原文入力:2010-02-12午後05:48:50(1068字)
国家最高指導者の大統領に要求される最も重要な徳性の一つを挙げるならば、葛藤解消と統合能力だろう。特に理念・地域・階層間の深刻な葛藤様相に陥っている我が国で葛藤調停者としての大統領の役割と責任は比較にならない程重大だ。大統領に与野党の区分を越える超政派的指導者像が期待されるのもそのような理由からだ。
ところで今、李明博大統領はどちらか。葛藤の解消者か、あるいは増幅者なのか。残念ながら後者だ。現政権スタート以後、旧時代的統制と抑圧の政治が続き、対立と分裂の溝はより一層深くなった。社会のどの隅を見回しても是非と争いの絶えない所がない。その中心には間違いなくイ大統領がいる。
最近燃え上がったイ大統領と朴槿恵 ハンナラ党前代表間の無作法な対決様相もイ大統領が直接に葛藤を育てた代表的な事例だ。今回の事態はイ大統領が昨日 「これ以上互いにあげあしを取らず、これで終えたほうが良い」として一歩後退することにより、ひとまずある峠を越した雰囲気だ。だが今回の事態の渦中でイ大統領が示した姿は与野党を超越した指導者像はさておき、ハンナラ党内の親イ系派閥ボス程度の姿以上でも以下でもなかった。
両者の善し悪しをあえて見てみても、最初に強盗論など上品とは言えない表現を使ってパク前代表に先制攻撃を加えたのはイ大統領だった。イ・ドングァン大統領府広報首席が‘パク議員’という表現まで動員しながら 「本人が直接謝らなければならない」と鋭く攻撃を加えたのもイ大統領の意向であったことを知らない人はいない。結局、イ大統領は与党内葛藤をより一層増幅させただけで特別得るところもなく後退してしまったわけだ。
その上、イ大統領には葛藤を広めることだけは知っているが解消する方案に対しては準備も対策もないという点はさらに大きな問題だ。世宗市修正案問題についても当初の自身の公約まで破棄し平地風波を起こす時は、何らか秘蔵の対策でもあるのかと思った。だが、最近の展開を見れば、この長く暗いトンネルをどのようにして抜け出るのか、傍で見守る人が心配になるほどだ。ちょうど今日から陰暦正月連休が始まる。この期間にイ大統領は熟慮して決断を下すことを願う。全国が世宗市葛藤の沼に落ち、果てしなくもがくことはできない相談だ。
原文: 訳J.S