借金返して個人年金...無駄遣いなくして堅く締めた財布の紐
雇用不安、住宅価格、老後の心配で
所得分位・年齢別すべて財布の紐堅く
収入増えたが、支出増えず
中小企業で働いているパク氏と妻の収入は、2人あわせて月に約600万ウォン(約66万4400円、1円=約9ウォン)ほどだ。5カ月前に2億ウォンのローンを組んで家を購入した後、パク氏は「節約しようが口癖になってしまった」と話す。毎月の住宅ローンの元利金の返済に150万ウォン、引退した両親に小遣い50万ウォンを送っているので、旅行はもちろん、衣類や本の購入費も大幅に減らした。パク氏は「非正規雇用の妻はもちろん、正社員である私も、今後いつまで会社に勤められるかが心配だ。両親が病気になったり、家に何かあったら大金がかかるので、いつも不安だ」と打ち明ける。
家計がますます支出を減らしている。不安定な雇用と低賃金、家計負債、老後に対する不安感が複合的に作用した結果だ。専門家たちは、長期的な消費低迷は一時的景気低迷のせいではなく、韓国経済の構造的な不安要因を反映していると指摘する。
24日に発表された統計庁の「家計動向」によると、今年第1四半期(1月~3月)の全国2人以上の世帯の平均消費性向は72.3%となった。平均消費性向とは、税金などを差し引いた可処分所得で消費支出を割った値だ。関連統計の集計を始めた2003年以来、第1四半期ベースでは最も低い水準だ。所得分位と年令別においても、すべての層で消費性向が低下している。
平均消費性向の低下は、2012年から定着した流れだ。 2012年以来、消費支出の増加率はずっと処分可能所得増加率を下回っている。所得が増えたのに比べ、消費は増えなかったということだ。今年第1四半期に平均可処分所得(全国2人以上世帯の基準、所得から税金など非消費支出を差し引いた金額)は366万8000ウォンで、1年前より3.0%増加したが、月平均消費支出は265万3000ウォンで、1年前(265万6000ウォン)と同じ水準にとどまった。 2014年第1四半期にも収入は1年前より5.0%増加したが、支出は同期間4.4%増にとどまった。
増えた所得は、消費の代わりに、個人年金などを含む貯蓄に回されたものと見られる。今年第1四半期の黒字率は27.7%で、1年前に比べて2.2%、5年前に比べると4.8%も上昇した。黒字率とは、所得から家計支出(消費支出+非消費支出)を差し引いた金額を指す黒字額を、可処分所得で割った値だ。家計動向では、黒字額の使い道までは現れないが、私的年金支出や貯蓄など、家計の資産を増やすために使われた支出が含まれる。
また、家計負債の返済方式が、元金据え置きや一括返済から、元金分割返済方式に変わっているのも、黒字額が増える背景として挙げられる。黒字額には、家計負債の返済金のうち、利息の返済コストを引いた元金返済分も含まれている。政府は、2011年以来、家計負債の影響を減らすためにローンの返済方法を満期一括返済式ローンや元金据え置きローンから、元利金の分割返済ローンに切り替えるように誘導している。
税金と公的年金、社会保険料も家計の消費を減らす原因だ。このような支出を含む非消費支出の増加率は、2011年以来、4年連続で消費支出増加率よりも高かった。これにより、家計支出全体における非消費支出の割合も、2011年第1四半期の23.2%から2015年第1四半期には24.2%に1.0%高まった。特に、非消費支出の中でも経常租税支出と公的年金支出、社会保険料の支出が大幅に増えた。 1年前に比べると、それぞれの支出の増加率は非消費支出増加率(1.0%)をはるかに超える7.0%、4.4%、5.0%だ。
イム・イルソプ・ウリ金融経営研究所金融研究室長は「最近家計の消費不振は負債返済の負担が増えるとともに、将来の不確実性、老後への備えなど、消費心理の萎縮が大きな原因として作用している」と語る。クォン・ギュホ韓国開発研究院(KDI)研究委員は、「2000年以降、期待寿命が毎年平均0.45歳ずつ伸びているが、労働市場の引退時期はそれに合わせて増加していない。経済構造の改善対策が急がれる」と強調した。
韓国語原文入力: 2015-05-24 19:51