本文に移動

20~30代をつかめ…ソウル市長補欠選、若者層が勝敗のカギ

登録:2021-04-06 10:20 修正:2021-04-06 17:37
国民の力、若者たちを遊説車に乗せ 
1日平均20人に発言の機会与える 
民主党、「20~30代の離脱」に緊張感 
通信費半額、雇用1万件などの公約 
「理念より公正」がMZ世代の情緒 
不満が固まれば、大統領選挙にまで影響
5日午後、国民の力のオ・セフン・ソウル市長候補がソウル江西区の登村駅近くで市民たちと挨拶を交わしている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 4月7日のソウル市長補欠選挙では、20~30代が勝敗のカギを握っている。単なる得票率を超えて、誰が未来世代の支持を得るのかという象徴性が大きい。最近あふれ出ている世論調査を見ると、政府与党に対する怒りに触発されたMZ(ミレニアルゼット)世代の有権者は、民主党に簡単には心を許していない。これまで年配層の「太極旗部隊」の影から抜け出すことができていなかった保守陣営も、今回の選挙では初めて若者層に期待をかけている。専門家たちは、若者層が与党に失望と怒りを感じているのは事実だが「若者層の保守化」という診断は拙速にすぎると言う。

若者たち支持発言に「夢のよう」 涙声のオ・セフン候補

 「平等と正義を叫んでいた民主党で性犯罪事件が発生し、『被害を訴えている人』などと(被害者を呼称して)2次・3次加害を加えた動きに失望した」

 「給料を稼いで家を買うどころか、伝貰(チョンセ。保証金のみ先払いする賃貸制度)で入るのも大変」

 「民主党が若者層をどう見ているのか、もやもやする。彼らは私たちを信じてくれたことがあるのか」

 4日、ソウル広津区(クァンジング)の子ども大公園の裏門で、野党「国民の力」のオ・セフン・ソウル市長候補の遊説車に20人余りの若者が相次いで乗り込んだ。彼らは3時間半にわたりマイクを渡しあいながら、チョ・グク、ユン・ミヒャン、韓国土地住宅公社(LH)問題などに強い不満をもらした。若者たちの発言の途中で演壇に立ったオ候補は「誰がこの若者たちを悲しませたのか」とし、「20~30代の若者層の支持を受けるようになったとは、夢のようなこと」と涙声で述べた。

 5日、ソウル銅雀区(トンジャクク)のチャンスンベギ駅での遊説で若い有権者たちの支持演説を聞いたオ候補は「若い人たちを失望させない。一人が百人分になるよう力を貸してほしい」と支持を訴えた。国民の力は先月27日から若い有権者に遊説車両に乗ってもらい、発言する機会を与える「20-30世代市民参加遊説団」の運営を始め、1日平均20人程の発言が10日間続いている。

 これを企画したイ・ジュンソク陣営ニューメディア本部長は本紙に「伝統的保守陣営の声が議員の口を通じて国会で代弁されてきたのに対し、20~30代の支持者が声を上げる所がなかった」とし「SNSの波及効果が期待以上だった。共感力が大きかった」と述べた。

 昨年の総選挙までをとっても、堅固な極右と決別できずに躊躇していた国民の力は、今回の4・7再補選では若者票の獲得に力を入れている。今回の選挙を控えて出た世論調査で、MZ世代の保守政党支持の傾向は目立っている。

 先月24日、リアルメーターが「オーマイニュース」の依頼でソウル市の有権者806人に「どの候補に投票するか」を尋ねた結果(信頼水準95%、標本誤差±3.5ポイント)、18~29歳の年齢層でオ候補が支持率60.1%を記録し、パク候補(21.1%)を圧倒した。

 ハンギョレがKスタットリサーチに依頼し、先月30~31日にソウルに居住する有権者1012人を調査した結果(信頼水準95%、標本誤差±3.1ポイント)でも、オ候補の支持率は18~29歳で48.6%、30代で51.5%と、パク候補(26.1%、35.5%)を16~22.5ポイントリードした。

 これに対し、国民の力は文在寅(ムン・ジェイン)政権の“不公正”に怒る若者たちの票を投票所にまでつなげようと努めている。オ候補は若者スタートアップ関係者、大学の学生代表など、若い有権者たちとの綿密な面談スケジュールを消化し、1日も欠かさず江南(カンナム)のCOEX、蘆原区(ノウォング)の京春線森の道、龍山(ヨンサン)駅広場などで若者支持者たちを現場に集めて遊説車両に上げた。

5日、共に民主党のパク・ヨンソン・ソウル市長候補がソウル江西区内鉢山洞の鉢山駅交差点一帯で市民に手を振っている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

パク・ヨンソン候補、若者公約は通用するか…「国民の力は代案にならない」

 しかし、MZ世代が直接投票所に出向き、2番(国民の力)に投票するという保障はない。与党がきめ細かい政策で積極的に支持層の心を動かして勝負をかけている理由はここにある。共に民主党のパク・ヨンソン・ソウル市長候補は先月25日、コンビニでアルバイトをしながら公式選挙運動を開始した。最近、青年交通費40%割引政策や、「半額」通信費、青年雇用1万件創出、5千万ウォン(約490万円)の無利子起業支援金の支給など、若者を狙った政策を相次いで発表した。パク候補陣営では、投票所に行く若者層の支持を取り戻せると信じている。

 依然として民主党支持の意思を公に明らかにするMZ世代も少なくない。パク候補支持の意思を明らかにしたキム・ヨンミンさん(28)は「土のスプーン、金のスプーンという言葉を聞いて育った。富が受け継がれる公正でない社会はもう変わらなきゃならない」とし、「オ候補の公約が実行されれば再開発がまた加速化し、裕福な人々とそうでない人々の貧富の格差がもっと広がると思う」と話した。

 Cさん(32)も「オ候補は過去に学校の無償給食制度導入に反対した。低所得層が無償給食を食べるには貧しさや苦しさを証明しなきゃならなかった。龍山惨事(再開発反対住民と警察の衝突で死傷者が出た事件)についても、立ち退き住民のせいで問題が発生したというふうに述べた。国民を差別する候補は支持しない」と話した。Jさん(32)は「少なくとも民主党が批判を受けている点において国民の力は代案にはなれないのではないか」とし「国民の力はまるで(政府与党が行なってきた)過ちを犯していないかのように話すのは矛盾」と指摘した。

“公正”世代、怒りは票につながるか

 繰り返される経済危機と低成長を経験し、熾烈な競争構造の中に置かれた世代。専門家は、彼らが保守あるいは進歩どちらか片方では定義できない「公正」を重要視する世代になった理由をこのように診断した。このため、MZ世代の保守政党支持は理念志向ではなく、政府与党に対する審判という性格を持つと指摘する。先に述べたハンギョレとKスタットリサーチの調査で政党支持度を尋ねた際、18~29歳の年齢層では国民の力(21.3%)と民主党(21.2%)が僅差であり、30代では民主党(35%)が国民の力(28.8%)を若干リードした。怒りが支持政党の選択にまでつながっているわけではない。

 中央大学社会学科のシン・ジヌク教授は「いまの20代を進歩・保守で規定するのは非常に性急なこと」だとし「チョ・グク元法務部長官問題、不動産価格暴騰など、火種があちこちで生じている中、LH問題が火に油を注いだとみるべき」と診断した。

 西江大学現代政治研究所のソ・ボッキョン責任研究員(「さらに可能研究所」代表)は、MZ世代の不満の堅固さが、来年の大統領選挙の票の行方を左右するだろうと分析した。ソ研究員は「MZ世代の特徴は、時代を問わず『アーリーアダプター』(流行に敏感で自ら情報収集を行う層)だということ」とし「今後不満が累積し続けたり固着し続けたりすれば、『野党支持』という積極的な怒りの気流は持続しうる。ただ、不動産や雇用問題など短期イシューに対する反応なら、2022年の大統領選挙で彼らはスイングボーターになるだろう」と述べた。

キム・ミナ、ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/989763.html韓国語原文入力:2021-04-0608:19
訳C.M

関連記事