オンライン書店に圧倒される本屋さんに活路 読者に本を選ぶサービスが韓国で人気
6日午後、ソウル中区清渓川（チョンゲチョン）の古書店「ミンキ」。チェ・オシク社長(58)が数千冊の本がある書棚の前で考え込み、一冊、そして一冊と本を取り出した。開店して22年目になる社長の“見識”で、読者が求める「主題」に合わせ3冊ずつ本を選ぶサービスを実行中だ。チェ社長が選んだ本は「ソルレオハム」（心ときめく箱）という名前の箱に詰め込まれ、読者に送られる。
清渓川の古本店ミンキなどで「ソルレオハム」
ネットで読者が主題を選び
内容に合わせて本を選んで送る
書籍紹介サイトで公募した事情に合わせ
本を選びプレゼントとして送る書店も
町内書店地図のサービスも登場
この日、読者が選んだ主題は「省察」と「余裕」。チェ社長は省察には村上春樹の『アフターダーク』を、余裕にはパク・ワンソの『あまりにも寂しいあなた』などを選んだ。「本を選んでほしい」という注文は1カ月に30箱程度。まだ大きな収益にはならないが、チェ社長は「サービスに参加し、読者がどんな本を探しいるのか最近のトレンドを学んでいる」と話し「お客が絶えなかった時代に戻れたらいいけど」と期待を膨らませた。
韓国書店組合連帯会議の2014年の発表では、165平米(50坪)未満の町内の書店は、2005年の2287店から2013年に1674店まで27％ほど減った。2000年代初期にオンライン書店が登場して以来、下り坂を駆け下りてきた町の書店が、彼らを脅してきたオンラインのプラットホームを逆に攻略して復活を夢見ている。各種オンライン販売のプラットホームやアプリケーションを活用し、町内書店ならではの特色を広報する“スキ間戦略”を駆使しているのだ。
ソルレオハムのサービスはインアクタスという延世大学のサークルが昨年5月から進めている「チェック（本）イットアウト・プロジェクトチーム」という企画により始まった。本の種類と関係なく定額1万5000ウォン（約1500円）でソルレオハムのホームページ(oldbookbox.modoo.at)で欲しい主題の本を選べば、見識ある書店の主人が関連書籍3冊を選んで送る。読者が箱をあけるまでどんな本が選ばれたのか分からないので、ときめく気持ちを表しソルレオハムと名付けられた。 近くのトギン書林もソルレオハムのサービスに参加している。プロジェクトを率いるチーム長のキム・スギョンさん(23)は「中古書店まで大企業に牛耳られるのが残念でした。かつては大学の図書文化の拠点だった清渓川の古本屋を生かしたいと思った」と話す。キムさんは「本を注文する時に好きな作家やジャンル、本の品質などの要求事項を詳細に書き込むことができて、顧客の満足度も高い」として「プラットホームによるためなのか、オンラインの注文に慣れている20代から30代で60％以上注文されている」と明かした。
江原道束草にある東亜書店は、開店60年目を迎えた昨年、顧客の事情に合った本を送る年末イベントを開いた。本のコンテンツを紹介するベンチャー会社「パブリ」のパクソリョン代表(35)が「町内の書店にも良い本が多いことを知らせよう」と提案したのに応じた。パブリのインターネットサイトに事情を知らせてきた読者60人に東亜書店のキム・ヨンゴンさん(29)が本を選び、代わりにプレゼントとして送ったのだが、読者の反応は予想以上に良かった。キムさんは「町内の書店が本を媒介に人々の人生に関われることが分かった」と話した。
様々な町内書店に関する情報を網羅して提供するサービスも登場している。独立出版のオープンマーケット・サービスを提供するベンチャー会社の「ファニープラン」も、昨年8月から町内書店情報をグーグルマップに表示する「町内書店地図」のサービスを始めた。ファニープランのナム・チャンウ代表(43)は「現在、全国90店余りの書店情報があるが、直接整理したのは60店で、残りはインターネットユーザーが直接参加して追加した。町内の共同体の役割をする地域書店を知らせたいという趣旨に共感したようだ」と話す。韓国書店組合連合会のパク・テチュン会長は「図書定価制が定着し、こうした自然発生的な動きが活発になってくるおかげで、町内の書店にも日照りの末に恵みの雨が降っている」と期待を込めた。
韓国語原文入力：2016-01-11 21:50
