財閥オーナーたちの集いである全国経済人連合会(全経連)が、相次ぐ政経癒着疑惑に巻き込まれ、最大の危機を迎えている。保守右翼団体「大韓民国父母連合」(父母連合)に対する支援をめぐり、世論の激しい非難にさらされたのに続き、今度はミル・Kスポーツ財団の設立をめぐる疑惑の中心となった。一部では全経連解体論まで出ている。
全経連は1961年、朴正煕(パクジョンヒ)元大統領のクーデター以降、財閥が作った経済団体である。1960~80年代の軍事独裁と経済開発の時期に、政治資金を集めて政界に渡す窓口として機能するなど、発足当時から政経癒着から自由ではなかった。
一方、経済政策に関する財界の意見を伝える窓口となり、「財界の総本山」と呼ばれてきた。 1990年代の通貨危機直後にはビッグディール(財閥同士がグループの系列会社を交換あるいは統合する大規模事業交換)を主導するなど、韓国経済の中心軸とされた。しかし、最近はこうした役割は果たすことはあまりなく、様々な疑惑の中心として名前が取りざたされることが多くなっている。
全経連は、ここ1年間に3回も不適切な政界への関与を疑われてきた。昨年、朴槿恵(パククネ)政権が歴史教科書の国定化を推進した際には、全経連が傘下団体として設立した自由経済院が国定化の「広報大使」として活躍した。自由経済院は自らを独立非営利財団と主張し、教科書国定化問題について積極的な活動を展開したが、昨年11月に全経連から毎年平均20億ウォン(約1億8千万円)の支援を受けているとの疑惑が浮上した。今年4月に浮き彫りになった父母連合への支援問題も、全経連の政治介入をめぐる論争に火をつけた。親政府集会や、セウォル号事故の真実究明に対する反対集会の先頭に立った父母連合の借名口座に、全経連が5億ウォン(約4600万円)を超える金額を送金した事実が明らかになった。
全経連は、問題が起こる度に、不適切な行動を認めて反省するどころか、疑惑を否定し、大統領府に向けられた疑惑を背負い込む姿を見せている。イ・スンチョル全経連副会長は23日、役員・記者団セミナーで、ミル・Kスポーツ財団に対する大統領府の介入疑惑を否定しつつ、「財団の必要性に対して企業はもとより、大統領府も共感していた。複数の企業からもそのような意見を提示されたことを受け、全経連が実務を主導して両財団を設立することになった」と主張した。
これに対し、正義党のシム・サンジョン代表は「父母連合に資金を支援し、大統領の老後資金を提供する全経連は、もはや経済団体とは言えない。政経癒着の温床で、不正腐敗の主犯である全経連を、もう解体する時が来た」と主張した。国民の党のチャン・ジンヨン報道官も論評で「大企業からおよそ774億ウォン(約70億7千万円)をわずか2週間で募金するなど、政権実力者という虎の威を借る狐となり、不景気にあえぐ企業の腕をひねって金をむしり取るのが自由市場経済の暢達なのか」と問いただした。
大企業の間でも全経連に対する懐疑論が広がっている。全経連は、政経癒着疑惑が浮き彫りになる度に、門戸開放などの刷新を約束したが、いまだに変化した姿を見せていない。ここ1年間に起こったことも、独自では刷新が困難であることを示している。全経連の会長職は、各財閥グループが就任を固辞しており、ホ・チャンス(GSグループ会長)会長が3期(第33∼35代)連続で務めている。4大グループのある幹部役員は「全経連が大企業の利益を十分に代弁することもできず、かえって負担になっている」として、「朴正熙軍事政権時代に作られた全経連は、開発独裁の産物として変化した時代状況の中で限界を示している」と話した。ある元全経連役員も「大企業の利権団体としての全経連は時代的使命を終えたようだ」としたうえで、「国民経済全体の利益のために貢献する道を模索すべきだ」と指摘した。
韓国語原文入力: 2016-09-25 16:33