記事入力:2008-12-03午後09:05:22
キム・キウォン放送大教授・経済学
国が難儀だ。ここには米国発金融危機という外的条件によるところが大きい。だがイ・ミョンバク政権が事態をより一層悪化させたことも明らかだ。為替管理や不良債権処理で右往左往する姿を見よ、加えて上難しい時であるほど公平な苦痛分担が重要なのに、むしろ富裕層と大企業に対する減税のような身内まとめを優先する。世の中が火事騒ぎだというのに火遊びを楽しむように財閥規制を取り去り無分別な開放を急いだりもする。これではわが国経済が先進化どころか景気回復さえ遅れることが明らかだ。
問題は経済だけでない。太陽政策で南北関係に入り込んだぬくもりをイ・ミョンバク政権は冷たくて危険なものに変えてしまった。またイ・スンマンとパク・チョンヒを復権させようと歴史教科書騒ぎを起こして教育現場を惑わせている。そうかと思えば、環境的大災難になる運河推進に見せ掛けの形を使い、白骨団を復活させてネチズンと放送を締めつけている。我々の社会が全面的に退行しているわけだ。
それならイ・ミョンバク政権5年だけじっと我慢すれば良いのか。残念なことに南北民衆の‘苦難の行軍’はさらに長くなりそうだ。まず次の大統領選挙もハンナラ党の内部ゲームに終わる公算が大きい。民主党が気迫も人物もない不妊政党状態であるためだ。選挙になって突然現れた新人に寄り添うことができないことは先の大統領選挙で確認された。最近発足した反ハンナラ党連合戦線もどれくらい持続するのか疑問だ。我が進歩政党たちは米国のラルフ・ネーダーのように自身を前面に出すことにだけ汲々としているのが実情だ。いくらにもならない身内同士でもバラバラ集団だ。
政党以外の勢力も今は支離滅裂な様子だ。労組を見よ、韓国労総はイ・ミョンバク政権とパートナーになったことがある。民主労総は既得権にしばられた大企業労組の影響からそれほど自由ではない。市民団体もいくつかの堕落した形態によって道徳性が大きく毀損された。また大学生の大部分は就職準備に忙しく社会問題に関心を失って久しい。要するにこれら勢力は保守化阻止に参加はしても、力強く主導する状態にはないのだ。
ハンナラ党は‘失われた10年’を叫んで執権に成功した。だが去る10年は国が台無しになったのではなく、守旧勢力のヘゲモニーが傷ついた時期であっただけだ。南北民衆の暮らしは悪くなった部分もあり良くなった部分もある。ところが、今後は南北民衆にとって本当に‘失われる10年’が待っているようだ。もどかしい。もちろん得ることが全くないわけではない。国民が守旧勢力の実体を悟ることになるのも成果と言えば成果だ。だがそれで諦めるには犠牲があまりに大きくないだろうか。
暗たんたる展望の中で、何より必要なことは改革進歩勢力がビジョン・感動・実力を備えるように換骨奪胎することだ。そうするならば課題が途方もなく膨大で、これに関して色々議論が出てくる。だが海外理論から探し難い韓国固有の状況に対する認識が不足している。相変らず新自由主義のような大衆や韓国の現実から遊離した用語が乱発されていて、あふれかえる零細自営業者問題などは政策課題としてほとんど扱わない。一日も早くこれを克服しなければならない。
同時に情報化時代の韓国的特徴にも注目しなければならない。労組や大学生が主導しなかった大衆の集まりであるロウソクのあかり,守旧新聞の支配枠を蚕食するインターネット,大衆と疎通する新しい知識人像であるミネルバがまさにそれだ。ただしロウソクのあかりには熱気を盛って出すための器の欠如,インターネットにはまともにすくい上げない雑音,ミネルバには論証抜きの乱暴な断定という限界がそれぞれ存在する。したがって情報化時代の方式と既存の産業化時代の方式を結合しなければならない。それでこそ失われる10年を防ぐなり、さもなければ少なくともその期間の犠牲を減らすことができるのではないだろうか。
キム・キウォン放送大教授・経済学