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「北朝鮮のICBM、火星17型ではなく15型…体制安定のために映像入れ替え」

登録:2022-03-30 06:23 修正:2022-03-30 07:41
北朝鮮の「労働新聞」は今月25日付の1~4面で、16枚の写真とともに金正恩朝鮮労働党総書記兼国務委員長(中央)の「直接指導の下、24日に新型大陸間弾道ミサイル『火星砲17型』の発射実験が断行された」と報じた/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 韓国国防部は、北朝鮮が24日に発射実験を行った大陸間弾道ミサイル(ICBM)が、北朝鮮の主張する新型「火星17型」ではなく、従来の「火星15型」であり、このように偽ったのは北朝鮮内部向けの目的が大きいと分析した。

 国防部は29日午後に開かれた国会国防委員会全体会議に提出した「国防懸案報告」で、「3月24日の飛翔体は2017年に発射した火星15型のICBMより頂点高度と飛行時間が延びて火星17型のように見えるが、把握された飛行特性を精密に分析した結果、火星17型よりは火星15型に類似していると見ている」と発表した。

 北朝鮮が2017年11月に発射した火星15型は、頂点高度4475キロメートル、飛行距離950キロメートル、飛行時間53分だった。一方、24日の飛翔体は、頂点高度約6200キロメートル以上、飛行距離約1080キロメートルで、高角ではなく正常に発射された場合は射程距離1万3000キロメートル以上になると推定されると、国防部は説明した。北朝鮮の発表によると、飛行時間は67分だという。しかし、国防部は上昇加速度や燃焼時間、段分離時間などの飛行特性を分析し、火星15型である可能性が高いと判断した。

 技術的な面でも、新型である火星17型は白頭山系のエンジン4基を備えているが、24日の飛翔体は火星14型や15型と同じくエンジン2基だと国防部は説明した。国防部は「北朝鮮は今月16日に火星17型の発射実験に失敗してから8日後に発射したが、これは失敗の原因を分析するには不十分な時間だ」と付け加えた。

 北朝鮮が公開した発射関連影像も、以前の画面を入れて編集したものだと軍は推定した。発射時間は午後2時33分で、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記兼国務委員長の影が北東に向いていなければならないが、映像の中の金委員長の影は西側を指しており、午前8~10時台とみられるというのが軍の見解だ。また天候も、発射当時、順安(スナン)地域の大半が雲で覆われていたが、北朝鮮が公開した発射場面の映像は、これとは違って晴れ渡っていると国防部は説明した。国防部は「米国側も韓国側の分析技法と評価内容に同意している」とし、「米国も詳細な分析を進めており、火星15型と断定したわけではないが、その可能性が高いとみている」と明らかにした。

 これについてワシントン・ポストは同日、米当局者の話として、北朝鮮の飛翔体は、2017年に最後に試験した既存の火星15型をより高くまた長く飛行できるように改造したものだと報じた。

 北朝鮮が火星15型を発射したにもかかわらず、火星17型だと主張する意図について、国防部は「対外的側面よりは対内的な考慮事項の方が大きい」とみている。北朝鮮は今月16日、火星17型の発射実験に失敗したが、これに対する国内世論をいち早く収拾する必要があったという。

 国防部は「今月16日の発射失敗の場面を平壌(ピョンヤン)住民が目撃した状況で、デマの遮断と体制安定のため、最短時間で『成功のメッセージ』を伝える必要性から、2017年に成功し信頼度の高い火星15型を代わりに発射した」と分析した。北朝鮮は発射実験翌日の25日、金総書記が黒い皮のジャンパーにサングラスを着用し、軍関係者らとICBMの発射を祝う姿を映画のように構成した映像を公開した。

 国防部は北朝鮮の対外的意図として、「飛行諸元を偽ってでも、韓国や米国、国際社会にICBM能力が高度化したことを強弁し、軍事強国の地位確保および交渉力を高めようとする目的」だと付け加えた。国防部と合同参謀本部は24日、北朝鮮の発射実験後、公式には「あらゆる可能性を念頭に置いて精密分析を行っている」と述べたが、韓米が「火星15型」という共通の結論に至ったことを受け、これを公開したものとみられる。

 国防部は、北朝鮮の追加発射に備え、弾道弾監視レーダーなどの監視戦力を増強運用し、警戒態勢を強化していると明らかにした。

ファン・ジュンボム記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1036680.html韓国語原文入力:2022-03-29 15:45
訳H.J

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