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[FTA 破られた約束 ③再協議は可能か] カナダ教授 "ISD, 韓国は私たちの失敗を繰り返さないことを"

原文入力:2012/03/210:03(1980字)

外国法律家 "韓国の裁判所がISD仲裁を再審できるよう変えるべき"

 2010年8月31日米国・英国・シンガポールなど9ヶ国の法律家53人が投資家-国家訴訟制(ISD)の全面再検討を促す声明書を発表した。彼らは 「政府は投資家-国家訴訟制を検討し、廃棄したり縮小して、国内の司法制度を強化し投資家を含む市民と共同体に利益を与えなければならない」と主張した。

 投資家-国家訴訟制は1960年代に生まれて昨年までに2676ヶの投資協定(BIT)に導入されたが、仲裁事件が急増したのは北米自由貿易協定(NAFTA)が発効された1994年以後だ。 最も多く利用する国は米国で、全体(390件)の31.5%を占める。 コス バン ハートゥン カナダ ヨーク大教授(オスグッ ホール ロースクール)は 「米国は世界で最も多くの資本を輸出する国家であるのに加え文化的にも訴訟に拒否感がないため」と説明した。

 反面、投資家-国家訴訟制に反対する国家も生まれた。 オーストラリアが2004年米国との自由貿易協定(FTA)でこの制度を除外させたし、ブラジル議会は立法主権を制限する制度だとして投資協定の批准同意を拒否し続けている。 投資家-国家訴訟制が含まれた投資協定81件の中で、ドイツ・日本との協定を除く79件を国会批准手続きなしで行政府が発効させた我が国とは対照的だ。

 南アフリカ共和国の場合、黒人と白人の経済的格差を減らすための黒人優待政策が2007年に多国籍企業の攻撃を受けた後、インドは多国籍製薬会社の攻撃で複製薬の発売が難しくなる恐れがあるという憂慮のために投資家-国家訴訟制を今後は採択しないことにした。 また、米国投資家に厳しい申告式(自己紹介)を行ったエクアドルとボリビアなどは国際投資紛争解決センター(ICSID)協約から相次ぎ脱退した。

 これらの国はどうして投資家-国家訴訟制に対抗できたのだろうか? <ハンギョレ>は先月2~10日、カナダと米国の専門家13人にこの質問を投じた。 国際環境団体である‘地球の友’のウィリアム ウォーレン研究員は「政府の意志により、特に選挙結果が再協議や廃棄を決める」と話した。 カナダ自動車産別労組(CAW)所属の経済学者であるジム スタンフォードは「政府には協定を撤回する力があるが、大企業から絶えず圧迫を受けている。 国民が強く明確に反対の意思を明らかにしなければ動かない」と語った。 1998年カナダ政府は米国との自由貿易協定に反対して執権したものの世論が静かになるや1992年にNAFTAを締結してしまった。

 韓-米自由貿易協定再協議について、米国市民社会は米国の州政府が支持する可能性があると展望した。 米国市民団体‘パブリック シチズン’のトドゥ  ターカー研究員は「大企業に対する政府の規制が必要だという認識が高まった」として「政治環境は10年前より友好的」と話した。 昨年10月、州政府は「韓国の司法制度が発展している」として「米国-オーストラリア自由貿易協定のように投資家-国家訴訟制をやめよう」という少数意見を議会に明らかにしたことがある。

"仲裁人の独立性など確保してカナダの失敗をくりかえさないことを"
南アフリカ共和国・インド、ISD受け入れ中止…エクアドルなどは脱退
大企業規制が必要との認識 米州政府も再協議に友好的

 ハートゥン教授は昨年9月に発表した研究論文‘投資家-国家訴訟制改善’で具体的な代案を提示した。 まず、国際司法裁判所裁判官のように仲裁人の任期を定めて多国籍企業の弁護士を兼任できないようにする。 第二に、無作為で仲裁人を選定し当事者と利害関係が絡まないように独立性を保障する。 現在は両当事者が仲裁人を1人ずつ指名し、議長を引き受ける残りの1人は両者が合意して選任するためだ。 第三に、投資家の無分別な請求を防止する事前審査制を導入する。 この他にもカナダ政府を弁護したスチーブン シュリブモン弁護士は「仲裁判定が下されれば国内の裁判所が手続きと結果を検討し、仲裁判定を覆せる再審制を導入することが急務」と助言した。 ハートゥン教授は「私たちは大変な過程を経て教訓を得た」として「韓国はカナダの失敗を繰り返さずに、初めからうまく解決することを願う」と語った。 <終わり>

ワシントン、オタワ、トロント/チョン・ウンジュ記者 ejung@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/524422.html 訳J.S