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[社説]身が凍る思いの親の気持ちで保育改革始めよ

登録:2015-01-17 07:22 修正:2015-01-17 09:28

 「花であっても殴らないで下さい」。託児所の暴行事件が起きた仁川(インチョン)の松島国際都市の母親たちが15日、リレー式のデモを始めた際に訴えたコピーである。あまりに当たり前の話なのに、身の縮む事件が起きたゆえに、新たな思いがする。問題が起きると一時的にだけ関心を持つ大人たちの慢性的な無関心さが恥ずかしくなる。

 子供の面倒をみる所で、このようなことが繰り広げられるのは特に驚くべきことである。2013年に確認された児童虐待の8.7%(591件)は保育施設で、このうち202件は託児所で発生している。ひょっとして家庭で虐待されている子供がいないか注意するなど子供保護の最前線に立つべき保育施設の従事者がむしろ加害者になっている現実は我々の児童保護・保育システムが根本的な病に罹っていることを示している。

 保育教師の資格の発行も民間機構である韓国保育振興院が受け持っている。インターネットの講義を聞くだけで資格を得られるほど資格条件と審査は不十分だ。託児所の評価の二認定もこの機構が担当しているが、今回問題になった託児所は昨年は100点満点で95.36点だったというのだから何の効力もない認定制度だ。保健福祉部は根幹的な監督業務を民間に押し付けておきながら実際に事件が起きると運営中止や資格停止などと騒ぎたてる。

 託児所を金儲けの手段ぐらいにしか思っていない事業者のゆがんだ姿も取りざたされて久しい。2013年に警察の捜査によってソウルと京畿道一帯の約700カ所の託児所で300億ウォン(約33億円)台の公金横領が明るみになり、主犯とされたセヌリ党所属区議員が拘束されたこともある。託児所の運営が典型的な利権事業に転落したことを示す端的な例である。各種の規制も運営者の集団的な声でないがしろになるのが常だ。そうしているうち保育教師の劣悪な待遇、無資格教師の雇用、質の低い保育サービスなど児童虐待の種が広がることになったのである。

 このような事情を十分知っている父母らは安心して子供を預けられる国公立の託児所の増大を求めてきたが、2013年時点で5・3%に終わっている。政府与党は無償保育を公約に掲げておきながら「無料福祉だ」と言ってひるがえすなど、保育政策に対する信念の不足を表わしてきた。セヌリ党のキム・ムソン代表が「セウォル号の惨事後で最大の衝撃」として特別対策を求めたというので成り行きが注目されるが、監視カメラの設置などの彌縫策に終わってはならない。今も身が凍る思いの父母らの気持ちになって保育政策の新しい枠組みを作るべきである。子供たちを育てるのは国家の義務である。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015/01/15 18:48 

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/673792.html 訳T.W(1213字)

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