原文入力:2012/01/27 22:24(1550字)
チョ・ホンソプ記者
零下の天候にもかかわらず汝矣島(ヨイド)、漢江(ハンガン)公園を散策する人が少なくなかった。 退屈な愛玩犬が駄々をこねたためなのか、犬を連れて出てきた人々も目についた。「本当に可愛いね。寒くはないの?」犬2匹に揃ってきれいな服を着せた主人は「氷の上で遊んでも寒そうなそぶりは全くしませんね」と答える。
ふと気になった。 犬はどうして足が冷えないのだろうか。 犬の足の裏は毛や脂肪層で覆われているわけでもなく、氷のように冷たい地面に直に接触しているからだ。 だが、犬が凍傷にかかったという話は聞いたことがない、犬の足から汗が出たという話と同様にだ。
先日<文化放送>が放映したドキュメンタリー、皇帝ペンギンを思い出した。零下50度の氷の上で数ヶ月を食べることもせずに持ちこたえ、その上、足の上で卵を孵化させるという驚くべき動物。事実、私にはそのペンギンの足がさらに驚異的だった。
このような気になることを解く研究結果をある日本人獣医科学者が発表した。 驚くべきことに犬の足は皇帝ペンギンの足と同じ原理で寒さに勝つという内容だった。その上、このような原理は北極ギツネ、オオカミのようなイヌ科の動物はもちろん、鯨・オットセイなど寒いところに住む動物、そして鳥やヒトなどにも広く採用されているというのだ。 いわゆる逆方向熱交換だ。
ある実験室で気温を零下35度に下げた後、毛深い北極キツネを放った。しばらくして足の温度を測ってみると零下1度で足の組織が損傷する直前状態であった。 逆方向熱交換の核心はこのように冷たいところと接する部位の温度を最大限に低く維持するということだ。
組織が維持されるためには血液を供給しなければならない。 ところが心臓から出た熱い血をそのまま足へ送れば、あたかも穴の開いたポケットから水が漏れていくように体の熱は血液に乗って地面へ消えてしまうだろう。
これを防ぐために心臓から来た暖かい血を流す動脈は、足の裏で冷たくなった血が流れる静脈に熱を伝達し、ある程度冷めた状態で足の裏へ向かうようにする。 反対に足の裏から来た冷たい静脈は動脈から熱を得て心臓へと向かう。 動脈周辺に網の目のように静脈を配置することでこのような効果的な熱交換が可能になる。
こういう奇抜な発明を他の動物たちが放っておくはずがない。氷の上でゆったりと眠る鴨や雁もその受恵者だ。 たとえ足はちょっと冷たかろうが体温は人より高く維持できる。片足で氷に立つのは、熱損失を半分に減らす追加要領であり、熱が漏れていく通路であるクチバシを羽毛の中に埋めるのも一つの知恵だ。
必ず寒いところで使うというわけでもない。 熱に弱い精子を保護するために哺乳類の睾丸はこの原理を利用して高い体温が睾丸に伝わらないようにしている。
犬やペンギンに学んだ訳ではないが、産業界でもこのような熱交換方式を幅広く利用している。 とても簡単な例がパッシブハウスなど熱損失を最小化する住宅で使われている機械式熱回収装置だ。 部屋の中の熱くて汚れた空気を送りだす時に外側の冷たい新鮮な空気と内容物は混ぜないように熱気だけを伝達し、暖かくて新鮮な空気が家に入ってくるようにする装置だ。生物をまねれば効率を得る。 だから生物模倣学(バイオミメティックス)という学問もあるではないか。
チョ・ホンソプ環境専門記者 ecothink@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/516404.html 訳J.S