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主要国のインフレ期待じわり…景気回復のシグナルか

登録:2016-10-26 01:21 修正:2016-10-26 11:18
「最初の製造者」中国、「最終消費者」米国の物価同時上昇 
原油価格上昇のためか…、通貨緩和で資産価格上昇の影響も 
金利引上げのスピード加速か、債券市場は緊張 
 
需要の増加なく原油価格のおかげ、持続性については疑問 
不況の中物価のみ上昇するスタグフレーションの懸念も 
中央銀行、資産価格を調整しつつインフレ期待維持する「二重の課題」
最近2カ月間の米国の期待インフレと国債10年の金利の推移 (資料:ブルームバーグ、大信証券)//ハンギョレ新聞社

 最近に入り、中国や米国など主要国の物価指標が上昇の兆候をみせている。主要国の中央銀行が物価を景気判断の主要指標としているだけに、今後物価上昇が趨勢として持続できるかどうかに関心が集まっている。無差別な量的緩和政策の末に首をもたげたインフレへの期待に添いながらも、急騰した住宅価格など資産価格を調整すべき中央銀行の悩みが深まる。

 14日に発表された9月の中国の生産者物価は前年比で0.1%上昇し、4年8カ月ぶりに上昇へ転換した。18日(現地時間)に発表された米国の9月の消費者物価は前年比で1.5%上昇し、2014年10月以降最も高い水準で上がった。9月の米国の小売販売も前月比0.6%上昇し、3カ月ぶりに不振から抜け出した。米国の消費景気が良くなっていることを意味する。英国の9月の消費者物価も1%上がり、韓国も1.2%上昇した。

 原油価格の急落傾向が止まったことがこのような物価上昇の主要因になった。昨年下半期から急落し、今年2月バレル当たり20ドル台まで値下がりした国際原油価格は、最近50ドルを超えた。米国の場合、通貨緩和政策で不動産価格が高騰し、家賃などが上がったことも一役買った。ハナ金融経営研究所のチャン・ボヒョン研究委員は「グローバル価値連鎖で『最初の製造者』の地位にいる中国の生産者物価、『最終消費者』の地位にいる米国の消費者物価が同時に上昇する現象が観察され、インフレが継続するか否かに関心が集まっている状況」だと話した。

 債券市場では9月末から期待インフレ率が上昇したことが注目されている。ブルームバーグと大信証券の資料によると、米国で今後10年間の年間物価上昇率に対する期待を推算した期待インフレ率は、9月20日1.5%から10月24日には1.69%になり、1カ月あまりで0.19%ポイントも上昇した。物価上昇の兆しが見え、債券価格は下落(債権金利は上昇)に転じた。米国、ドイツ、イギリス、韓国の10年満期国債金利は、10月に入り24日までにそれぞれ0.1703%ポイント、0.144%ポイント、0.336%ポイント、0.187%ポイント上昇した。物価が上がると債券価格が下落する上、米金利引き上げのスピードが早まる可能性もあるためだ。

 最近、主要国の期待インフレ率と実際の物価の上昇傾向に対して、景気好転のシグナルではないかという期待の声が出ている。今年初めまで世界経済がデフレの懸念に苦しんでいたことを考慮すればさらにそうだ。理論的に物価が上昇すると期待されれば、消費者は購買を繰り上げ、企業も投資に乗り出す。

 市場の専門家は、原油のベース効果で来年初めまでは物価が上昇の流れに乗るだろうと見ながらも、需要の振起と持続性については確信できないという雰囲気だ。一部では来年度の世界経済成長に対する期待は大きくないという点を挙げて、スタグフレーション(景気不況の中で物価だけ上昇する現象)の懸念まで提起している。

 主要国の中央銀行は、ようやく首をもたげたインフレへの期待を維持しつつ、量的緩和によってバブルが生じた住宅価格など資産価格を調整しなければならない二重の課題に直面している。韓国銀行は、住宅市場の過熱が引き出した家計負債の急増を憂慮し、6月を最後に金利を凍結中であり、米連邦準備制度理事らはすでに昨年から不動産価格のバブルを懸念する発言を出している。ハンファ投資証券リサーチセンターのキム・イルク・センター長は「通貨緩和で不動産価格を引き上げたが、主要国の中央銀行はこれ以上資産価格が上がることを望んでいない。不動産価格を安定させる過程で再びデフレに陥る可能性があるため、慎重なアプローチが要求される状況だ」と指摘した。

キム・ヒョジン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/stock/767242.html 韓国語原文入力:2016-10-25 21:08
訳M.C(1856字)

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