「財政余力充分…積極的政策を」
「健全性重視」韓国政府の苦悩深まる見込み
韓国政府は追加予算編成や税金減免より
来年の本予算拡大編成を検討へ
「通貨政策だけでは均衡成長不可」
G20共同宣言文も財政政策を強調
国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド総裁が、韓国をドイツ、オランダと共に財政余力が十分な国として名指ししたと17日伝えられた。 長期低成長を克服するには世界各国政府の拡張的財政政策が必要という点を強調した上での言及で、韓国政府は苦しい立場に立つことになった。 財政健全性を最重要視する財政運用をしてきた韓国政府が、外圧のために基調を変えざるをえない境遇に置かれたためだ。
「主要20カ国財務長官および中央銀行総裁会議」(G20経済会議)に参加した韓国銀行のイ・ジュヨル総裁は15日(現地時間)、米国ワシントンで記者団に「ラガルド総裁が財政余力のある国は積極的に財政(拡張)政策をすべきとし、インフラと財政健全性が備わっている国として韓国、ドイツ、オランダを挙げた」と伝えた。 特定国家を直接名指しして拡張的財政政策を求めたのは異例なことだ。 イ総裁はさらに「韓国の財政健全性が相当に良好であるのは事実」としながら「(財政支出を)もっと行うべきか、(財政を)どのように運用すべきか、韓国政府が熟慮せざるをえなくなった」と述べた。
実際、国際通貨基金が2014年に出した報告書によれば、韓国は主要国の中でも「財政余力」(241.1)が非常に高い側に属す。 国際通貨基金が各国の国家債務、財政規模、国債金利を総合して算出するこの指標は、124以上なら中長期的に財政安定性を傷つけずに短期支出を行う余力が高い安定等級に分類される(図参照)。
しかし、韓国政府はひとまず4・13総選挙以後の「与小野大」を形成した国会の状況と景気条件を考慮して、追加予算の編成や税金減免、財政早期執行ではなく、来年の本予算を拡大編成する方案を先に検討することにした。ユ・イルホ・副首相兼企画財政部長官はこの日ワシントンで行った記者懇談会で、「現時点では財政余力を活用する最も容易な方法は追加予算の編成や税金の減免だが、追加予算を行う時ではなく税金減免も乱発できない」として「結局、来年の予算(増加率)を(計画より)さらに増やして(財政)赤字の幅もより高める方案を考えてみることが可能で、これに対する判断を、まもなくしなければならないようだ」と述べた。 ユ副首相は特に「追加予算は(政府がしたくとも)総選挙以後は一層難しくなった。 野党は喜ばないだろう」とも述べた。
G20経済会議はこの日、拡張的財政政策を骨格とする共同宣言文を発表した。 宣言文は「通貨政策だけではバランスが取れた成長を達成できないので、成長と仕事の創出、信頼向上のために財政政策を柔軟に使う」と明らかにした。 さらに国家別財政運用原則と評価指標を用意した後、7月に開かれる会議に報告することで合意した。 2008年の金融危機以後、G20経済会議で危機克服のために財政政策がこれほど強調されたことは今回が初めてだ。 これは日本やヨーロッパの中央銀行(ECB)がゼロ金利を超えてマイナス金利まで取るほどに通貨政策の余力が弱まった状況を考慮したものと見られる。
このような会議結果は、これに先立って構造改革優先論を展開したドイツと、財政支出拡大と緩和的通貨政策を前面に掲げた米国、日本、国際通貨基金(IMF)の対立構図で、米国などが機先を制したと見ることができる。 しかし、実際に財政余力のあるドイツなどが合意に従う可能性は低いと思われる。
訳J.S(1825字)
