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韓国映画振興委員会が上映作品を事実上検閲

登録:2015-02-03 00:14 修正:2015-02-03 07:49
映画振興委員会、「委員会審議」で法改正の方針
選定した映画上映しなければ芸術映画専用館支援しない
「政権に批判的な映画を統制しようとする意図」批判も
映画『ダイビングベル』のポスター。 //ハンギョレ新聞社

 映画振興委員会が映画祭の上映作品に事前審議と実質的に独立映画の検閲を同時に進めて問題になっている。 『ダイビングベル』のように政権に批判的な映画が上映されることを防ぐための弾圧策という懸念と反発が起きている。

 2日、映画振興委員会によると、同委員会は映画やビデオ振興に関する法律(映ビ法)第29条1項の但し書きの規定「映画上映等級分類免除推薦に関する規定」を改正することにした。既存の規定は、映画振興委員会や政府、自治体が主催・主管・サポート・後援する映画祭などの場合、映画上映等級分類を免除できるようにした。しかし、規定が変わると、映画振興委員会の外部の専門家で構成される9人委員会の審議を通過しなければ、上映が不可能になる。

 映画振興委員会が当該条項の改正を進める中で、実際先月22〜27日開かれた独立系の映画上映館インディスペースの企画展「2015ウラッチャチャ独立映画」の上映作品の一部が上映できない事態も起きた。映画振興委員会は、一部の上映作品が当初の申請内容と異なっていることを理由に免除推薦を取り消し、それに応じて政府に批判的な視点を示したキム・ソン監督の『自家撞着:時代精神と現実への参加』などの3本が上映できなかった。

 映画振興委員会は、「評価免除推薦の誤用を防ぐために改正を進めている」と主張している。しかし、映画祭側と映画界は事実上の検閲として受け止めている。ある映画祭関係者は「改正案が可決すれば、ダイビングベルのように政権に対して批判的な映画は映画祭で全く上映できなくなるだろう」とし「事実上の事前検閲に違いない」と反発した。

 これに先立ち釜山(プサン)市が最近イ・ヨングァン釜山国際映画祭執行委員長の辞任を勧告した事実が知られ、昨年釜山映画祭がダイビングベルを上映したことに対する報復ではないかという議論が起こった。これに関連し映画振興委員会の今回の動きは政権の映画界ならしという見方が優勢だ。今年初めに就任したキム・セフン新映画振興会委員長は、朴槿恵(パク・クネ)大統領のシンクタンクとして知られている国家未来研究院研究委員出身だ。

 釜山映画祭、全州(チョンジュ)国際映画祭、堤川(ジェチョン)国際音楽映画祭、ソウル国際女性映画祭執行委員長の4人はこの日の午後キム・セフン映画振興委員長と面会し、「規定の改正が映画祭の独立性と表現の自由を侵害する可能性がある」という懸念を伝えた。キム委員長は「誤解があるようだ。意見を幅広く聴いて慎重に決定する」と答えた。映画振興委員会は、当初の5日に定期会議を開いて、案件を上程する予定だったが、キム委員長は、「今すぐ5日の会議に上程するつもりはない」と述べた。しかし、映画界では映画振興委員会がいつでもまた規定の改正を進めると見ている。

 映画振興委員会が芸術映画専用映画館支援事業方式を改正することにしたのも、独立系の映画のための事前検閲という反発を買っている。映画振興委員会は、今年から芸術映画専用館支援事業で映画振興委員会が認めた映画を上映しなければ支援金を与えない方式に変える方針だ。映画振興委員会が26本の映画を選定し、芸術映画館がこれを決められた曜日に上映すると、支援金を支給するというものだ。映画振興委員会は先月23日、ソウル忠武路(チュンムロ)で芸術映画館運営者を対象に非公開の懇談会を開き、支援事業方式の変更を通知した。

 これに対し独立芸術映画専用映画館の会、独立映画専用映画館拡大のための市民の会、韓国独立映画協会、韓国シネマテック協議会など4団体はこの日、声明を出し、「映画振興委員会の改編案は、芸術映画館の作品選定・編成の自律性を深刻に侵害するおそれがある。また、特定の映画が支援から排除される方式であり、観客に見られる機会が制限される可能性もある」とし、芸術映画専用映画館の運営支援政策改編のための官民共同協議体の構成を提案した。

ソ・ジョンミン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.02.02 21:54

https://www.hani.co.kr/arti/culture/movie/676547.html  訳H.J

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