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良い親になる授業で減らす韓国の児童虐待

登録:2016-05-02 08:30 修正:2016-05-02 08:52
叱る代わりに対話、怒鳴らずに誉める
先月26日、仁川市のワールドビジョン仙鶴福祉館で「しっかりした心の親の教育」の講座を昨年受講した7人の母親が集まり子供に手紙を書く時間を持っている=写真ワールドビジョン提供//ハンギョレ新聞社

虐待行為者の33.5%が養育法を知らない
子どもとの関係の悩みを親が集まり学ぶ

 「最近、娘との対話が増えました」

 「弟はどうして殴らなかったのって?お母さんはよく思い出せないけど、私にとって決して消えない傷になるのね」

 3人の子を育てる43歳の母親のパクさんは、先日、長男の言葉を聞いて胸が痛んだ。今は記憶もはっきりしないが、数年前、息子に細い木の切れ端で体罰を与えたことが頭をかすめた。子供に「あの頃は家の事情がよくなくて、お母さんも大変だったの。ごめんね」と答えた。少し前まで、パクさんは子供たちに細い木を手にすることがあったが、近くの福祉館で親の教育講座を聞いてから養育方法が変わった。子供たちを教育する時に暴言を使ってしまった時は、その言葉をメモして壁に貼り付けた。パクさんは「以前は暴言が先に飛び出してしまったけど、もうそういうことはありません。学校で子供が変わったという話を聞かされました」と言って喜んだ。

 昨年から相次ぎ発生した児童虐待事件を機に、「私は果して良い親なのか」「子供とどう接すればいいのか」といったことを省察する、親の教育プログラムに参加する親が増えている。昨年、保健福祉部が発表した「2014年全国児童虐待現状報告書」によると、身体及び情緒虐待、性的虐待、放任など児童虐待の事例の類型を問わず、児童虐待行為者の特性として「養育態度や方法の不足」が最も高い比重(33.5%)を占めていた。女性家族部は育児態度に関した親の教育が児童虐待を減らせる方法になると考え、家庭の日の5月15日の週を「親の教育週間」に定めた。

 先月26日、仁川(インチョン)広域市延寿(ヨンス)区のワールドビジョン仙鶴福祉館にも、養育方法に悩む母親の7人が集まった。彼女たちは昨年、ここで受けた「しっかりした心の親の教育」を通じ、親として変化したい自分の姿の設定、親として自分を辛くさせるストレス管理法、親の役割支持網構築などの活動を履修した。教育が終わった後も集まり、子どもに手紙を書く時間を持っている。同日、授業に参加した5人兄弟の母親のキムさん(43)は、「親の教育を受けてから子供たちに『ごめんね』、『ありがとう』といった言葉を使うようになった」と話した。キムさんは仕事で得た月給の170万ウォン(約16万円)で5人の子どもを育てなければならない厳しい環境のなかで、子供を正しく育てたい気持ちで親の教育講座を受けることにした。彼女は「親の教育を受け、経済的ストレス自体が解決されることはないけど、ストレスが子供たちにそのまま伝わらないように調節する方法を学べます」と話した。

 受講生の母親たちは、時間が経つほど子どもとの関係がよくなるのを感じると言った。高校生の娘を育てる一人親家庭のイさん(57)は、「口数が少ない娘と去年まで対話をまったくしませんでした。親の教育の授業で『子どもの長所を探す』という課題がありましたが、うちの子の長所を見いだせまんでした」と打ち明ける。「『この子を誉めることなどあるのか』と批判ばかりして、他の子供だちと比較していた。しかし、うちの子には任された仕事を最後まで果たす責任感がある長所があった」ことに気づき、最近は娘との対話が増えたという。

 今まで、親の教育は、母親を対象とする講座がほとんどだったが、最近は父親を対象にした親の教育も増えている。ソウル麻浦(マポ)区の麻浦生涯学習館では「子供の未来を悩む父」という講座を通じて、父親を対象に毎週、親の教育を行っている。専門相談員が学校を訪ね、父兄の相談をすることもある。ソウル・江西(カンソ)教育支援庁では専門カウンセラーが学校を訪問し、保護者を対象に集団相談をする「すべて親」というプログラムを始めた。シン・ナミン東国大教育学科教授は「親がまず自分自身を顧みることができれば、子供との疎通ができ、子どもが幸せになれる。子どもとの疎通は親の教育で一番重要」と強調した。

キム・ミヒャン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-05-01 21:09

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/742045.html 訳Y.B

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