販売不振と労組のストなどで伸び悩んてきた現代(ヒュンダイ)自動車が、品質問題まで重なり揺れている。米国市場では、相次ぐリコールと消費者集団補償でブレーキがかり、韓国国内では、エアバッグ欠陥の隠ぺい疑惑で代表取締役が検察に告発されるまで追い込まれた。
これまで現代自動車は、部品の欠陥疑惑が持ち上がるたびに、事実関係を透明にしてリコールを実施するよりは、内部是正処置と釈明に始終したとの指摘を受けてきた。今月9日、サンタフェのエアバッグ欠陥を隠ぺいした疑惑と関連し、「作業者が助手席のエアバッグの設定値を誤って入力した事案」とか、「担当者の手違いで当局に対する記載漏れが起きた」とした釈明に対しても、消費者の視線は冷ややかである。国土交通部が同事案を検察に告発したのは、韓国を代表する自動車メーカーのこれまで慣行に歯止めをかける象徴的措置と言える。メーカー側の論理よりも搭乗者の安全を優先しなければならないという点を明確にしたものと見られる。
現代自動車グループのチョン・モング会長は転換期を迎えるたびに「品質経営」を強調してきた。グループが困難に直面する時は経営の第一線に立って、「現場経営」を展開した。チョン会長のこのようなリーダーシップは、グループが危機を克服するのに大きな力を発揮してきた。
しかし、これからは経営方式を変えなければならないと、多くの専門家が指摘している。電気自動車と自動運転車の時代の到来で、自動車産業が激変期を迎えており、グローバル競争がさらに激しくなっている状況で、今のような垂直的組織構造では対処できないということだ。大林大学のキム・ピルス教授は「部品の欠陥問題の場合、リコールの事案であっても、自分のところで解決しようとしており、トップ(オーナー)に(報告が)届かず、初期対応を逃している」として、「硬直した垂直構造を革新し、互いを検証できるシステムを整えることが必要だ」と話した。
現代車グループの品質経営については、早くから懸念の声が上がっていた。新車の初期品質は相対的に高い評価を受ける一方で、耐久性については評価が低いことも考えてみる必要がある。現代自動車のユン・ガプハン社長は2013年の労使交渉過程で、品質競争力の低下が深刻なレベルであると言及したことがある。
米国のJ.D.パワーによる品質調査結果によれば、現代自動車の品質水準が推定できる。この消費者評価機関が今年初めに実施した耐久品質調査(VDS)で、現代自動車は20位、起亜自動車は18位をそれぞれ占めた。両社の評価点数は32メーカの平均にも及ばなかった。今年6月の初期品質調査(IQS)では、現代自動車が3位、起亜自動車は1位だった。現代自動車グループは「品質競争力を立証した」と強調したが、二つの調査結果には格段の差がある。耐久品質調査が3年という比較的長期間にわたって車に対する満足度を評価する一方、初期品質調査は新車購入から3カ月以内の満足度を示す。
現代自動車が今の状況に至った根本的な原因は複合的である。生産性と品質を同時に高めなければならない品質経営の限界が明らかになったと見る人もいれば、硬直した組織風土と下請企業の低い収益率が品質競争力の下落をもたらしたという指摘もある。現代自動車の主要系列会社の営業利益率は7~8%に達するのに対し、3、4次下請け会社の収益率は1~2%に過ぎないのが現実である。キム教授は「下請け会社の収益率を高め、研究開発に乗り出さなければ、"品質(経営)の限界"を克服できない。最高経営陣が特段の対策を講じなければならない時期」だと指摘した。