本文に移動

【社説】「戒厳のための戦争誘導」疑惑、必ず究明すべき

登録:2025-01-14 06:13 修正:2025-01-14 08:02
尹錫悦大統領が先月14日、第2次弾劾訴追案が可決された後、官邸で国民向け談話を発表している=大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 韓国の野党は12・3非常戒厳を宣布した大統領尹錫悦(ユン・ソクヨル)などの「内乱容疑」はもちろん、北朝鮮を刺激して武力衝突を誘導しようとしたという「外患容疑」についても捜査できる新たな特検法案を9日発議した。これを受け、国防部と与党「国民の力」が強い反対意見を表明した。しかし、平壌(ピョンヤン)に無人機(ドローン)を浸透させた疑惑、(北朝鮮が)汚物風船を飛ばす場所の打撃を検討したことなどが、戒厳を触発するためではなかったかという疑念が高まる中、「内乱」をきちんと捜査するためには、この問題に対する真実究明は不可欠だ。

 国防部は13日、担当記者団に送った「国防部の立場」の文書で、「一部で戒厳状況と結びつけて繰り返し『北風(北朝鮮の脅威を強調し国内政治に利用しようとする動き)工作』疑惑を提起することで、安保不安を引き起こし、韓国軍の軍事活動を萎縮させている」と主張した。また、10月初めに3度にわたる平壌への無人機浸透が北朝鮮の武力対応を誘発しようとしたのではないかという疑惑については、(そのような疑惑を提起するのは)「北朝鮮の主張に同調するもの」という趣旨で批判した。

 12・3内乱の中心人物が国防部長官であり、一部の軍将官たちが積極的に同調した。国会に銃口を向けた軍が国民の前で懺悔するためには、謙虚な姿勢で真実究明に積極的に協力しなければならないのに、彼らはむしろ荒々しい言動で抗議している。国民の力も「キム・ヨジョン特検法」(11日)、「反国家的特検法」(12日)だと言って反発する論評を発表している。

 しかし、内乱勢力が非常戒厳宣言のために南北武力衝突を引き起こそうとしたという情況証拠は相次いで公開されている。内乱の「企画者」とされるノ・サンウォン元情報司令官の手帳には「NLL(北方境界線)で北朝鮮の攻撃を誘導」という内容が書かれはいた。キム・ジョンデ前議員は「昨年6月頃、合同参謀本部で汚物風船の原点打撃計画などが樹立された」という新たな疑惑を取り上げた。

 いかなる形であれ、捜査を通じてこのような疑念が解消されなければならない。そうしてこそ、今回のようなことが繰り返されないだけでなく、軍の正常な活動に国民が疑念を持たなくなる。軍のためにも、この問題は見過ごしてはならない。軍が懸念しているという「軍の機密流出」は十分に考慮されうる。「軍の機密」は国民の疑惑があってもただ見て見ぬふりをするためのものではない。国民の力も特検法案に含まれた「外患」の捜査対象の幅が過度に広いと判断するなら、与野党が協議をすれば良いことであって、これを口実に「特検法案」全体を拒否するのは妥当ではない。

 戒厳を触発するために北朝鮮を刺激しようとしたという疑惑は、いかなる形であれ究明しなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1177681.html韓国語原文入力:2025-01-13 18:22
訳H.J

関連記事