李在明(イ・ジェミョン)大統領は、昨年9月と今年1月に発生した民間無人機(ドローン)の北朝鮮侵入事件に関して、6日の国務会議で「韓国政府が意図したわけではないが、一部の無責任で無謀な行動により不要な軍事的緊張が生じたことについて、北側に遺憾の意を表す」と述べた。
大統領が公開会議の場で、北朝鮮に向けた謝罪ともとれるメッセージを自ら発表したのは初めてだ。民間無人機による侵入事件を最初に認識した1月10日、「事実であれば朝鮮半島の平和と安全を脅かす重大な犯罪だ」と厳正な捜査を指示した李大統領は、10日後の国務会議で、「戦争開始行為と同様だ」と国防部の防空網管理の実態を批判したうえ、先月の三一節記念演説では「南北が共に暮らす朝鮮半島で緊張と衝突を招く行為は、いかなる理由でも正当化できない」とし、発言を強めてきた。
だとしても、李大統領が最高指導者として自ら遺憾を表明する決意に至るまでは、深く悩まざるを得なかったのだろう。チョン・ドンヨン統一部長官がすでに遺憾の意を表明したうえで、保守陣営側が「北朝鮮はこれまでの韓国に対する軍事挑発について明確な謝罪や遺憾表明がなかったではないか」とし、「北朝鮮に対する低姿勢」フレームを用いて攻勢をかける可能性が高いからだ。
しかし、今年1月に北朝鮮が問題視した無人機の侵入はいずれも李在明政権発足後に起きた事件であり、政府主導で行われたものではないにせよ、国家情報院職員と現役軍人が事件に直接的または間接的に関与していた事実が捜査過程で明らかになっている。南北の和解と統一を追求してきた民主政権の首長であり軍の統帥権者である李大統領が、黙って見過ごすわけにはいかない段階という意味だ。この点において、李大統領のメッセージは内容と時期において適切だったといえる。
北朝鮮当局にとって、李大統領の遺憾表明だけで、これまでの韓国政策を一夜にして変えることは難しいかもしれない。2019年にハノイでの第2次朝米首脳会談が決裂した後、状況の改善に実質的な助けにならなかった民主党政権への失望、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権時代に露骨になった敵対政策と挑発行為に対する幻滅もあるだろう。だが、北朝鮮向け拡声器放送の中止や施設の撤去、9・19南北軍事合意の復元宣言など、李在明政権が進めている先制的な緊張緩和への取り組みを無視し続けないことを願う。韓国政府は、同様の事例の再発を防止するための制度改善を急ぐと同時に、北朝鮮との関係改善に向けた取り組みを続けなければならない。