サムスン電子は11兆3千億ウォン(約1兆1800億円)規模の自社株を買いとり、その株式を全量消却する計画だと29日明らかにした。サムスン電子は今回の自社株買い入れ・消却により、今後、株当りの配当金が増え、株主に肯定的な効果をもたらすと見通した。だがサムスン電子支援事業部門をはじめとした全部門で人材を削減している状況であり、株主価値の向上を進めることに内部では不満が広がっている。
サムスン電子は今回の措置について、株価が会社の価値に比べ過度に低評価されており、史上最大規模の自社株買い入れ・消却で株主価値の向上に大きく寄与するとした。1回目の自社株買い入れ規模を4兆2千億ウォン(約4410億円)に定め、30日から今後3カ月間、普通株223万株と優先株124万株を買いとる計画だ。全買い入れ規模となる11兆3千億ウォン(1兆1865億円)は、現在の時価総額(約200兆ウォン=約21兆円)を考慮すると全株式の5~6%の水準になる。
サムスン電子は28日を基準に、優先株の株価が普通株に比べ22%低い価格で取り引きされているため、優先株買い入れの比重を高め、同じ金額でより多くの数量の株式を消却する計画だ。優先株の株価が普通株に比べ10%以上低い場合、優先株買い入れ比重を高めることにより、同じ金額でより多くの株式を消却する計画だ。サムスン電子の自社株買い入れ・消却発表により株価は急騰した。この日午前10時16分を基準に前日より4.89%(6万4千ウォン)上がった137万2千ウォン(約14万4千円)で取り引きされた。
だが、同社のイ・ジェヨン サムスン副会長が普段から重要視する、利害関係者の社員数を減らし「株主還元政策」を実施することに、内部では社員から不満の声が聞こえてくる。同社幹部は「同僚を辞めさせる状況で株主にだけ利益を分けるのは苦々しいばかり」と話した。サムスン電子の構造調整は全部門で進行され、その対象は10~30%の水準になると知られているが、会社側は「人為的な構造調整でなく業界の状況にともなう常時的な調整」としか明らかにしていない。サムスン電子はこの日、第3四半期(7~9月)に営業利益7兆3900億ウォン(約7759億円)を上げたと明らかにしている。これは前年の同時期より82.08%増えた“アーニングサプライズ”だと評価された。
一方、サムスン電子の自社株買い入れ・消却で株式価値が上がる中、その恩恵は国民年金など機関投資家や外国人投資家に還元されるものと見られる。サムスン電子の株主構成は、3月基準でサムスン生命(7.21%)などサムスン側持分を除けば、個人少数株主は3%水準になる国民年金や米国系ヘッジファンドのブラックロックなど国内外機関の投資家が主軸をなす。また国民年金や米国系ヘッジファンドのブラックロックなど、相当数の機関投資家はサムスン電子だけでなくサムスン物産にも投資している。
韓国語原文入力:2015-10-29 14:57