必要だ」という立場だ。参与連帯公益法センターのヤン・ホンソク運営委員(弁護士)は「公益的目的があるからといって、すべての情報収集活動が正当化されるわけではない。スマートフォンは私生活が高度に集積された機器だ。捜査機関がユーザーの同意を得ずにメーカーを通じてスマートフォンのロックを解除できるようになれば、好き放題に市民の居間に出入りできるようにするのと同じ」と指摘した。

 現在、携帯メーカーは捜査機関の協力要請に応じていない。LG電子関係者は「スマートフォンのロック解除用パスワードは、ユーザー本人にのみお知らせしている。個人情報の保護水準は購買に影響を及ぼす重要な事項なので、捜査協力要請には応じない方針」と話した。サムスン電子は「公式な立場は決まっていない」と答えた。

キム・ジフン、パク・スジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/771673.html 韓国語原文入力:2016-11-23 18:20
訳J.S(1744字)

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