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[土曜版/生命]チョ・ホンソプの自然あれこれ主人があくびをすれば犬もまねる?

登録:2012-11-09 22:45 修正:2012-11-10 05:39
スウェーデン ルンド大学で実験
人はアクビを移す名選手
親しい仲であるほど簡単に伝播

 あたかも肺の中の空気を全て新しいものに変えようとするかのように、口をありったけ広げて空気を吸い込む。 鼓膜が長く伸びてパンと音がした後、長く息を吐き出し、滲んだ涙が溜まった目をパチクリする。 そのアクビだ。 全身をしゃんと伸ばすストレッチング動作の伸びをする時にも必ずアクビで終えるので、伸びもアクビの一種といえる。

 私たちは疲れたり退屈な時、またはストレスが激しい時にアクビをする。 このような日常的な動作を何故するのか、またどうしてすることになったのかは正確に分かっていない。 アクビの重要な特徴である隣人に移ることも、何故なのかも論議の的だ。

 興味深いことにアクビは人間の専有物ではない。魚や蛇、鳥からチンパンジーまでが広く共有する動作だ。 一部の動物は人間のようにアクビを伝播する。 チンパンジーとヒヒがそうだが、ここに犬が追加される。

 犬がアクビに関する限り人間と似ているという事実は、アクビを何故することになったかという疑問を解く端緒を提供する。 最近、認知科学者らが犬を前に座らせておきひっきりないしにアクビをしている所以でもある。

 スウェーデン ルンド大学の研究者は生後4~14ヶ月の犬35匹を連れてきて実験した。 楽しくなるように遊んだり撫でたりして、犬の名前を呼んで注意を引いた後、長いアクビをした。 この姿をしげしげと見つめていた犬の69%がつられてアクビをした。

 この実験が以前の研究と違う点は、月齢によってアクビをまねる頻度が違うかを調べてみた点だ。 するとアクビ伝播は7ヶ月以後の子犬にのみ現れた。 犬は7ヶ月になって初めて他の犬の感情状態を正しく理解する。

 人はアクビを移す名選手だ。 実験の結果、隣の人がアクビをするのを見たおとなの45~55%がアクビをまねたが、直接見なくともアクビをする声を聞いたり、またはそれを思っただけでもアクビをまねる。 また、親しい仲であるほどアクビが簡単に伝播することも分かった。 ある実験では見知らぬ人、知人、友人、親戚の順にアクビがよりよく移されることが明らかになった。

 ところで4才以前の子供はアクビをまねない。 この年齢になって初めて子供は相手の感情を正確に理解する認知能力を得る。

 ここからアクビの伝播が感情移入、すなわち共感能力と関連があることがわかる。 犬がチンパンジーやヒヒより認知能力が劣るにも関わらず、このような共感能力を持つようになったのは長年の家畜化の歴史に由来する。 犬はヒトの感情を鋭敏に知るようになった。 主人が悲しめば自分も気持ちが沈み、慰めようとする行動をしたりもする。

 ある種の犬はこのような共感能力が過度なほどに高い。 スウェーデンの研究者は実験に出てきた一部の犬が、アクビをする主人の‘退屈で眠たい’感情を内面化し、実験途中で眠ってしまったと明らかにした。

 それでは人はなぜアクビを伝播するのだろうか。 空気中の酸素が不足するためだとの説もあるが、社会性動物が緊張を高めるための集団的防御術に進化したという説明が有力だ。 眠たかったり退屈になれば、群れの警戒が緩くなり、捕食者の攻撃に脆弱化するので一斉にアクビをして緊張を高めるための行動だということだ。 オオカミの群れが鳴くことにより集団を一体化するのと同じように。

 とにかく家族の中で誰が自分と一番親しいかが気になるならば、妻(夫)と子供と犬を前にして長~くアクビをした後に誰が先にまねるのかを見れば良い。

チョ・ホンソプ環境専門記者 ecothink@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/science/science_general/559843.html 韓国語原文入力:2012/11/09 17:03
訳J.S(1659字)

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