登録 : 2017.06.06 22:38 修正 : 2017.06.07 06:58

慶尚北道高霊池山洞の稜線沿いに造成された4~6世紀の大伽耶古墳群。伽耶時代を代表する古墳遺跡の一つで、1970~80年代に殉葬の痕跡を保管した大規模墓室跡と各種の遺物が発掘され関心を集めた。慶尚北道高霊郡提供//ハンギョレ新聞社
「これは疎通ではない。彼の“指示”は思慮深くなかった」

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が今月1日、大統領府の首席・補佐官会議で古代伽耶(カヤ)史の復元を国政課題に含めてほしいと事実上“指示”したことを眺める歴史考古学界の反応はこのように要約される。鉄の王国であり、古代日本の歴史に甚大な影響を及ぼした伽耶史研究の深化・拡大には共感するが、その方式と態度に問題があるという話だ。過去の朴正煕(パク・チョンヒ)政権や朴槿恵(パク・クネ)政府が政治的施策として前面に掲げた新羅(シルラ)史などの地域別歴史“推進”と同じように見えるということだ。ハ・イルシク延世大教授は「うんざりだった朴槿恵政権の国定教科書旋風からようやく抜け出せると思ったら、権力者が歴史研究方針を示達する過去の悪夢がよみがえったようだ」と打ち明けた。

 当初、文大統領が伽耶史復元の名分として明らかにしたのは次の2点だ。伽耶史は六伽耶連盟体の地盤だった慶尚道の南北だけではなく、蟾津江(ソムジンガン)、光陽湾(クァンヤンマン)、南原(ナムウォン)一帯、錦江(クムガン)上流にまで分布する広い歴史であるので、嶺湖南(<ヨンホナム>=全羅道・慶尚道)地域の和合のための共同事業になりうるという点と、三国時代中心の歴史、特に新羅史に覆い尽くされた過ちから抜け出さなければならないという点だった。伽耶史の専門家が不足している状況であり、文献史料もあまりない実状で、名分自体に文句をつける人は殆どいない。だが、学界は現政権があれほど強調してきた疎通が、歴史分野では大統領の一方的指示に埋められたという当惑感に包まれた。国政の最高権力者が学者と伽耶史の実状を対話もせずに、研究の進むべき方向を指定して政策にしろと注文すること自体が本末転倒だという見解が支配的だ。綿密な細部構想を前提にせずに恩恵を与えるかのように権力者が国政課題化を言ったことであり、研究の主役である学界は放っておき、政府機関と地方自治体が観光開発、復元などで予算取り競争を行うことが目に見える。未だに問題が続いている慶州(キョンジュ)月城・黄龍寺(ファンニョンサ)のスピード発掘のように「拙速復元」論議を起こす公算が大きいという憂慮は避けられない。

 今日、伽耶史研究で切実な課題は、伽耶文明の完全な再照明と復権のための研究基盤と、植民史観論議から抜け出す国民的共感の形成だ。朝鮮半島古代史に伽耶が遺した痕跡は決して小さくない。中央集権的な統一国家にはならなかったが、鉄と土器の産地という利点を生かし、日本、三国、中国を股に掛けた中継貿易の拠点として数百年繁栄した。3~6世紀、日本の古代ヤマト政権の土台になった鉄製武器と馬具、須恵器と呼ばれた丈夫な土器類は伽耶文明との交流なしには考えられない。しかし、日帝強制占領期間に日本人学者は、伽耶を「加羅」と書いた文献史料である日本書紀の誇張・潤色された記録を乱暴に適用し、伽耶を任那日本府の核心圏域と断定した。そして金海(キムヘ)、咸安(ハムアン)などの伽耶遺跡に記念物を立てたかと思えば、今でも自国の教科書や歴史書物に両国の学界で事実上根拠を失った任那を朝鮮半島西南部を支配した親日勢力圏として表記している。

 韓国ではあまり知られていないが、韓国考古学界は植民史学の垢をそぎ落として伽耶史を正すことに相当な成果を上げた。1980~90年代、伽耶圏遺跡と遺物の活発な発掘を通じて、洛東江(ナクトンガン)西部の土器は伽耶のもの、東部は新羅のものという日帝植民史学者の歪曲された地域区分を正した。膨大な量の馬具、金属遺物、土器を発掘、分析して、任那日本府が想像の産物に過ぎないということも、日本学界が認めるようになった。大統領府と政府は学界の隠れた努力を尊重し、こうした成果を大衆に広く知らしめ共有する作業に力を加えることが優先だ。依然として大衆の根深い「植民史観トラウマ」のせいで、学界は伽耶関連史跡が多数記録された唯一の文献である日本書紀の史料批判作業も顔色を見ながらしなければならない状態だ。地方自治体の世界遺産事業や観光開発などに投じられる“裏金”を最大限に抑制し、まず学界と疎通しながら伽耶史の前に置かれた学問的障害物を順々に片づけることから誠意を示す必要がある。

ノ・ヒョンソク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2017-06-06 20:33
http://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/797722.html 訳J.S(2015字)

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