「日本の対外政策が帝国主義時代を模倣したものであるかは分からないが、反時代的政策であることは間違いない」
24日、ソウル中区(チュング)の複合文化空間の巡和洞天(スナドンチョン)で開かれた『日露戦争−起源と開戦』(ハンギル社発行)出版記者懇談会に出席した和田春樹東京大学名誉教授は、原材料輸出規制など日本が韓国に取った「経済報復」措置についてこのように語った。日本の代表的な良心的知識人として知られる彼は、7月から日本政府が取った輸出規制措置の撤回を求める署名運動「韓国は『敵』なのか」を率いている。
彼は日本の安倍晋三首相が韓国に極端な措置を取った背景には、「韓国を相手にしないとの考え」があると推測した。安倍首相が2012年12月、二度目の首相に就任する際に「河野談話」を否定したのは、「韓国が慰安婦問題を提起するのは、過去を持ち出して日本の名誉を傷つける行動」と思ったからであると彼は説明した。「安倍氏は2015年にも朴槿惠(パク・クネ)政権と慰安婦合意をしたくはなかったが、当時のオバマ米大統領の圧力により合意することになった。しかし、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がその後に合意を壊したので、『韓国は一体何だ』と思ったのだ」
安倍首相のこのような考えには、文在寅政権の南北和解政策も大きな影響を及ぼしたというのが、彼の判断である。「北朝鮮核問題で戦争が起こるのではないかとの雰囲気で、韓米日は北朝鮮に圧力をかけていた。しかしそれ以後、文大統領が「戦争は絶対に起こしてはならない」と交渉に乗り出し、朝米首脳会談を引き出した。トランプ大統領が自分と相談なしに会談を受諾したことに、安倍首相は大きな衝撃を受けた。安倍首相は文大統領が親北朝鮮の人物ではないかと、反感をさらに持つようになった。朝米間で戦争が終わる状況なら、これを後押しして文政権を助けるのが望ましいのに、安倍氏はこれと反対のことを行っている」
これは日本が感じる「絶望的状況」に対する反作用だというのが、和田教授の考えである。「北東アジアで南北朝鮮、中国、ロシアが互いに密接になれば、日本が頼る国は米国しかない。しかし米国もいつまで日本を支持してくれるのかという状況である。日本が外交的に孤立して展望と出口が見えない状況で、疎外感と絶望感を感じており、これが対外政策に表出した」と述べた。
「日本人の政府支持は理解不足のため
国民の反対で安倍氏が下野してこそ変わる」
韓国に積極的な説得の役割を注文も
彼は、韓国に経済的に追撃されていることに対する日本の不安感も作用したと見る。「韓国は民主主義革命と経済発展を成し遂げ、中国も経済的に発展している。日本は韓国と中国を恐ろしい存在と思わざるを得ない。しかし日本が、(日露戦争時のように)韓国を奪ったり中国に進出しようと考えることが可能な状況ではない」
彼は繰り返される旭日旗論議にも答えた。「旭日旗は帝国主義の伝統で使われたものとして、戦後に断絶されなければならなかったのに、それができなかった。さらに大きな問題は、帝国主義戦争で用いられた日章旗を維持していることである。これは日本国民が先に問題を提起しなければならないのに、それができず痛恨の極みだ」
彼は、日本では相変わらず安倍氏を支持する国民が大多数という点を挙げて、韓国政府の積極的な役割を注文した。日本国民は文大統領の慰安婦と徴用問題に対する立場が何であるか、よく理解できずにいる。韓国政府としては、日本国民をどう説得すべきかを悩まなければならない。(日本国民の反対で)安倍氏が下野すれば、今の対北、対南政策も変わるはずである」
今回翻訳された『日露戦争』は、2009〜2010年に日本で二分冊で出版された労作である。彼は「日本人の日露戦争に対する記憶の中で、朝鮮は完全に無視されている。私はこの本を、こうした国民的記憶に対する批判として、日露戦争の本質は朝鮮を占めるための朝鮮戦争だったと言うために書いた」と語った。