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日本官僚出身 映画製作者、‘天皇制’を批判

登録:2013-08-15 20:28 修正:2013-08-15 23:23
‘戦争と1人の女’国内 封切

性への耽溺を通じて戦争の荒廃感を捉える
"2次大戦時 ヒットラーは結局自殺
天皇はなぜ何の責任も負わないのか"
13日午後、ソウル アートナイン映画館で会った映画<戦争と1人の女>のシナリオ作家 荒井晴彦(左側)と製作者 寺脇研。 映画は性と戦争を極端に対比させ日本の‘天皇制’を正面から批判する。 シン・ソヨン記者 viator@hani.co.kr

 15日封切りした日本映画<戦争と1人の女>(井上淳一監督・ポスター)は2次大戦を素材に天皇制を露骨に批判する映画だ。 戦争で右腕を失い帰ってきた帰還兵 大平義男(村上淳)一等兵は「上官が天皇陛下の命令だとして殺人、強盗、強姦をさせた」とし自責の念にかられる。 彼は「東条英機大将(中日戦争と太平洋戦争を主導した2次大戦当時の総理)はA級戦犯なのに天皇はなぜ戦犯ではないのか」とも話す。 映画の中で虚無主義に陥ったある小説家は「天皇ももともと人間なのに生きている神と言って持ち上げるのは滑稽なこと」と鋭く批判する。

 映画は2次大戦が終わる頃、性不感症にかかった売春婦(江口のりこ)と虚無主義に陥った小説家(永瀬正敏)が 「戦争が終るまで」という但し書を付けて、お互いの肉体に強迫的に執着する姿を描いた。 一方では戦争帰還兵 大平義男一等兵が見知らぬ女を強姦殺害する時に性的快感を感じるという事実を悟り、7人の女性を殺害しながら破滅して行く。 映画の全体を通して戦争に関連したトラウマにより性的障害を持った人の人生が崩れてゆく姿が描かれる。

‘戦争と1人の女’

 映画広報のために訪韓した製作者兼プロデューサー寺脇研(62)は13日<ハンギョレ>と会って「生命を産む過程である性と人を殺す戦争を極端に対比させたかった。 また、性は日常を、戦争は非日常的の象徴だが‘子供たちをはやく産んで軍隊に送ろう’という形で相互に連結されているという奇妙な矛盾を見せたかった」と話した。

 寺脇は日本文部科学省傘下の文化庁文化部長を務めた官僚出身で、日本国内の韓流文化造成に大きな役割を果たした人物だ。 日本の右傾化に対する憂慮と韓国、中国の従軍慰安婦問題に対する日本の謝罪に積極的な声を上げてきた。 彼は「どこの国でもいかなる理由でも、人を犠牲にすることが容認されてはならない。 2次大戦当時、天皇も問題だが、当時戦争に反対できなかった日本国民全員に責任があるという点も認識しなければならない」と話した。

 一緒に訪韓したシナリオ作家 荒井晴彦(67)も「軍人は戦争、小説家は戦争に抵抗できない無気力な知識人、女性は貧しい庶民を象徴している」として「天皇の名でアジア侵略が行なわれた。 2次大戦の時、ヒットラーは結局自殺で命を終えたが、日本の天皇はなぜ何の責任も負わなかったのかという思いを映画に反映したかった」と話した。

 荒井は寺脇プロデューサーの35年にわたる親友であり、金大中前大統領拉致事件を映画化したKTと 2005年に(韓)国内で封切りされて人気を呼んだ<バイブレーター>の脚本などで有名な作家だ。

 彼は「日本は中国や韓国とは違い、後世に歴史教育をしていない。 8月15日が何の日なのか答えられない人も多い」として「日本メディアもやはり<戦争と1人の女>に対して‘感性度が低い映画ではないのか’という言い方で巧妙に扱うことを敬遠している」と批判した。

 1200万円(約1億3600万ウォン)の製作費がかかった独立映画だが、<ジョゼと虎と魚たち>に出演した江口のりこをはじめ村上淳、永瀬正敏など実力派演技者が参加して重量感を加えた。 映画はカンヌ映画祭黄金奨励賞を受けた日本映画<カンゾー先生>の原作者 坂口安吾のまた別の小説を原作にした。 ソウル舎堂洞(サダンドン)のアートナインで単独上映する。

ホン・ソクチェ記者 forchis@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/culture/movie/599705.html 韓国語原文入力:2013/08/15 19:23
訳J.S(1733字)

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