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アルファ碁、今度は中国の柯潔九段と勝負か

登録:2016-03-15 22:06 修正:2016-04-06 11:55

 李世ドル(<イセドル>ドルは石の下に乙)九段が終盤に人間頭脳の底力を見せはしたが、全体的にアルファ碁は、直観を重視する囲碁で機械が人間を超えることができる事実を示した。 次にアルファ碁は何をするのだろうか。

 まずは修練が続くものと見られる。「アルファ碁の父」と呼ばれるグーグル・ディープマインドのデミス・ハサビス最高経営者(CEO)は記者会見で「アルファ碁はまだ知能と呼ぶには充分でない。 人工知能としてベータ(公開前ユーザーテスト段階)であり、アルファ(内部テスト段階)でもないプロトタイプ(試作品)にすぎない」と話した。

 囲碁選手としては世界最高水準と言えるかも知れないが、人工知能としては満足でないという話だ。

中国の柯潔九段//ハンギョレ新聞社

 次の修練としては、世界ランキング1位の中国の柯潔九段を相手にした囲碁再対決や、リアルタイム戦略コンピュータゲームのスタークラフト高段者との勝負が議論されている。

 同時にアルファ碁は、今回の勝利を契機に回想というゲームの空間を越えて、現実世界でも早期に活用されるとみられる。 世界最大のインターネット企業グーグルのサービス全般での「人工知能化」が加速するものと見られる。 ユーザーにはあまり知られていないが、グーグルはすでに種々のサービスに人工知能技術を適用してきた。 代表的なものが検索だ。 グーグルのジェフ・ディーン首席研究員は9日に開かれた説明会で「人工知能はすでにグーグル検索に3番目に強い影響を及ぼす要素」と明らかにした。 グーグルの持株会社であるアルファベットのエリック・シュミット会長も、今回の競技直前に米国の技術メディア『ワイアード』の記者に「人工知能はアルファベットのすべての製品に適用する技術」と明らかにした。

 波紋はそれにとどまらない。 現在多様な産業で熾烈に進行中の人工知能技術競争は、一層加熱しそうだ。 代表的なのが自動車業界だ。 「産業の花」と呼ばれる自動車業界で、人工知能が運転する自律走行自動車(無人車)は最も熱い関心が集まっている分野だ。 李九段とアルファ碁の2回目の対局が行われた10日、米国最大の自動車メーカーのゼネラルモータース(GM)は、自律走行ソフトウェア企業のクルーズ・オートメーション社を10億ドルで買収すると発表した。 現在、自律走行自動車分野ではグーグルが先頭を走っている。

 また、金融、医療、流通などの分野でもこの技術は積極的に活用されると予想される。 アルファ碁の原理は以下のように単純に表現できる。 人間の頭脳のような神経網構造を作り、ビッグデータを投じて自ら悟らせるようにすれば、この人工知能は人間には考えもつかない新たな答えを出しうるということだ。 アルファ碁がプロ棋士でも考えられなかった手で李九段を下したようにということだ。 株式や債権など取引の記録がコンピューターに蓄積されている金融業界、消費者の購買記録が確保されている流通業界、診療・保健記録や遺伝子データが蓄積されているバイオ分野などでも、同じ原理で人間には考えられない投資やマーケティング、診断法などを開発できることになる。 今回の「世紀の対局」を巡り、このような変化の時代に主導権を握ろうとするグーグルの戦略的イベントという評価が出てくる理由もここにある。

クォン・オソン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/it/735069.html 韓国語原文入力:2016-03-15 19:48
訳J.S(1491字)

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