韓国映画評論の傍ら字幕翻訳・コンサルタント活動も
「実験精神が光る良い作品
多くの人が知らずにいることが残念」
韓国映画、その中でも低予算の独立映画を愛して自ら苦労の道を歩み続ける人がいる。 しかも外国人でありながらそんなことをしているので、より注目を引く。ダルシー・パケット氏(43)は昨年、製作費10億ウォン(約1億円)未満の低予算独立映画の中から良い作品を選んで授賞させ、映画を記憶して祝う「野の花映画賞」を作った。 賞の名前も自分で決め、執行委員長も自ら務めた。今年、第2回の映画賞授賞式を控えた1日、ソウル麻浦(マポ)区のハンギョレ新聞社で彼に会った。
「韓国独立映画界には創意性と実験精神が光る良い作品がたくさんあります。ところが多くの人が良い作品を知らずに過ぎ去っていることがとても残念です」。パケット氏が映画賞を用意した理由だ。 独立映画は上映館を確保できなかったり、スクリーンを押さえたとしても広報できずに商業映画と競争しなければならないのが韓国の現実だ。 商業映画を作る人々も「独立映画がうまくいけば商業映画もうまくいく」ということを知っている。 このような映画賞を作ることに映画界全般の共感も強い。 しかし、実際に行うのは別の問題だ。 映画賞を作り出すのに賞金や広報費として通常数億ウォンがかかるが、ほとんど無償奉仕で仕事を進めている。 「募金活動で応援してくれる人はたくさんいます。それでも予算がギリギリなので特別上映会を減らして作るしかありません」
彼の韓国映画に対する愛情は1998年頃始まった。米国でロシア文学と言語学の修士論文を準備している間、近くにいた韓国人の友達を通じて韓国の映画を紹介されて嵌まった。韓国映画の簡単な書評をインターネットに載せたところ、世界各地から電子メールが送られて来た。 当時、韓国映画に対する英文情報が不足している状況で、彼は韓国映画を世界に紹介する有力な通路になった。
そんな縁で、完全に韓国に住み着いて本格的に映画の仕事を始めた。 今までに25本の韓国映画の英語字幕を作った。 英語字幕の校正を務めた映画も100本を超えると言う。 ヨーロッパの多くの映画祭では、韓国映画に関連したコンサルタントとして活躍している。
韓国の独立映画をどのように見ているのだろうか。独立映画と言えば、どこの国でも創意性と実験精神を強調するが、韓国の独立映画は独特の個性があるという。 米国では逆説的アプローチが多いが、韓国では感情処理がより直接的だと話した。「独立映画は韓国をより率直に見せてくれます。韓国に住む外国人の友人も独立映画に関心が強いです」
パケット氏は韓国の観客にお願いをしたいと言う。「独立映画は観客が一緒に作っていかなければなりません。 観客の口コミが独立映画を生かす最も大きな力です。 良い映画はSNS等を通して周辺の人々にたくさん紹介してください」。野の花映画賞は6~8日、ソウル・鍾路(チョンノ)のソウル劇場で特別上映会を行い、9日にソウル・中区芸場(イェジャン)洞の「文学の家-ソウル」で授賞式を開く。