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[不安な時限爆弾 韓国財閥3世](上) 能力の検証なく3年で役員に

登録:2014-12-15 08:47 修正:2014-12-16 10:18
苦労した創業者とその過程を見守った2世
経験に差がある3世の経営手腕に疑問
気軽で派手な広告や情報通信に集中
道徳性や経営能力の検証受けることもなく
オーナー一家の子供だから無条件に経営権継承
最近10年間の主要グループ平均成長率と財閥3世が保有(最大株主)する系列会社成長率の比較。 //ハンギョレ新聞社

 韓国経済の主流を成す財閥企業において3世の経営参加はすでに相当に進展している。国内1位のサムスングループでは創業者3世のイ・ジェヨン サムスン電子副会長はじめ子供に経営権が移っている最中であり、現代自動車、LG、斗山、韓進など主な財閥で創業者の孫が主要な役員席を占めている。彼ら3世は正常な入社や昇進手続きから大きく外れている。『ハンギョレ』の調査結果、国内の主要15グループの28人の財閥3世は平均28.1歳に入社して31.2歳に“企業の星”とされる役員になっていることが分かった。入社から役員就任までにかかった時間は平均3.1年に過ぎない。韓国経営者総協会(経総)が今年11月に国内の219企業を対象に調査したところ、大卒新入社員が役員に昇進するまでの22.1年に比べあまりに短い。

 さらに彼らが経営権を受け継ぐのに必要な富(持ち株)を得たのも、ほとんどが業務を寄せ集めた脱法的な経営を通してだ。大韓航空のチョ・ヒョナ前副社長はじめチョ・ウォンテ副社長、チョ・ヒョンミン専務は、韓進(ハンジン)グループ系列会社のオンライン免税店企業「サイバースカイ」と情報通信企業「ユニコンバス」の大株主だ。3兄弟姉妹がそれぞれ100%、85%の持ち株を有し、昨年のグループ内部取り引きによる売上額の比重は全体の売り上げのそれぞれ83%、66%に達する。

 また、イ・ジェヨン サムスン電子副会長はじめサムスン総帥一家3兄弟姉妹も、グループ内部取り引きで成長した「サムソンSDS」と「第一毛織(旧エバーランド)」の上場で数兆ウォン台の差益を得ており、元金の200~300倍に達する投資収益を得た。

 こうした様相は多くの財閥でほとんど共通して現れる。SKの「SKC&C」や韓火の「韓火S&C」など情報通信企業や、現代自動車グループの「イノーシャン」やロッテの「デホン企画」など広告会社の大株主は財閥3世であり、それらの物量はグループの中から出され、売り上げおよび営業利益はグループ平均よりはるかに高い。

 彼ら財閥3世は道徳性や経営能力面で十分な検証を得ていないとする評価を避けられない場合が多い。問題は彼らの過ちが個人にとどまらず、企業ひいては社会にまで悪影響を及ぼす恐れがあることだ。大韓航空は毎年500億ウォン前後の広告費を支出しているが、チョ・ヒョナ前副社長が負わせたブランドイメージの損失はそれをはるかに上回るものと推定される。英国の週刊誌『エコノミスト』は2011年にサムスン電子イ・ジェヨン副会長の昇進について「ビジネス感覚を備えていれば大丈夫だ。もしなければ韓国全体が苦痛を味わうことになる」と報じた。これはサムスンだけでなく韓国の財閥すべてに適用できる内容だ。ヒョソングループの場合、チョ・ソンレ会長は粉食会計を通した法人税脱税などの容疑で、長男のチョ・ヒョンジュン社長は海外借名口座を通した贈与関連の脱税容疑でそれぞれ起訴され、企業のブランド価値と経営の第一線に傷を負わせた。

国内主要財閥グループ3世らの入社および、初めての役員選任の際の年齢。 //ハンギョレ新聞社

 4大グループの高位役員は「苦労した創業者、そしてその過程を見守った2世とは違い、1970~1980年代の高度成長期に生まれた今の財閥3世は経験に差がある。幼い時から好環境を享受して周囲を見回すことを知らず、企業経営も気楽で派手な広告や情報通信にばかり集中する傾向がある」と話した。

“ナッツ・リターン”に見られる総帥一家の特に経験と力量面に欠ける3世は、誤った行動で企業に甚大な打撃を与えかねない時限爆弾だ。 このため総帥一家の専横を防ぐ制度を用意すると同時に、企業内継承のための自主的なプログラムを準備しなければならないという指摘も出くる。「経済改革連帯」のチェ・イベ会計士は「イエスマンの役割しか果たしていない社外理事制度を、その趣旨に沿うよう情報と権限を与え、経営の透明性を高めなければならない」として「企業自ら継承のためのプログラムを通じて競争力を備えた後継者を出すようにしなければならない」と話した。

 根本的な問題として、総帥の子供が例外なく富(持ち株)だけでなく経営権まで受け継ぐ慣行から脱却しなくてはならないという指摘もある。ソン・ウォングン慶南科学技術大学教授(産業経済学)は「総帥一家の子供なら無条件に経営に参加して経営権を継承する時代はすでに過ぎた。海外の大企業のように、大株主の子供は所有権を受け継ぐ代わりに経営権を行使しなかったり、数十年の経営能力が検証された人物にだけ経営に参加できる方式に変わらなければならない」と話した。

 総帥一家が意識を変える時期にあるという指摘は財界内部からも出てくる。財閥グループ系列の研修機関の高位役員は「総帥一家が帝王的リーダーシップを維持していては(企業が)生き残れない。社会が発展しただけ財閥のリーダーシップも変わらなければならない」と話した。

イ・ジョンフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2014.12.14 22:29

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/669061.html 訳Y.B

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