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財閥一家 娘らはパン、息子らは外車…‘金になれば何でもやる’

原文入力:2012/01/26 21:37(4185字)

キム・ジンチョル記者、チョ・キウォン記者、ファン・イェラン記者

庶民飲食から名品ファッション・自動車まで総取り
系列会社の流通網を通じ簡単に金を儲ける‘不公正ゲーム’
政府は補助金まで支給‘タコ足式拡張’を支援

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 ‘金になるならラーメン・ビビンパ店も構える。 格好よい事業ならばひとまず手を付けて見る。 外国有名ブランドならば万難を排して駆け寄る。’

 最近とみに加速化している財閥グループ2~3世の事業を要約するとこうなる。 多くの外国経験で見て食べて着て乗ってみた製品をそのまま国内に適用すれば事業結果が悪くない。 特に飲食事業を巡る競争に火がついた。 また、名品ファッションブランドと高価外車を楽しんだ財閥家の子弟の趣味は、そのまま事業につながる。 財閥2~3世の事業は既存財閥グループ系列会社を後押しで成功街道をひた走る。 系列会社の大型流通網を活用して容易に支店を増やしたり系列デパート・マートなどに納品する形だ。 このような渦中で自営業者・中小企業は競争から押し出され、庶民は高価ぜいたく品に違和感を感じる。

■パンとコーヒーに駆せ参じる財閥家の娘たち

 "高級ベーカリー業界はお姫様の競演場だ。" 製菓業界の人々が冗談で交わす言葉だ。 10大グループ中4ヶ所が製菓・製パンに手をつけている。 イ・ゴンヒ 三星(サムスン)電子会長の長女であるイ・ブジン ホテル新羅社長が2004年に始めた高級ベーカリーカフェ‘アティジェ’が代表的だ。 ホテル新羅の100%子会社であるボナビを通じてソウル、清潭(チョンダム)、汝矣島(ヨイド)、新道林(シンドリム)D-CUBE CITYをはじめとして瑞草洞(ソチョドン)三星タウンなど三星グループ系列会社の建物など全国27ヶ所にアティジェを運営してきた。 世論の批判が高まると三星が一番最初に撤収を決めた。 ホテル新羅は26日午後、電撃的に製菓・コーヒー事業の撤収を決めた。 三星グループ関係者は「ボナビのアティジェ事業部を売却する予定」と話した。

 新世界・ロッテ・現代車グループもベーカリー事業に参入した状態だ。昨年7月ソウル、良才洞(ヤンジェドン)の現代車社屋1階にあったコーヒーショップ新装を経て‘オジェン’という名前で開業した。 オジェンはチョン・モング現代車グループ会長の娘であるチョン・ソンイ、ミョンイ、ユニ氏が専務を務めるへビチホテルアンドリゾートが運営するベーカリーカフェだ。 1号店は済州(チェジュ)ヘビチホテルにあり、良才洞(ヤンジェドン)社屋に2号店まで出した。 現代車グループでは 「オジェンは個人会社ではなくヘビチホテルの一事業部に過ぎず、営利目的でなく社員福祉が目的」と明らかにした。 だが、財界は 「現代車グループの娘たちもベーカリーカフェ事業に飛び込んだ」と分析した。

 シン・ギョクホ ロッテグループ総括会長の孫娘であるチャン・ソンユン氏はフランスのベーカリーブランドを持ってきた。 チャン氏は2010年末、食品企業ブリスを設立し‘フォーション’というパン屋をロッテ百貨店12支店まで増やし現在は7ヶ所に減らした。 昨年7月に新装したロッテ百貨店、小公洞(ソゴンドン)本店のフォーションの売場面積は地下食品売場で最も広い330㎡(100坪)ほどで高級に作られている。 チャン氏の夫ヤン・ソンウク氏は昨年V&Life を設立してドイツ産赤ちゃん用ウェットティッシュ‘feudal’を輸入し来月からロッテマートとロッテスーパーで売ることにした。

 イ・ミョンヒ新世界グループ会長の娘であるチョン・ユギョン新世界副社長は‘dalloyau’‘Day&Day’という朝鮮ホテル ベーカリーの持分を保有している。dalloyauは新世界デパート10店余りに開店した高級ベーカリーブランドだ。 朝鮮ホテルのベーカリーであるDay&Dayはイーマートでベーカリーを運営し半額ピザも納品している。

 財界のある関係者は「ホテル・デパートなど既存の安定した流通網を利用して容易にプレミアム市場を作れるため、財閥家の娘たちが飛び込む」とし「完全に新しい事業に進出するよりリスクは少なく収益をあげることも容易な事業」と話した。 ベーカリー事業にはハンファも参入している。 ハンファホテルアンドリゾートは‘Eric Kayser’というパン屋を5店舗開き、ハンファガレリアは‘Beans&Berries’というデリカフェを運営している。

 これら高級ベーカリーブランドは今現在は路地裏商圏まで侵していないが、事業拡張の範囲が予想できず小商工人は不安に思っている。

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■ビビンパ・丼・ラーメンも財閥がやればやっぱり違う?

 外食業に飛び込む財閥グループも増えている。韓国料理の世界化を前面に掲げ韓式食堂に進出したり外国レストランを持ってくるケースが代表的だ。 韓国料理の中で代表的な品目はビビンパだ。 CJフードビルはビビンパを中心とする‘ビビゴ’を2010年に始め、現在国内7ヶ所に店舗を開いた。 汎LG家に分類されるアワーホームも‘パビタビダ’を2010年末に開業しビビンパ・丼競争に参入した。 パビタビダは政府が支援する事業でもある。 今月初め、政府の韓国料理ファーストフード事業者公募で選ばれ1年間にわたり政府補助金を2億ウォン程度支援される。 この事業は韓国料理の国外進出を目標にしている。

 この他にも愛敬グループは日本の力の源カンパニーと提携して日本ラーメンチェーン‘一風堂’を運営し、日本のカレーブランドである‘東京ハヤシライスクラブ’も持ってきた。 農心グループは日本からカレー食堂ブランド‘CoCo壱番屋’を持ってきて営業中であり、毎日乳業と南陽乳業もそれぞれインド食堂‘タル’、イタリア食堂‘Il Cipriani’を運営している。テミョングループは‘Beggarback’ブランドでトッポッキ事業にまで進出した。

 パリバケットなどを運営するSPCグループは2006年に餅フランチャイズである‘ピジュン’を始め物議をかもした。 現在店舗数が170店余りに達するほど成長した。 これに対し同伴成長委員会は昨年中小企業適合業種として餅を指定しSPCに新規出店を自制するよう勧告した。

 このような財閥企業の無差別的事業拡張で路地裏商圏の自営業者は生存権を脅かされている。CJフードビル関係者は「メニューを見て路地裏商圏侵害というが、ビビゴは主にオフィスタウンなどに位置していて、よく言われる町内商圏侵害とは距離が遠いと見る」として「ビビゴは国外進出のために奔走しており国内路地裏商圏を侵害する意図はない」と明らかにした。 しかし大企業の外食業進出は一般食堂を営む自営業者の売上下落につながらざるを得ない。4大グループ関係者は「あんな企業らのために企業全体が非難を受けている」としながら「企業家精神が疑われる」と話した。

■トリーバーチ・アルマーニ・ベンツ・ジャガー・ベントレー…誰が輸入しているのか

 財閥家2~3世が着て、使って、乗ったものなどを国内で輸入しているということも特徴だ。 名品ファッションブランド輸入は事実上彼らが独占している。イ・ゴンヒ会長の次女イ・ソヒョン氏が副社長である第一毛織は、イッセーミヤケ、コムデギャルソン、トリーバーチのような有名ブランド服を輸入している。 高級ベーカリー事業を展開するチョン・ユギョン新世界副社長は新世界インターナショナルに創立から関与した。 この会社はジョルジョ・アルマーニ、コーチ、ドルチェアンドガッバーナなどを持ってきて売る。シン・ギョクホ会長の外孫でありシン・ヨンジャ ロッテショッピング社長の息子であるチャン・ジェヨン氏はP&F通商を運営する。P&F通商はポール・スミス、キャンパーラドラーなど外国製品を輸入する会社だ。

 これら財閥グループは「有名ブランド輸入に何の問題があるか」と反問する。 庶民と関係なくはないかという論理だ。 だが、輸入名品企業等のために国内中小ファッション企業等が立つ瀬を失っている上に、財閥企業がこれをあおりたてているという批判を避けることは難しい。 中小企業等は「有名ブランドを輸入することは容易なことではないが、財閥グループは既存取引先を活用して簡単に商売をしている」と説明した。

 財閥家の娘たちが主にベーカリー・コーヒー事業とファッションブランド輸入に乗り出すならば、息子たちは輸入自動車に関心が高い。彼らが普段から自動車に関心が強いうえに、財閥家の特性上‘高い車’は馴染みをもって接近できるアイテムであるためだ。 斗山(トゥサン)グループ パク・ヨンゴン名誉会長の長男であるパク・ジョンウォン斗山建設会長が理事を務めるDFMS(旧斗山モータース)はホンダ、ジャガー、ランドローバーなどを輸入して売っている。パク・ヨンゴン名誉会長など3世が持分の58.5%、パク・ジョンウォン会長、パク・チウォン斗山重工業社長など4世が残りの持分を分け合っている。 チョ・ソンレ 暁星グループ会長の三男であるチョ・ヒョンジュン、チョ・ヒョンムン、チョ・ヒョンサン兄弟もベンツ ディーラーであるダグラス暁星、トヨタ ディーラーである暁星トヨタの持分をそれぞれ3.48%と20%ずつ保有中だ。 GSグループにも輸入車ディーラー系列会社がある。 レクサスを販売するディーラー社であるセントラルモータースはホ・チャンスGSグループ会長とホ・ナムガク三養(サムヤン)通商会長の息子であるホ・ジュンホン氏らが持分を分け合っている会社だ。

 キム・ジンチョル、チョ・ギウォン、ファン・イェラン、キム・ギョンナク、パク・ヒョン記者 nowhere@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/516205.html 訳J.S