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田舎のお年寄りたちの“シネマパラダイス”

登録:2015-05-04 08:58 修正:2015-05-04 10:31
24日、全羅北道長水郡に住むホン・チョンジャさん家族3代が一緒に「ハンヌリ・シネマ」の最前席に並んで座り、最新封切られた「アベンジャーズ2」を観ている=小さい映画館社会的協同組合提供 //ハンギョレ新聞社

3Dメガネをかける田舎の映画館にお出かけ
「昔は運動場で映画を観たもんだ」

小さな映画館に社会的協同組合
僻地8カ所に作られた映画館「3年で黒字」
22ヶ所で追加建設推進

 全羅北道茂朱(ムジュ)郡の小さな田舎の村、城内(ソンネ)村に住むウォン・ジョンテさん(76)は自称“映画館マニア”だ。ウォンさんは先月28日、妻とともに家の近所にある「山奥映画館」を訪ね、最近封切られた「アベンジャーズ2」を3次元(3D)映画で観た。話題映画の「国際市場」は小学生の孫を連れて行って観た。ウォンさんは「去年村に映画館ができる前は藤の木の運動場でプラスチックの椅子を持ってきて観た。今は暖かい劇場で楽しい雰囲気で観れる。文化生活をしている気分になる」と話した。

 6年前にソウルから同道長水(チャンス)郡老谷(ノゴク)里に帰農したホン・チョンジャさん(73)は、一カ月に一度、家族皆が集まって映画を観る。ホンさんの果樹園近くに2館90席規模の「ハンヌリ・シネマ」があるからだ。ホンさんは「帰農したら映画館には行けないと思っていたけど、5年前に家の近所に映画館ができ、ソウルのように映画を観によく通う」と話した。

 田舎の村では映画見物は容易ではない。映画振興委員会が出した2014年の報告書「韓国映画産業決算」によると、年間観覧回数が最も多いソウルは5.89回、最も少ない全羅道道は1.99回だった。首都圏・広域市住民は1年に3.6回以上映画を観るが、一般の地方自治体住民の映画観覧回数は少なかった。住む場所により映画を観る回数も変わるのだ。地域別の映画館偏重も大きく、全国の劇場356カ所のうち半分に近い44%がソウル(76カ所)と首都圏(81カ所)に集中している。大都市を中心にマルチプレックス(複合上映館)が集まっていて、映画館のない地域は一層疎外されるほかはない構造にある。

 「小さい映画館社会的協同組合」はこうした“映画格差”を率先して解決している社会的協同組合だ。郡単位の村に山奥映画館、ハンヌリ・シネマなどを作っている。2010年に全羅北道長水郡をはじめ、江原道洪川(ホンチョン)、仁川(インチョン)、江華(カンファ)など、郡単位の村8カ所に映画館を作った。映画館は人口が2万~10万人ある地域に見合うようマルチプレックスの半分水準で運営している。大型マルチプレックスは150席規模の上映館6~10館を作り、観覧客が減少すれば運営危機に陥るが、田舎では100席前後の座席を設け映画4~5編を封切れば収支を合わせることができるためだ。

 事業初期に赤字を免れなかった小さい映画館も今ではかなりの席を埋めるようになった。事業をたたまず続けてきた結果、22の地域に追加映画館を推進するほど事業が大きくなった。観覧料も5千ウォン(約550円)と安く定め観覧客数を増やし、デジタル配給システムを利用し、映画一編当たりのフィルム製作費200万ウォン(約22万円)をなくした。キム・ソンテ代表は「長水郡に初めての映画館を作る時は、似た成功事例がなくまわりから失敗すると言われた。しかし郡庁が電気代を支援してくれ、赤字が発生しても責任をとって運営する受託運営者と協約を結べ、2年前から黒字にさせることができた」と語った。

キム・ミヒャン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-05-03 21:36

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/689613.html 訳Y.B

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