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高麗アザミと全羅道のリンゴを使った日本人シェフのイタリア料理が人気

登録:2015-03-03 10:53 修正:2015-03-03 11:02
 野菜ソムリエの木下太
 富川市でレストラン「ミッレフィオーリ」運営
レストラン「ミッレフィオーリ」の木下太シェフ。木下太氏提供//ハンギョレ新聞社

 国内産地の有機農野菜を持ち込み
 新鮮な食材で客の食欲惹きつける
 「お金より大切なのは価値でしょ」

 彼のメニューは普通のレストランとは違う。江原道旌善(チョンソン)のムン・ジョンオクおじいさんが育てた山奥の高麗アザミと鳥のささみ、京東市場ソウル商会のゴマ油を使ったアーリオ・オリオ、イ・ジョングッおじいさんが真心こめて仕上げた香り高く柔らかい国産豆生豆腐に、全羅北道長水(チャンス)のウィソンさんの有機農野菜で作った爽やかなドレッシングで仕上げた豆腐パフェのサラダ。

 メニューには食材の産地や生産者を知らせる長い名前の料理が続く。「お客様は食材を具体的に知る必要があります。生産者の誠意と顔を想像し、その感情まで吟味できるようにしたのです」。京畿道富川(プチョン)市中洞にあるイタリアンレストラン「ミッレフィオーリ」のシェフ木下太(33)は様々な面で特別な人だ。日本人の彼は2001年に成均館大学に韓国語を学びに来て、翌年同大学に入学して経済学を専攻した。高校生の時から料理に関心があった彼は休みを利用して料理を習い、2006年の卒業後に日本に戻って2年間イタリアンレストランで仕事をした。2008年に双子の兄と共に韓国に戻りミッレフィオーリを開いた。

 メインの食材は肉でも魚でもない野菜だ。先月26日訪ねたレストラン入り口には、自らを“野菜オタク”と紹介し「外国から持ち込まれた気力の尽きた野菜でなく、新鮮な国産野菜で美と健康をすべて身につけてください」と書かかれてあった。

 木下は日本で韓国では馴染みが薄い野菜ソムリエの資格証を得た。ワインソムリエのように野菜の品種と産地、栄養、料理法に精通した人に与えられる。彼が作るすべての料理は有機農野菜を使う。中間流通業社を通じず江原道旌善、全羅南道潭陽(タミャン)などから直接彼が持ち込む。京畿道加平で自ら畑で食材も生産する。「韓国では正統イタリアンパスタに使う野菜を探すのが難しいです。そこでいっそ高麗アザミのような韓国特有の新鮮な材料を利用して料理を作ることにしたのです」

 彼の店は金儲けとは距離がある。66平米の食堂の半分がキッチンだ。テーブル5個に椅子14個。平日は夕方の客だけ受け付けるが、月曜日にはあえて店を閉めてしまう。新鮮な野菜を求めて通わなければならないためだ。狭い店が客でいっぱいになっても店を広げたり営業時間を増やすつもりはない。

 「日本でバブルがはじけてデフレになり10年過ぎてから景気が低迷しました。それと共に国をあげて効率性と費用削減を強調したけど、その過程で社会全般の質的低下が起きてしまいました。日本特有の魂や価値、精神などが消えていきました。お金も重要だけどもっと大切なのは価値なのに」。効率性を強調する経済学を専攻した彼は「経済学の教科書とは縁遠いことをしているわけ」と言って笑った。

 ミッレフィオーリとはどの断面でも同じ花模様が出てくるイタリアのガラス工芸から出た言葉で、数百万輪の花という意味が込められている。すべての客に最善を尽くすという意味だという。

イ・ジェウク記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.03.02 21:30

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/680484.html h訳Y.B

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