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韓国、コロナ重症495人…政府が「管理可能水準」とした500人に迫る

登録:2021-11-17 02:30 修正:2021-11-17 07:08
16日、仁川市南洞区の嘉泉大学吉病院の陰圧病棟で、看護師がレベルD防護服を着用し、コロナ患者の処置品を整理している/聯合ニュース

 新型コロナウイルス感染症の重症患者数が過去最多を記録し、政府が安定的に管理できると述べていた基準値に迫っている。首都圏を中心として重症患者が急速に増えていることから、政府は首都圏の上級総合病院の院長と緊急会議を開き、病床確保を急ぐとともに病床の使用効率も高めてほしいと要請した。政府はさらに、コロナワクチンの基本接種完了から6カ月間となっている追加接種(ブースターショット)との間隔を、60代以上は4カ月、50代は5カ月に短縮することを決めた。

 中央防疫対策本部(防対本)は16日、同日0時現在の重症患者数を495人と発表した。13日(485人)からわずか3日でまたも過去最多を更新した。政府はこれまで、現行の保健医療システムにおいては最大で500人の重症患者を安定的に管理できると述べてきたが、今月1日に段階的日常回復(ウィズコロナ)が開始されてわずか16日にして、この基準値に迫る重症患者が発生したことになる。

 重症患者専門病床も不安な状況だ。15日午後5時現在、首都圏(ソウル、仁川、京畿道)の687床のコロナ重症患者専門病床のうち、523床が使用中で、病床稼働率は76.1%。前日(76.4%)から0.3ポイント減少しているものの、政府の「非常計画」発動基準である「重症患者病床の稼働率75%」は超えている。

 防疫当局は、このところの重症患者急増の理由として「高齢患者」と「突破感染(ブレイクスルー感染)」の増加を挙げている。11月第2週の1日平均の重症患者数は447人で前週より22%増加しており、このうち60代以上は367人、40~50代は62人、30代以下は18人だった。防対本のイ・サンウォン疫学調査分析団長は「60歳以上のコロナ感染者数は、10月第1週の2288人から11月第1週には4434人に増加しており、60歳以上の重症患者と死者もそれに伴って増加している。60歳以上の人口に占める予防接種未完了者の割合は8%程度と非常に低いが、10月3日から11月6日の間に死亡した452人のコロナ患者を分析したところ、接種未完了者が61.7%を占めていた」と述べた。政府が最近5週間に死亡した523人のコロナ患者を分析したところ、未完了者は64.6%(338人)、完了者は35.4%(185人)だった。

50代以上の追加接種までの間隔を4~5月に短縮

 これに対し、政府は50代以上の追加接種までの間隔を4~5カ月に短縮することを決めた。この日の本紙の取材内容を総合すると、防疫当局は、60代以上については4カ月、50代は5カ月に短縮するとする「追加接種計画」を17日に発表する予定だ。発表はチョン・ウンギョン疾病管理庁長が行う。ある政府高官は、追加接種までの間隔を短縮したことについて、「すでにワクチン接種を実施し、追加接種の間隔を短縮している国外の事例を参考にした。感染予防効果が落ちた高齢層を優先的に保護するための措置」と説明した。クォン・ドクチョル保健福祉部長官も、15日に世宗市のある医院級医療機関で追加接種を受けた後、記者団に対し、追加接種までの間隔の短縮について、「疾病管理庁でも専門家の意見を聞いて検討し、近く確定するだろう」とし「5~6カ月よりも少し早く実施しうると考えている」と述べている。

 しかし、このような政府の追加接種計画は、高齢の患者や突破感染患者が増加し、重症患者が急増してから発表されるものであるため、遅きに失した措置だという批判も出ている。防対本がこの日発表した資料によると、満12歳以上の患者に占める突破感染者の割合は、10月第1週の26.3%から10月第2週には31.3%、10月第3週には37.9%、10月第4週には47.3%、11月第1週には56.0%と、高まり続けている。ソウル大学のキム・ユン教授(医療管理学)は「すでに秋夕(チュソク、旧暦8月15日)前から療養院や療養病院などの施設で集団感染と突破感染が多く発生していたにもかかわらず、追加接種までの間隔を6カ月と定めた米国の基準に機械的に従っていた」とし「韓国政府は韓国の患者の資料を分析し、それを土台として追加接種計画の策定をもっと急ぐべきだった」と語った。

保健福祉部のリュ・グンヒョク第2次官が16日、ソウルの疾病管理庁首都圏疾病対応センターで上級総合病院の院長とオンライン会議を開き、病床確保や患者の転院措置などについて話し合っている=保健福祉部提供//ハンギョレ新聞社

医療界「現場の医療人材の士気高揚策が必要」

 重症患者の増加と病床不足に対する憂慮が高まっていることから、保健福祉部は同日午前8時頃、首都圏の22の上級総合病院の院長をオンライン緊急会議に召集し、病床の追加確保などの対策を論議した。会議を主宰した福祉部のリュ・グンヒョク第2次官は、病床にかかる負担を軽減するため、今月5日に発表した行政命令に沿った病床確保を急ぐよう院長たちに求めた後、「状態が好転した患者を準重症病床などに送ることで病床の使用効率を高めるとともに、重症患者がきちんと治療を受けられないということがないようにしてほしい」と強調した。

 会議に出席した病院長たちは「病床拡充」と「効率化」の要求に共感を示しつつも、それを実践するためには不足する医療装備と医療人材の政府による支援が必要だと口をそろえた。中央事故収拾本部のパク・ヒャン防疫総括班長はこの日のブリーフィングで「病院長たちは、人工呼吸器と人工心肺装置(ECMO、体外式膜型人工肺)などの装備の供給問題と人材問題を早く解決してほしいと政府に要請した」とし「重症患者の管理では看護人材も大変だが、医師も感染内科と呼吸器内科が中心とならざるを得ないため大変だという。政府は人材プールを支援することを共に考えていくことにした」と述べた。この日の会議では感染内科、一般内科、呼吸器分野を専攻した軍医官や公衆保健医(公保医)を派遣してほしいという要求も出たが、政府はあらゆる可能性を念頭において支援策を検討する計画だ。

 医療界からは、現場で疲弊している人員の士気を高める対策も必要だという声もあがっている。この日の会議に参加したある病院長は本紙の電話取材に対し「よく訓練された軍医と公保医は、すでに第一線の保健現場に配置されて役割を果たしており、直ちに動員することは容易ではないため、結局は現場に慣れていて医療サービスの質を担保できる医療スタッフの士気を高めなければならない」とし「現在、病院の経営と運営に焦点が当てられて政府の補償が行われているが、病院当局だけでなく医療スタッフにも直接補償が行われるべきだろう」と述べた。

イ・ジェホ、パク・チュニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/health/1019554.html韓国語原文入力:2021-11-16 17:00
訳D.K

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