「同じでありながら、違っていた」
8日と11日、二回披露した北朝鮮芸術団の公演を評価すれば、このように要約できる。北朝鮮芸術団の来韓公演にあわせて発刊された『NK POP:北朝鮮の電子音楽とポピュラー音楽』によると、今回の三池淵(サムジヨン)管弦楽団はこれまで北朝鮮で行われていた公演スタイルを踏襲しながらも、韓国の情緒や政治的敏感性をすべて考慮した舞台を作ったと言える。北朝鮮芸術団の公演は、今回の韓国公演と同様にたいてい90分間、14曲程度のプログラムで構成される。世界の名曲集や、金正日(キム・ジョンイル)総書記関連の曲集で“メドレー”を聞かせながら、実際には約40曲に近い曲を演奏する。今回も90分の公演でクラシック、世界名曲集と韓国歌謡集のメドレーを聞かせた。違いは最初の曲と最後の曲だ。北朝鮮では「愛国歌」「金日成(キム・イルソン)将軍の歌」などが公演の前後を飾るが、韓国では最初の曲は「うれしいです」、最後の曲は「私たちの願い」「また会いましょう」を選曲した。
この本の共著者であるチョン・ヨンソン建国大学統一人文学研究団教授とハン・スンホ・キョンドン未来戦略研究所南北交流協力チーム長は、今回の公演の最高スターである三池淵管弦楽団のヒョン・ソンウォル団長に対する説明も付け加えた。ヒョン団長は1月15日、北朝鮮芸術団実務接触のために代表団として登場して以来、11日のソウル国立劇場で行われた公演では自ら舞台に上がり、「白頭と漢拏は私の祖国」を率先して歌い、注目を集めた。「プロジェクトチーム」である三池淵管弦楽団を率いたヒョン団長は、本来は「金正恩(キム・ジョンウン)時代のアイコン」と呼ばれる牡丹峰(モランボン)楽団の団長だ。2011年12月の金正日国防委員長の死去で、北朝鮮の新しい指導者になった金正恩労働党委員長は、体制の安定化に向け先代の音楽政治を活発に展開させた。2012年7月、平壌(ピョンヤン)の万寿台芸術劇場で初のテスト公演を披露した牡丹峰楽団は、金委員長が指導者として最も先に果たした成果だ。北朝鮮メディアは「金委員長が直接楽団名をつけ、試演会や公演を数十回にわたって指導した」と報道した。以降、牡丹峰楽団は名節や記念日に欠かさず登場している。
チョン・ヒョンシク国立国楽院学芸研究士は「2015年の牡丹峰楽団の中国公演当時、『助詞一つたりとも変えることはできない』として公演をキャンセルしたヒョン・ソンウォル団長が、今回は『平和の歌』などのタイトルも変え、一部の歌の歌詞を変えたりするなど、韓国側に近くに寄り添おうと努力した部分が見える」と話した。チョン・ヨンソン教授は「これまで南北関係で音楽は疎通への試金石だった」とし、「南北が6・15南北共同宣言や8・15光復節の他にも、今回の五輪のような平和週間の行事を増やし、南北の共感を増していく努力が必要だ」と話した。