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韓国最大のベーカリー「パリバケット」が会長夫人に毎年4億円支払う理由

登録:2015-07-10 00:29 修正:2015-07-13 08:08
 2012年の商標権共有放棄により
 SPCグループ会長夫人が独占
 売上の一定部分を毎年使用料として支給
 グループ側「元々会長夫人の所有」と説明
 「主力ブランドはパリバケットで
 パリクロワッサンは法人名」と理解解不能な指摘
 使用料を支払うべきかも疑問
SPCパリバケットのシンガポール店 =資料写真//ハンギョレ新聞社

 韓国最大のベーカリーのフランチャイズ「パリバケット」を運営するSPCグループが、グループ会長の夫人イ・ミヒャン氏に毎年40億ウォン(約4億3千万円)を超える金銭を商標権使用料(ロイヤリティー)として払っていることが明らかになった。

 韓国特許情報院の特許情報検索サービス(KIPRIS)によれば、2012年11月、SPCグループの持ち株会社の(株)パリクロワッサンは、パリクロワッサンという商標についてイ氏と共有していた権利持分を放棄した。 これによりパリクロワッサンの商標権をイ氏が独占することになり、それ以降、使用料の支払いが始まった。 イ氏はSPCグループのホ・ヨンイン会長の夫人だ。

 SPCグループは9日、毎年(株)パリクロワッサンの売上の0.125%、全国24店舗のパリクロワッサン売場で発生する売上の3%をイ氏に支払っていると明らかにした。(株)パリクロワッサンの監査報告書によれば、この会社の2014年売上高は1兆6532億ウォンと公示されている。 外部に公開されてはいないが、内部資料によれば24店のパリクロワッサン売場の売上額は約750億ウォンだ。これを基に計算すれば、イ氏が昨年会社から受け取った商標権使用料は約43億1000万ウォン余に達するという計算が出てくる。

 主要企業が使う商標は、ほとんどが当該法人が権利を持っている。SPCグループの競争会社であるCJフードビルをはじめ主要フランチャイズ企業の商標もほとんどが会社所有だ。 SPCグループも主力ブランドであるパリバケットの商標権は(株)パリクロワッサンが持っている。イ氏のように企業から配当と給与を受け取る大株主が、個人の資格で商標権を所有し、これを根拠に使用料まで受け取るのは異例だ。

 SPCグループ側は「当初、商標権はイ・ミヒャン氏の所有だったが、2000年に中国など外国に進出する過程で会社が商標権を持っていなければならないと判断して、2002年に商標所有権を共有することになった」と話した。 その後、2012年に会社が商標権共有持分を放棄した契機は、2011年の警察捜査だったと説明した。 イ氏は自身が個人的に開いたパリクロワッサン売場2店を依然として個人所有で維持しているが、警察はイ氏個人が所有する売場運営のために約50億ウォンの会社資金が支援された事実を問題にして、会社役員を背任の疑いで捜査したが無嫌疑処理した。 チョ・サンホSPCグループ総括社長は「当時、個人と会社の権利を明確に区分しなければならないという法律諮問を受けた」として「問題になった2店舗は会社のフラッグシップ売場という性格があるが、個人店舗である以上は全ての費用を個人が負担し、元来(イ・ミヒャン氏)個人の所有である商標権については会社が使用料を支払うことにした」と話した。 SPCグループ広報チームは「商標権は元来イ・ミヒャン氏個人が創作した知的財産権」として「法的検討、税務的確認を経て正当に行使される財産権を他人がこうしろああしろと強要することはできない」と付け加えた。

 会社側は商標権使用料のうち、法人全体の売上の0.125%はパリクロワッサンを法人名として使うことに対する代価だと説明した。 これは商標権使用料全体の半分程度を占める。 しかし(株)パリクロワッサンの売上に占める24店のパリクロワッサン売場の比重は5%を下回り、全国に3200余の加盟店を展開しているパリバケットが占める比重は約87%に達する。 そのため、法人名(商号)にパリクロワッサンという商標を使っているという理由で法人全体の売上の一定比率を支払うことが適当かという疑問が提起される。 SPCグループのある元役員は「主力ブランドはパリバケットなのに法人名はパリクロワッサンであるがために発生する行政的不便が大きい。 それでも未だにパリクロワッサンという法人名に固執する理由は、会長夫人にロイヤリティーを支払うためのものではないかと疑わざるをえない」と話した。

 パリクロワッサンという商標を法人名として使っていることに対して会社が使用料を支払う法的義務があるかも論議の余地がある。 匿名を要請したある商標権専門弁理士は「法的に商標を純粋に商号としてのみ使う場合、ロイヤリティーを支払う義務はない。 ただし、商標が元来有名な場合に限り、商標権所有者が自身の商標を商号として使うなという使用禁止請求ができ、私的契約により商号使用者からロイヤリティーを受け取ることも可能だ。 だが、それとて商標権所有者が第三者の場合の話だ。 SPCグループのように、大株主が自分の会社から商号使用による代価を受け取るケースは初めて見る」と話した。

 (株)パリクロワッサンはホ・ヨンイン会長が63.5%、ホ会長の息子ホ・ジンス、ホ・ヒス氏がそれぞれ20.2%と12.7%、イ・ミヒャン氏が3.6%の持分を持つ非上場会社だ。

ユ・シンジェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/699632.html 韓国語原文入力:2015-07-09 21:21
訳J.S(2361字)

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