「先月、韓国と中国そして米国、ドイツの市民社会の協力で中国上海師範大学の校庭に建てられた『韓中平和の少女像』が、日本政府の執拗な撤去要求に悩まされている。上海市当局は少女像の撤去または室内への移転を求め圧迫している。少女像の設置を主導した上海師範大学の蘇智良教授と中国慰安婦問題研究センターや学生などが日本と中国当局を批判し抗議しているが、このまま行けば室内移転の結論が出る可能性が高い」
9月から中国慰安婦問題研究センター(所長・蘇智良)の客員研究員として上海に滞在しているユン・ミョンスク博士(55)は「少女像の室内移転はすなわち日本に屈服することであるため、少女像の建立に参加した京畿道華城市(ファソンシ)など韓国の市民社会もこれを守る運動を応援してくれるよう願う」と伝えた。
日本の一橋大学での博士学位論文を基に書いた「朝鮮人軍慰安婦と日本軍慰安所制度」(訳チェ・ミンスン、而学社出版)でよく知られたユン氏は、講演のためにしばらく帰国した22日、ウィチャットなどのSNSを通じて少女像を守るための世論が広がっていると伝えた。
上海師範大学東部キャンパスの芝生に、伝統的な服装の「韓中平和の少女像」が並んで建てられたのは10月22日。米国、カナダ、オーストラリアに続き、海外で5番目に作られたこの少女像は、韓中少女像建立推進委員会と第2次世界大戦歴史保存連合会、そして華城市や上海師範大学が「日本軍慰安婦被害者の名誉と人権回復のために」力を出し合って建てた。昨年、ソウル城北区(ソンブクク)東小門洞(トンソムンドン)に作られた「韓中平和の少女像」と同じ作品であり、韓国人少女像はキム・ウンソン、キム・ソギョン作家夫婦が、中国人少女像は中国清華大学美術学部の潘毅群教授(55)が制作した。韓国側の少女像建立推進委が市民の募金で3000万ウォン(約287万円)を制作費として拠出した。
韓中が力を合わせ上海師範大学に建てる
日本側は、10月の除幕式前日から攻勢
最近中国当局も「室内移転」を要求
「寄付金集めてくれた韓国市民社会にも持ち分」
蘇智良教授らは「守る人々」の支援を期待
日本側の露骨な撤去圧力は、少女像の除幕式前日から始まったとユン博士は伝えた。「10月21日午後4時頃、上海の日本総領事館から蘇智良教授に直接電話があり、設置しないでほしいと要請された。上海には日本企業も多いので両国の交流協力にも良くないという趣旨の話もされた」。蘇教授は「何も返事をしなかった」という。
蘇教授は1993年頃から慰安婦問題を調査し、研究書籍も出してきた。「蘇教授は中国人慰安婦(中国居住の朝鮮出身者慰安婦を含む)の口述調査もかなり行い、民間人から寄付金を集め、毎月被害者と確認された方々に生活費の支援もしている」とユン博士は伝えた。
現地と日本のメディア報道を総合すると、10月22日午前に少女像の除幕式が開かれると、その日の午後日本の外務省が東京の中国大使館に少女像の撤去を要請し、中国の日本総領事館も上海師範大学に少女像の撤去を要請する電話をかけた。その後から中国政府側の圧力がさまざまな経路を通じて入ってきた。「22日午後から中国外交部は上海市人民政府の外事事務所に連絡し、上海市人民政府はまた上海市教育委員会に、そして上海市教育委員会は上海師範大学に連絡をした。最初は少女像に幕をかぶせて人目につかないようにするよう言った。しかしすぐに要求内容が少女像の撤去に変わった。その後、11月10日頃からは再び少女像を博物館内部に移動させよという要求に変わった」
これに反発した中国人たちの要求で、中国外交部はブリーフィングを通じて強硬な態度で繰り返し原則的な立場を明らかにしている。「しかし実際には、中国当局の公式な対外反応と内部の対応は異なり、二重的だ」
「中国慰安婦問題研究センターは、少女像の移転を拒否している。しかし、(中国)政府の圧力が日増しに強まっている。上海師範大学は少女像の設置を許可してくれたが、当局の圧力にどれくらい持ち堪えることができるかわからない」
ユン氏は「日本軍慰安婦問題は、日本という国家が犯した歴史的な犯罪事件だが、今再び国家が民間の少女像設置事業に関与して撤去ないしは移転を強制するのは容認できない」と話した。
彼女はもともと少女像の建立に対して単純に歓迎した人ではない。「少女像は韓国で慰安婦被害者を10代の少女だけに限定し、イメージを固定化させるため、無条件には賛成しなかった。少女のイメージがあまりに強烈に家父長的純潔イデオロギーと結びついているためだ。慰安婦問題の被害者が少女にのみ限られていたわけでもない」。だからといって彼女は歴史を記憶する造形物自体を否定しているわけではない。彼女は特に、韓日間の12・28合意により韓国では打撃が大きかったが、いままさにその問題に本格的に対処し始めた中国は違うとし、「中国では今が重要だ」と話した。「少女像建立が中国で日本軍慰安婦問題を正しく浮き彫りにすることに重要な役割を果たせると考えている。議論の拡大再生産に肯定的な影響を続けてほしい」
昨年9月から4カ月間上海に滞在したユン氏は、今年に入って9月から来年8月末まで1年間の予定で蘇教授の研究センターに滞在し、浙江省の日本軍慰安婦の現地調査に参加するなど、研究活動を続けている。1932年に日本海軍の陸戦隊が駐屯した上海は、日本軍慰安所が最初に設置されたところであり、今も日本海軍の慰安所だった建物が残っており、博物館として再建する事業が進められている。
今回の訪問中に彼女は漫画家のキム・クムスクさんと一緒に、中国に残った唯一の韓国国籍の慰安婦被害者で墜落事故で韓国の病院で治療を受けているハ・ソンスクさん(88)を訪ねて慰問し、看病中の末娘に中国の生徒たちが書いた応援メッセージを伝えるなどした。