「親のようには生きたくないが、親のようになることも難しい世代」。「バズフィード(BuzzFeed)」首席ライターのアン・ヘレン・ピーターソンがミレニアル世代のことを要約した表現だ。『いまどきの若者』(原題:This Generation)は、米国のオンラインメディア「バズフィード」で700万回の閲覧回数を記録したコラム「ミレニアル世代はいかにして燃え尽き症候群世代となったのか」の筆者が、問題意識を発展させて書いた本である。筆者は、ミレニアル世代の親の世代である「ベビーブーム世代」を指して「三塁で生まれたくせに自分が三塁打を打ったと思っている世代」と表現する。1970~80年代の経済隆盛期に就職した彼らは、好況によって享受した恩恵を自らの手で得たものと錯覚しているというのだ。ベビーブーム世代はエリート中間層というモデルを作り、この階級を維持するか成り上がるために最善を尽くせと教えた。「いい大学に行かなければ、いい仕事を得ることはできないし、いい仕事を得られなければ貧困から抜け出すことはできない」
しかし、ミレニアル世代を待っていたのは高い失業率と最悪の就職難だった。薄給のうえ不安定な仕事すら、手に入れるため必死に戦わなければならなかった。不当な待遇を強いられた。共有文書に1分1秒単位で自分の作業内容を書かなければならなかったあるミレニアル世代の労働者は、このように語った。「勤務中はトイレに行くことさえ心苦しかった。文字通り『トイレ』と書くべきでしょうか。それで私は、データを混乱させないようにし、叱責を避けるために、トイレから電子メールを送るようになりました」。本書では、「自発的に」長時間労働へと追いやられるアマゾンの社員やウーバーの運転手などの平凡なミレニアル世代の労働の現実とともに、休み時間にもインスタグラムのような刺激にさらされている彼らの現実を、多くのインタビューによって生々しく描き出す。
自身もミレニアル世代である筆者も、愛する人がいて子どもも好きだが、現在の仕事と生活を捨てないようにするために結婚と出産をあきらめなければならなかった。不安定な職を維持するために絶えず働き、その末に燃え尽き症候群が待つ人生を、自分のせいにすることは拒否しようと筆者は述べる。代わりに、力を合わせてこの状態に抵抗しようと訴えかける。今のしがない立場と特権さえ失いかねないという恐怖から、少しでもこれが侵害されることには耐えられず、すべての時間を自分だけのための努力に注ぎ込むミレニアル世代が理解できないわけではないと。しかし、そのような努力は変化を生み出すには十分ではないと。公的な領域において実質的な変化が起こるよう声をあげ、そのような変化を引き出す政治家を見出す努力を開始しなければならない、と筆者は訴える。