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[BTS深掘り1] マイケル・ジャクソンをオマージュ、手練れのBTS

登録:2021-06-05 10:38 修正:2021-06-19 10:54
イ・ジェイクのBTS深掘り(1)

[夏を迎え、ラジオプロデューサーのイ・ジェイクさんが4週連続4部作でBTS特集を送ります。音楽を基盤に、ジョングクの「手の甲キス」からVのヘアスタイルまで、BTSの様々な話を繰り出します。「オヤジARMY」イ・ジェイクさんが薦めるBTSの魅力あふれる映像もお見逃しなく!]

ビッグヒットミュージック提供//ハンギョレ新聞社

 防弾少年団(BTS)が新曲「Butter」を発表した。この短い一文から多くのことが自動的に予想される。ユーチューブで最多視聴映像の座に着くか? 世界各国の音楽市場1位を占めるか? 今回も各種チャート1位になるか? このような予想が当たったのかいちいち確認する必要はない。すべて現実になったのだから!

 BTSは、ウサイン・ボルトが陸上界に登場した時のように、ポップスの歴史の長い記録を塗り替えている。新曲「Butter」がビルボードのメインシングルチャートで1位になり、BTSは「Dynamite」で初めて1位を獲得してからわずか9カ月で、4つの曲で1位を獲得した。ジャスティン・ティンバーレイクとジャクソン5に次ぐ記録だ。発表初週にビルボードチャートで1位になった歌が3曲もある歌手は、BTSが唯一だ。ユーチューブも同様。元々彼らが持っていた史上最短期間での1億ビュー達成記録を更新し、1、2位の記録をすべて独占した。この他にも世界各国のチャートを席巻し、主な音源プラットフォームのほとんどでストリーミング回数記録を更新している。すでにギネスに載った記録だけでもいくつもある。簡単に言えば、BTSは「依然として」世界で最も人気のあるポップバンドだ。海外メディアもBTSを扱うときに「センセーション」という表現はもう使わない。「世界で最も人気のある」という表現に変わって久しい。BTSの成果についてはこれくらいにして、ここらで新曲の歌詞を深堀りしてみよう。

 前作「Dynamite」に続き、「Butter」も英語の歌詞だ。全体的には、バターのようにあなたの心をとらえるという内容だが、歌詞全体をひとつひとつ探っていくと本が一冊できそうなので、今日のコラムでは最初の一行だけを読み込んでみる。「Butter」の歌詞の最初の一節はこうだ。

 「スームス・ライク・バター、ライク・クリミナル・アンダーカバー」(Smooth like butter/Like a criminal undercover)

 「スムース」という表現は、異性に対する態度が非常に自然で手練れな場合にも使う。直訳すると、バターのようになめらかで、本来の姿を隠した犯罪者のように致命的な魅力、という意味だ。ところが、この短い6つの単語は英米圏の音楽ファンには違う次元に拡張される。

 犯罪者を意味する単語「クリミナル」は、ミュージックビデオの途中でメンバーが犯罪者のようにマグショットの前に立つシーンにつながる。前述の「スムース」という単語につけば「スムース・クリミナル」というマイケル・ジャクソンの名曲のタイトルになる。マイケル・ジャクソンもまた、唐突に出てきたわけではない。BTSは前作「Dynamite」の活動当時、マイケル・ジャクソンに対するリスペクトを示している。公式ミュージックビデオに彼の専売特許とも言える「ムーンウォーク」を踊る姿を取り入れ、公演の際にはマイケル・ジャクソン風の衣装や振り付けで特別舞台を披露するほどだった。ウィットの効いた歌詞を通じて前作の感性を受け継いでいるということだ。では「Butter」は前作「Dynamite」の成功に寄り掛かろうとしているのか?そんなわけはない。

ビッグヒットミュージック提供//ハンギョレ新聞社

 「Dynamite」の歌詞を見てみよう。歌い出しはこうだ。

 「コーズ・ア・ア・アイム・イン・ザ・スターズ・トゥナイト」('Cause I-I-I'm in the stars tonight)

 実際、「Dynamite」は星のようにきらきらしたメロディーと音源サンプルが溢れる。ミュージックビデオを見ても、総天然色の色彩がこの上なく華やかだ。ステージも常に弾け、ピカピカしている。眩しくて耳がジーンとする。では「Butter」は?全く逆。バターのようになめらかという最初の歌詞のように、目と耳にやさしい。まずミュージックビデオは、色彩を排除したモノトーン画面から始まる。すでにミュージックビデオを数十回見たが、ARMYの象徴色である紫色とバターの色である黄色を除けば、他の色がよく思い出せない。その後の活動でも同じだ。舞台セットもすっきりしていて、衣装も単色のスーツやシンプルなカジュアルが中心で、「Dynamite」に比べるとずっとリラックスできる感じだ。

 歌詞を見たので、今度は曲を分析してみよう。歌詞でマイケル・ジャクソンやアッシャーという米国黒人音楽のレジェンドを召喚したように、作曲の面では大胆にも英国ロックの伝説「クイーン」を召喚している。「Dynamite」で際立っていた楽器がギターとブラスだったとすれば、「Butter」をけん引する楽器はベースだ。歌い出しから最後まで繰り返されるベースラインをティザー映像ですでに披露していたが、クイーンのヒット曲「地獄へ道づれ(アナザー・ワン・バイツ・ザ・ダスト)」のあの有名なベースラインとあまりにも似ていた。クイーンはツイッターの公式アカウントに、BTSの新曲への期待と愛情を表す書き込みを掲載し、召喚に応じた。このまま本当にクイーンと協業して歌を出すことになったら…? 想像するだけでも五感が楽しい。

 正直に言って「Dynamite」は個人的に惜しい部分があった。言葉にするのは恥ずかしいが、筆者の「最愛」のメンバーであるシュガ(ミン・ユンギ)をはじめとするラッパーラインの比重が少なかった。今回も分量は同じく4節で変わりないが、「Dynamite」では歌に埋もれるような軽いラップだったとすれば、「Butter」ではもう少しラッパーとしての個性が現れていてまだ良かった。メンバーが7人で1曲は通常3~4分なので、歌の性格によって各メンバーの役割が違うということは理解しつつも、毎回新曲が出るとシュガの分量を確認する神経質な「ARNY」こそまさに私だ。こんなARMY、私以外に誰がいる?目をつぶって考えるしかない。「ミンパダプ」(ミン・ユンギにはまったらどうしようもない)というのは真理だ。

 ともかくここまで見たように、「Dynamite」と「Butter」をつなぐのはマイケル・ジャクソンだけだ。質感が違うのに、なぜかなりの人がこの二つの曲が似ていると感じるのだろうか。この点にBTSのジレンマがある。<続>

イ・ジェイク|SBSラジオプロデューサー、「時事特攻隊」司会者

https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/998099.html韓国語原文入力:2021-06-05 02:32
訳C.M

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